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レースじゃなくても意外に身近な車両火災!対策の必要性と代表的な車載消火器をご紹介

車両火災発生!すぐに消防車を…の前に、消火器があれば自力で初期消火を行い、全焼や類焼、乗員の死傷など致命的なダメージを防げるかもしれません。特にドレスアップカーやチューニングカーなど改造された車、スーパーカーなどは、その性能と引き換えの高いリスクゆえにぜひ積んでおきたいところ。そんな車載消火器にはどんな種類があるでしょう?

Photo by Florian Volk

 

決してネタだけでは無い車両火災

 

Photo by Jason Bolonski

 

よく、特定のメーカーや車両に対して「走っていたら突然出火した」「ミーティング場所に到着したら周りが騒いでいるので、車を降りたら火が出ていて全焼した」という話を聞きます。

それらは「楽しい車だけど品質面でちょっと問題あるよね」という、後から考えればいい思い出補正で語られることがありますが、実際に車両火災に直面した当事者としてはパニックで、その時はネタ扱いどころでは無いでしょう。

そうした車の品質や整備面に問題があるケース以外でも、「タバコを吸っていたらシートなどの隙間に落としてしまい、そのまま可燃性のカーペットに引火して全焼」などというケースもあるのです。

 

スポーツ走行に関わる車では強く推奨!

 

出典:http://www.f-e-v.co.uk

 

また、モータースポーツなどスポーツ走行に関わる車でも、改造の際の燃料系や電装系などの不具合のほか、クラッシュを原因とした破壊による車両火災はある程度覚悟しておかなければいけません。

そうした事態に備え、サーキットなど閉鎖された走行環境を提供している場所では消火器を準備していることもあります。

しかし、特設会場でのスピード競技(ジムカーナやダートトライアルなど)やドリフト競技、あるいは公道を使用するラリーなどでは、出火時に消火器を持ったオフィシャル(スタッフ)がすぐ飛んでくるとは限りません。

場合によっては、主催者が準備していない限り、そもそも消火器の無い会場もあると思います。

そうした事態に備え、自動車そのものに消火器を積んでおくのはリスク低減に非常に有効なのです。

そのため、日本の公式モータースポーツを統括するJAF(日本自動車連盟)の規定では、もっともハードウェア的なリスクが低そうな、安全装備を除けばほぼ無改造のスピードP車両でさえこのように記載されています。

“すべての車両に消火器の装着が推奨される。”

(スピード車両規定 第2章スピードP車両規定 第1条 安全規定 1.2 消火器)

 

救うのは自分だけでは無く、他の誰かかもしれない

 

出典:http://www.f-e-v.co.uk

 

それは自車の火災に対する初期消火だけではなく、たとえばクラッシュなどで乗員が意識を喪失した他車を助ける救命活動にも繋がります。

1998年のJGTC(全日本GT選手権。現在のスーパーGT)第2戦において、ローリングスタート直後の多重クラッシュで炎上したマシンの初期消火のケースなどが代表的な事例として挙げられます。

この時、燃料タンクの爆発炎上で自力脱出できなかった太田 哲也選手のフェラーリF355に初期消火を行ったのは、RE雨宮RX-7で後続していて、いちはやく事故を発見し、車載消火器を抱えて飛び出したRE雨宮RX-7に乗る山路 慎一選手でした。

レースでなくとも、もし近くに消火器の無い現場で車両火災に遭遇し、取り残された乗員がいたらどうしますか?

もちろん安易な救命活動は二次被害を引き起こすリスクはありますが、車載消火器があれば救える命があるかもしれません。

 

車載消火器と普通の消火器の違い

 

出典:http://www.f-e-v.co.uk/

 

ここまで車載消火器の有用性を説明してきましたが、かといって、家庭用の消火器などを自動車に積むのには問題があります。

基本的には消火剤を圧縮して詰め込んだ高圧タンクである消火器は、扱いを間違えればそれ自体が危険物になりかねません。

車載消火器の場合、車内の極端な温度変化や振動、あるいは事故時の衝撃にも耐えなければならず、消防法第21条の4 第2項に基づいた型式承認を受ける必要があります。

また、車内の設置に関しては、道路運送車両の保安基準第47条が参考になるでしょう。

これは消火器を備えなければいけない車両を定義したものですが、同時に安全な運航を妨げないよう、消火剤の種類や構造、取り付け位置にまで言及しています。

衝撃で脱落しないよう、頑丈なブラケットなどで使用しやすい場所に固定設置した上で、使用時には容易に取り外しできるのが基本です。

 

代表的な車載消火器

 

出典:http://irs.co.jp/

 

消火器メーカーではこれらの条件を満たした車載消火器を販売しており、スポーツ走行に向いたモータースポーツ用車載消火器を販売している代表的なメーカーと、代表的な製品をいくつか紹介します。

モータースポーツの場合はFIAやJAFの規則に沿った実績ある定番製品として、イギリスのLifeline社とFEV社の製品があり、特にハイリスクなラリー競技で多用されています。

これらは2016年まで有効期限が7年でしたが、2017年生産分からは6年に短縮されたようなので、有効期限にも注意が必要です。

他にも危険物輸送車など保安基準で消火器搭載を定められた車用の車載消火器が、消火器メーカーのハツタやモリタ宮田工業などから販売されています。

それらも適切な取り付けを行えば有効ですが、スポーツ走行用で車室が狭い車に搭載するとなると、最初からその目的で開発されたものが最適です。

その他、車載用品が充実している大きなホームセンターなどでも、殺虫剤程度の小さな車載消火用スプレーなどが販売されていますが、容量が小さいものは車内での火の不始末程度に対応するものと考えた方が良いと思います。

 

Lifeline ATFF消火器

 

出典:http://lifeline-fire.com/

 

イギリスのLifeline社が生産している、FIA・JAF付則に沿った消火器で、点検やメンテナンス、再充填が可能。

パウダー状の消火剤と違い、消火中も視界を妨げないので火元の確認が容易で、乾くと跡も残らない水溶性のAFFF消火剤を使用しているのが特徴です。

取り付けには、クイックリリース式で使用時の取り外しが簡単な金属バンドを採用しており、寸秒を争う消火時にすぐに使えます。

 

FEV G-TECガス手動式消火器

 

出典:http://www.f-e-v.co.uk/

 

同じくイギリスのFEV社が生産している、こちらもFIA・JAF付則に沿った車載消火器です。

こちらは、容器が逆さでも放射が可能なブラダー(ラバーサック)を内蔵しており、消火活動時の姿勢や容器保持の問題が少なくなっています。

旧来のハロンガス代替であるFX-GTECガス消火剤を使用しており、電気火災やリチウムイオン、水素火災に対応しているので、ハイブリッド車やEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)にも使用可能です。

 

FEV システム消火器

 

出典:http://www.f-e-v.co.uk/

 

火災発生時には車内外のスイッチかレバーを操作することで、コクピット(車室)とエンジン2系統に同時噴射。

車外からも操作可能なので、クラッシュ時など乗員が意識不明の状態でも車外からの操作で初期消火を行えます。

消火剤はAFFF剤とFX G-TECガスの2種類あり、ハイブリッド車やEV、FCVなどモーターを使用する車の場合は後者が有効となります。

 

通販も行っている代表的な国内販売店

 

出典:http://irs.co.jp/

 

これら競技用車載消火器は、モータースポーツやチューニング関係のショップであれば取り扱っているところも多いので、まずそうしたショップに相談する方がいいかもしれません。

他には、以下のようなショップなどで通販を行っています。

 

株式会社IRS(イワシタラリーサービス)

http://irs.co.jp/

株式会社アブコ

http://www.avco.co.jp/

 

まとめ

 

今回はスポーツ走行を安全に楽しむために必要な安全装備のひとつ、車載消火器についてご紹介させていただきました。

もちろん、消火器にはその消火剤容量に限界がありますので、根本的な車両火災の鎮火にまで至らない可能性もあり、あくまで生命の危険を考慮した最低限の初期消火用と考えた方が良いと思います。

そのため、実際に走行するドライバーが車載消火器を装備して安全性を高めるのはもちろん、走行イベントの主催者などは、会場または自らが有効な消火器を持っているか、その位置はどこにあるかなどを、常に把握するようにしてください。

 

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Writer Introduction
兵藤 忠彦

ダイハツ党で、かつてはジムカーナドライバーとしてダイハツチャレンジカップを中心に、全日本ジムカーナにもスポット参戦で出場。 現在はサザンサーキット(宮城県柴田郡村田町)を拠点に、主にオーガナイザー(主催者)側の立場からモータースポーツに関わっています。http://dctm.info/

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