GT300で3度のシリーズチャンピオンを獲得するだけではなく、「ジムカーナ・キング」の異名を持つ男、山野哲也氏。アメリカに住んでいた16歳から運転をしていたという山野氏のキャリアを馴染みのマシンと共に振り返ってみました。

 

出典:http://mos.dunlop.co.jp

 

 

GT300クラス3連覇の偉業

 

出典:https://www.facebook.com/tetsuya.yamano?fref=ts

 

様々なマシンが参戦し、激戦となっているスーパーGT300クラスで3年連続シリーズチャンピオンを獲得したドライバーが居ます。

彼の名は「山野哲也」。

ジムカーナ出身のドライバーであり、GT300クラスで3年連続シリーズチャンピオン獲得という偉業を達成した事に加え、その3回とも違うマシンに乗っていた事実もその偉業に華を添えています。

また、チャンピオン獲得後にはスバルのマシンを1から開発し、勝てるマシンへと導いていったことも彼のキャリアのハイライトといえるでしょう。

そして、彼自身がGT参戦を振り返る際に「前期」と「後期」に分けて考えているのも興味深いところです。

今回は、その山野哲也氏のキャリアと共に歩んだマシンたちをご紹介していきたいと思います。

 

ジムカーナ・キングを支えたホンダカーズ

 

 

後にGT300で大活躍する山野氏は「ジムカーナ・キング」と呼ばれるほどの腕前を持ったドライバーでもあります。

また、当時の山野氏は本田技研工業に勤めていたこともあり、ホンダ車での参戦が多く見られました。

そんな、彼のキャリアにおいて欠かすことのできない、「ホンダ・カーズ」をご紹介していきたいと思います。

 

CR-X

 

出典:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ホンダ・CR-X

 

山野氏のキャリアはジムカーナというフィールドからスタートしました。

1984年にジムカーナデビューを果たした山野氏は、当初「バラード・スポーツ」の愛称で親しまれた初代CR-X(AS型)で参戦。

1989年からはフルモデルチェンジされ「サイバー・スポーツ」の愛称で親しまれた新型の2代目CR-X(EF型)に乗り換え競技に参加していました。

 

出典:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ホンダ・CR-X

 

そして山野氏は、この2代目CR-Xを操り、1992年の全日本ジムカーナ選手権のチャンピオンを獲得しています。

ジムカーナ向きといえるキビキビした挙動を持ったこのCR-Xは、山野氏にとってドライビング技術を学ぶに最適な車両だったようです。

それを証明するかのように、山野氏はその後2016年までに15回もの全日本ジムカーナ選手権チャンピオンを獲得しています。

山野氏のドライビング技術は、このCR-Xによって磨かれたと言っても過言ではないでしょう。

 

CITY

 

ホンダ・シティGA2型 N1規定レース車両(※山野選手が乗っていたものではありません)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3

 

ジムカーナで腕を磨いた山野氏は、2代目ホンダ・シティ(GA型)にてN1耐久(現スーパー耐久)にも参戦していました。

この2代目シティは、ローパワーながらもCR-X同様にキビキビとした挙動を持っており、その高い運動性能を武器に格上の車両を相手にしても遜色のないレースを見せていたのです。

ジムカーナというタイムを競う舞台で大活躍した山野氏は、このシティでサーキットレースのイロハを学んでいたのです。

 

NSX

 

出典:https://supergt.net/pages

 

1999年より全日本GT選手権に参戦を開始した山野氏は、2004年にM-TEC(旧無限)が手掛けたNSXに乗りGT300クラスに参戦。

このNSXは、GT500クラスに参戦していた車両に変更を加えGT300クラスへデビューしたマシンとなっていました。

様々なマシンが参戦している激戦の同クラスにおいて常に安定した速さを見せたこのNSXと山野氏は、同年見事に自身とチームにとって初となるGT300クラスシリーズチャンピオンに輝いたのです。

 

山野哲也の「前期」GT300クラス

 

出典:https://supergt.net/pages

 

山野氏は自身のGT300におけるキャリアを「前期」と「後期」に分けて考えているようです。

彼はN-TECと共にNSXでチャンピオン獲得した後に2年連続でチャンピオンを獲得した頃を「前期」としており、その「前期」ではそれぞれ違うマシンでシリーズチャンピオンを獲得しています。

それでは、山野氏がチャンピオンを獲得したNSX以外のマシンたちをご紹介していきたいと思います。

 

MR-S

 

出典:http://ms.toyota.co.jp/

 

NSXでチャンピオンを獲得した翌年となる2005年、山野氏はTEAM RECKLESSからMR-Sに乗りGT300クラスに参戦しました。

コンパクトで高い運動性能を持ったMR-Sは、前年に乗っていたNSXやジムカーナ時代に乗っていたCR-Xと同様に彼のドライビングスタイルにマッチしていたといえるのではないでしょうか。

山野氏はこのMR-Sに乗り、1勝を含む6回の表彰台を獲得し、圧倒的な強さでシリーズチャンピオンを獲得したのです。

 

RX-7

 

出典:http://forums.vwvortex.com/

 

MR-Sでチャンピオンを獲得した翌年となる2006年、山野氏はRE雨宮レーシングからRX-7に乗りGT300クラスに参戦しました。

山野氏は1999年から2001年にかけても同チームからGT300クラスに参戦しており、その活躍を買われた古巣への凱旋でもあったのです。

FR構造でありながらも前後の重量配分が50:50となるように作られたRX-7は、山野氏のドライビングスタイルに応えることができる運動性能を持ち合わせていたといえるでしょう。

黄色いマシンのクォーター部にアスパラドリンクのロゴが描かれていたのがチャームポイントとなっており、印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

山野氏はこのRX-7で1勝を含む3回の表彰台を獲得し、シリーズチャンピオンを獲得しました。

 

山野哲也の「後期」GT300クラス

 

出典:https://www.exedy.com

 

山野氏が自ら「後期」と呼ぶGT300のスバル時代は、マシンの開発から始まりクラストップと言われるまでに成長させることの繰返しといえるでしょう。

そんな山野氏が開発したスバルのマシンたちをご紹介いたします。

 

IMPREZA

 

出典:https://supergt.net/pages

 

山野氏は2007年からアフターパーツメーカーであるクスコが主導となり開発されたスバル・インプレッサに乗りGT300クラスに参戦していました。

2006年から4WDが解禁となったスーパーGTに4WDの技術を持ち込んだスバルとクスコは、山野氏のアドバイスのもとマシンの改良を重ね、並みいるライバルたちと同等に闘えるまでに進化を遂げます。

その結果、2008年には優勝1回を含む2度の表彰台獲得と、ポールポジション1回という見事な活躍を見せたのです。

このインプレッサの開発を担当したのが山野氏であり、彼の経験と技術の高さを証明した1台といえるでしょう。

 

LEGACY

 

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クスコがレーシングチームを休止した2009年、山野氏はR&Dの手により製作されたスバル・レガシィに乗りGT300を闘うことになりました。

デビュー当初は4WDを採用していましたが思ったような成績は残せず、2010年よりFR化が図らたことにより、飛躍的な進化を遂げ、鈴鹿1000キロレースで見事に勝利を挙げたのです。

また、さらに開発が進んだ2011年には鈴鹿1000キロレース2連覇となる勝利を含む2勝を挙げ、シリーズランキング4位となる大活躍を見せました。

このように著しい成長を見せたこのレガシィですが、その活躍の裏には山野氏の精力的なマシン開発があったといいます。

そしてこの結果は、チームとドライバーが一体となりマシンを仕上げた結果といえるのではないでしょうか。

 

BRZ

 

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2012年から新たにスバル・BRZにマシンを変更してGT300クラスに参戦した山野氏とR&Dチームは、新しいマシンでの参戦となり、再び白紙の状態からスタートすることになりました。

しかし、インプレッサやレガシィなどの車両開発に携わった山野氏と、レガシィの車両開発でノウハウを得たR&Dチームは、最初こそ苦戦したものの、BRZを早い段階で戦闘力の高いマシンに進化させたのです。

その成果は翌2013年の成績として表れており、5回のポールポジションと鈴鹿1000キロでの勝利という好成績を残しています。

山野氏はこの2013年をもって、惜しまれながらGT300クラスから「勇退」しています。

現在もGT300クラスで活躍するBRZは、山野氏の車両開発があったからこその性能ともいえるでしょう。

 

まとめ

 

出典:https://m.facebook.com/tetsuya.yamano

 

山野哲也氏のキャリアを馴染みのマシンと共に振り返ってみましたが、いかがでしたか。

高いドライビング技術と開発能力は、彼の歩んだキャリアの集大成といっても過言ではないでしょう。

どんなマシンに乗っても速い。

例えそれがレンタルカートであっても同じことが言える、彼のドライビング技術には脱帽するしかありません。

現在では、ジムカーナだけに留まらずラリーにも挑戦している山野氏。

彼の今後の活躍に注目したいですね。

 

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