2ストロークレーサーレプリカと言えばNSR250R、TZR250R、そして忘れてはならないRGV250γです。スズキと言えば最新技術やデザインをいち早く市販車にフィードバックして、時には先進的過ぎて受け入れられない事もある程、時代の先取りをするメーカーでもあります。そのスズキがRG(レーサー・オブ・グランプリ)の名前を冠し、世界グランプリ直系マシンとして開発した、RGV250γをご紹介したいと思います。

出典:http://www1.suzuki.co.jp/motor/

 

レーサー直系の新型ガンマ!VJ21A RGV250γの登場

出典:http://www.styx.sk/motocykle/motocykle-suzuki/historia-suzuki

 

国産初のフルカウルレーサーレプリカRG250γとはギリシア語の栄光を意味するゲライロから来ている)。

国内レーサーレプリカの火付け役として、大人気となったモデルです。

その後TZR、NSRと伝説の名機が登場し、1988年にスズキもRG250γの後継機としてV型エンジンを搭載したVJ21、RGV250γを発売しました。

外装は、いち早く当時のWGPのトレンドであったスラントノーズのアッパーカウルを装着し、フレームもアルミツインスパーフレームを採用。シルエットはまさにレーサーそのもの!

スズキファンにとっては憧れの一台として今も根強い人気となっています。

特にSPモデルとして発売されたペプシカラーは、当時世界グランプリでのアグレッシブな走りが人気を博したケビン・シュワンツが駆るGPマシンそのものでした。

エンジンはV型エンジンとなり排気デバイスAETCを搭載、キャブレターはTM32SSを装備し、低速からパワーのあるエンジンとなりました。

それにより、戦闘力が大幅にアップしNSRとも互角に戦えるマシンとなったのです。

価格は30万~40万が相場となっています。

 

SPモデル

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カラーリングをペプシカラーとし、クロスミッション、減衰力付のフロントフォーク、リザーバー付きのリアショックなどが採用されているのに加え、1989年モデルのSPにはTM34SSの大口径キャブレターが装備され、サーキットユースにも対応されたよりハイスペックなものとなりました。

価格は50万~70万が相場となっています。

 

RGV250WOLF

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レーサーレプリカブーム真っ只中にネイキッドモデルとして発売されました。

ネイキッドブームを先取りしすぎたことにより、不人気車となりましが、ここもスズキらしくて個人的には大好きな一台です。

また、フロントブレーキは大径シングルディスクとなり、一般道でのコントロール性を高めています。

レーサーのようなたれ型のセパレートハンドルにネイキッドと言う、一時代前の市販車を峠仕様に改造したような独特的なスタイルに、ガンマのエンジンの戦闘力というのが魅力的な一台です。

基本スペック(VJ21ASTD)

型式:VJ21A
エンジン:水冷2ストローククランクケースリードバルブV型2気筒
排気量:249cc
最高出力:45ps/9500rpm
最大トルク:3.8kg-m/8000rpm
フレーム:アルミツインスパー
全長:1990mm
全幅:695mm
全高:1065mm
サスペンション:Fテレスコピック Rスイングアーム
ブレーキ:Fダブルディスク Rシングルディスク

 

大幅なシャーシ変更された、VJ22A

 

RGV250γはとにかくストレートは速いが、コーナリングに難があるというのが定評でした。

それを大幅に改良されたのが、VJ22Aです。

このモデルは前期モデル、後期モデルとして分けられるので、それぞれご紹介いしてきたいと思います。

 

前期モデル 1990年~1992年

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特筆すべきはやはりガルアームと倒立フォークです。

2ストロークエンジンにおいて、もっともパワーに影響すると言っていいチャンバーのレイアウトの自由度を持たせるために、湾曲させたガルアーム。

NSRのガルアームは直線的に溶接されたくの字のガルアームでしたが、TZRとRGVガンマはまるでワークスマシンの美しい湾曲を描くもので、レースファンにとって非常に魅力的な物でした。

また倒立フォークは、元々ばね下重量を軽くする事と、剛性を上げることを目的にオフロード車で開発された技術でしたが、当時オンロードレースの世界でも常識となっており、それがフィードバックされ市販車にも導入されたものです。

ホイールも17インチ化され、よりコントロール性を上げたものとなりました。

エンジンは排気デバイスを2段階から3段階のより詳細なコントロールが可能になったAETC‐Ⅱに変更され、チャンバーも左右二本出しから右側二本出しに変更されています。

 

後期モデル 1992年~1993年

 

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後期モデルの大きな特徴は、スイングアームがガルアームからスズキがWGPで使用していたトラスフレームに変更された事です。

これはNSRと同じくガルアームのパテントをヤマハが持っていたため、使用期限切れのよる変更だと言われています。

また1992年後期からは基本設定に変更はありませんが、馬力規制のあおりで45馬力から40馬力に下方修正されました。

前期後期とも中古相場は50万~70万ほととなっています。

 

SP・SP2モデル

 

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サーキットユースモデルとしてSPモデルが発売されています。

そして、カラーリングはWGPのシュワンツや故 沼田憲保選手が駆るワークスカラー・ラッキーストライクで今でも高い人気を誇っています。

また、クロスミッション、減衰力調整付フロントフォーク、リザーバー別体減衰力調整付のリアサスに乾式クラッチが装備されました。

それに加え、SPモデルをベースに、公道向けにミッションのみをノーマルのものとしたSP2がラインナップとして追加されています。

相場は60万~80万ほどになっています。

基本スペック(カッコ内は馬力規制後)

型式:VJ22A
エンジン:水冷2ストローククランクケースリードバルブV型2気筒
排気量:249cc
最高出力:45ps/9500rpm(40PS/9500rpm)
最大トルク:3.9 kg-m/8000rpm(3.9 kg-m/8000rpm)
フレーム:アルミツインスパー
全長:1980 mm
全幅:690mm
全高:1070mm
サスペンション:Fテレスコピック Rスイングアーム
ブレーキ:Fダブルディスク Rシングルディスク

 

2スト・レーサーレプリカ最後の進化VJ23A

 

出典:http://www1.suzuki.co.jp/motor/

レーサーレプリカブームが去り、ライバル車は1993年~1994年を最終にフルモデルチェンジを終えて延命処置状態の中、スズキは1996年にまさかのフルモデルチェンジを敢行します。

車名もRGV- γ250に変更され、国内モデルとして最後の2ストレーサーレプリカの最終進化となる車両です。

外観上は空力をさらに進化させた、丸みを帯びたカウル形状となり、ラムエアの取入れ口がアッパーカウル左についています。

このように、スズキはラムエアを積極的に市販車にも取り入れた事で、ストレートでの圧倒的な速さを誇ったのです。

そして長いストレートを持つ、高速サーキットの富士スピードウェイのSPレースではNSRでさえも追いつけず、富士はガンマでなくては勝てないと言われたほどでした。

また、ガンマの泣き所と言われたコーナーリング性能を上げるために、フレームも一新。ホイールベースの短縮化と軽量化も図られて大幅な変更が施されました。

スイングアームもトラス構造から、CALアームと呼ばれる薄型の強度を出しながらもチャンバーのレイアウトの自由度を持たせるものとなり、湾曲型のガルアームとはまた違った形状となっています。

エンジンもレーサーと同じ狭角70度バンクとなり、まさにレーサー直系の車両となりました。

それに加え、脱着が簡単にできる軽量700gのセルスターターを持つ事も特徴の一つです。

販売数も少ない中で、特にラッキーストライクカラーの最終モデルは、非常に希少価値の高い車両となっています。

この記念すべき一台もほかの2ストレーサーレプリカと同じく、排ガス規制の名の元1999年に生産を終え、歴史に幕を下ろすことになりました。

現在の中古相場は70万~90万 ラッキーストライクカラーが80万~120万ぐらいとなっています。

基本スペック

型式:VJ23A
エンジン:水冷2ストローククランクケースリードバルブV型2気筒
排気量:249cc
最高出力:45ps/9500rpm
最大トルク:3.5kg-m/8000rpm
フレーム:アルミツインスパー
全長:1965mm
全幅:695mm
全高:1095mm
サスペンション:Fテレスコピック Rスイングアーム
ブレーキ:Fダブルディスク Rシングルディスク

 

まとめ

ヤマハ、ホンダと違い、スズキは市販レーサーを出していませんでした。

そういったことから考えてみても、ワークスマシン直系で開発販売されたレーサーレプリカがRGV‐γだと言えるかもしれません。

ストレートでは圧倒的な速さを持ち、ヤマハ、ホンダに比べるとピーキーな仕上がりとなっていて、ハンドリングも独特がゆえに、それが大きな魅力となったガンマ。

2ストの魅力を本当に感じられる一台であることは間違いありません。

TZR、NSR、とはまた違った方向でこれぞ2ストと言えるRGV‐γは、2スト好きにはぜひ乗ってみてもらいたいモデルです。

オートバイの面白さは、なんといっても運動性能ではないでしょうか?

人がコントロールをしていると感じられる面白さは、この時代に、過激ともいえるこの車両だからこそ感じられる貴重な感覚。

長い手足をバランサーとして、RGV‐γ500を操り、優勝か転倒かというスリリングなレース展開から大人気を得ていたK.シュワンツ。そんな背景も感じられるかもしれません。

 

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