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今じゃ信じられない!約50年前のF1で大流行したハイマウントウイングとは

F1マシンにおいて切っては切れない関係にある空力パーツであるウィング。約50年前に生み出されてから進化を続け、現在では非常に複雑な形となっています。その、創世記とも呼べる時代に作られた一風変わったウィングをご存じでしょうか?今回は約50年前に流行した”ハイマウントウィング”をご紹介したいと思います。

©redbullcontentpool

F1マシンの空力性能の生命線とも言えるウィング

©︎Pirelli

F1マシンが速く走るためにはエンジン、タイヤだけでなく空力性能も重要だと言われており、マシンの乗りやすさを大きく左右します。

近代では至る所に空力パーツが搭載されていますが、その中でもマシンで最も目立つ空力パーツは、前後に搭載されている大きなウィングだと思います。

もはや当然のように装備されているウィングですが、一体いつからF1マシンに取り付けられるようになったのでしょうか?

 

F1マシンが初めてウィングを搭載したのはいつ?

出典:https://ja.wikipedia.org/

ウィングが登場するまでのF1マシンは、いかに空気抵抗を減らすかという点が重要視され、空気抵抗を生むパーツは従来の考え方に大きく反していました。

そのためF1では葉巻型と呼ばれたマシンが一般的で、わざわざ空気の抵抗を自ら作り出すという発想は有り得ませんでした。

しかし、1968年頃にダウンフォースによってタイヤ・車体を地面に押し付けることで、コーナリングスピードを上げられるとわかると、その獲得に向けてウィングが装備されるようになったのです。

するとマシン開発の重点は空気抵抗を減らすことから、いかに大きなダウンフォースを作り出すかというところに移行していきました。

この考え方は今でも変わらず約50年も前から続いているのですが、その初期に登場したウィングは現代のマシンからは想像も付かない一風変わったデザインだったのです。

 

無骨につけられたウィング、その名もハイマウントウィング!

出典:http://www.autodiva.fr/

1968年にブラバムが開発したBT26には現代と同じようにフロント、そしてリアに2つの大きなウィングが搭載されていました。

高い位置に取り付けられていたことからハイマウントウィングと呼ばれ、高い位置に設置することでより一層大きなダウンフォースを生み出すという目的で搭載されています。

これにより空気抵抗は大きく増加しましたが、その代償としてダウンフォースを獲得したマシンは減速時やコーナーリング時に大きな恩恵を受けることに成功したのです。

出典:http://www.diary.ru/

するとダウンフォースを求める考え方はすぐに定着し、現在でもダウンフォースを獲得することはマシン開発の重要なテーマとなっています。

このハイマウントウィングは見た目も含めてF1業界に大きな衝撃を与え、次第にこのウィングにはエンジニアたちのアイディアが盛り込まれるようになっていきました。

 

約50年前にもDRSのような発想が生み出されていた!?

出典:https://ja.wikipedia.org/

導入されて以降急速に広まったウィングには、開発者たちの工夫が見られるようになりました。

タイヤのグリップ力を少しでも高めるために取り付け位置をタイヤのすぐ側にしたり、現在のF1でも導入されているDRS(可変リアウィング)のように直線でウィングを寝かせるという技術もすでにこの当時に生み出されていたのです。

当時は現在のように多くの空力パーツを装備しておらず、ウィングを少しでも効果的に利用しようとしたのですが、その工夫が危険な事故を招いてしまうことも少なくありませんでした。

ウィング導入から1年ほどの期間で、多くのウィングに関する技術が生み出されたのですが、そこには安全性の確保という大きな問題が残されていたのです。

 

多くのトラブルが発生、昔はウィングにも信頼性があった!

出典:https://www.jacky-ickx-fan.com/

危険な事故が多発したためハイマウントウィングや、走行中に形状が変化するウィングは禁止となりましたが、その大きな理由にはウィングの信頼性が足りなかった事が挙げられます。

近代のF1でマシントラブルが発生するのは電気系統やエンジンやギアボックスの駆動系といった箇所が多いですが、この当時はウィングにも多くのトラブルが発生していました。

特にハイマウントウィングの場合は取り付けアームの強度が足りず、大きく空気抵抗を受けると破損してしまい、マシンは突然操縦不能に陥るという非常に危険性の高いアクシデントを多発したのです。

これが問題視され、こうしたウィングは登場から約1年で姿を消し、取り付け位置や変形の禁止など細かくルールで取り決められることになりました。

禁止後は高さだけでなく、ボディへの取り付けが義務付けられた(出典:https://ja.wikipedia.org/)

かつてはトラブルも珍しくなかったウィングですが、素材の変更などを経ていつしか壊れないパーツとして非常に耐久性の高いものへと進化してきました。

近年のウィングはメインプレートは剃刀のような切れ込みなどといったアイディアが盛り込まれ、細かな箇所にまで計算が及んでいます。

©Shunsuke Kawai

なかでもここ数年はウィングの支柱部分の小型化が進んでいます。

両サイドのステーは左右ともに僅か数ミリ程度という小ささになりましたが、マシン同士の接触を除いて、壊れることはまずありません。

今では強い耐久性と優れた性能を持つウィングですが、その当初は今からは想像も出来ないシンプルなデザインで生み出されてきたのです。

 

まとめ

1960年代後半に導入されて以降、ウィングはF1マシンには欠かせない重要なパーツとして用いられてきました。

今回ご紹介したハイマウントウィングはその創世記とも言える時代に生み出され、ここからF1マシンのウィングは進化してきたという見方もできます。

近年のF1では大幅に進化したパワーユニットなどの性能が取りざたされていますが、ウィングもF1マシンの一部として進化を続けているのです。

現在のウィングはどれも複雑な形ばかりですが工夫の全てに意図があり、その原点とも言えるのが無骨に装備されたハイマウントウィングだったのです。

 

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Writer Introduction
shunsuke_kawai

モータースポーツライターをさせて頂いております、河合俊佑です。10代にF1の魅力にハマり、以後フォーミュラレースに憧れを抱く。大学時代は自身でカート活動を始め、モータースポーツの面白さを体感し、魅力を伝える事を志しています。少しでもモータースポーツを楽しく、分かりやすく伝えられるよう取組んで参ります。宜しくお願い致します。

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