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MTで走ろう!今でも新車で買える3ドアホットハッチ、ダイハツL275系ミラってどんなクルマ?

かつてはスズキ アルトと並び軽自動車を代表する1台でしたが、エッセやミライース登場後はモデルチェンジも無く、かなり地味な存在となっているダイハツ ミラ。その現行モデルL275系ですが、燃費重視型の高効率エンジンが増える中、今でもパワフルなエンジンを搭載し「パワフルな走りの軽NAホットハッチ」的存在であることは、意外に知られていません。

 

ダイハツ L275Vミラバン / 出典:https://sportsland-sugo.co.jp/gallery/20151129_tohoku660/index.html

 

 

最後の純粋な「ミラ」となるか?ダイハツL275系ミラ

 

ダイハツ L275V ミラバン / 出典:https://sportsland-sugo.co.jp/gallery/20151129_tohoku660/index.html

 

ダイハツ軽乗用車のベーシックモデル、ミラの現行型7代目が登場したのは2006年のこと。

当時のダイハツでは既に軽乗用車のエントリーモデル、およびエコモデルとしてエッセ(L235系)が登場し、燃費と走りの両面から高い評価を受けつつありましたが、ミラにとって代わる存在というわけではなく、ミラもモデルチェンジを受けました。

デビュー当時のラインナップはベーシックな「ミラ」およびスポーティバージョンの「ミラカスタム」2種類でしたが、約1年後には商用モデルの「ミラバン」もモデルチェンジ。

型式はミラとミラカスタムがL275S(FF車) / L285S(4WD車)で、ミラバンはL275V(FF車) / L285V(4WD車)となっています。

さらに2010年からは軽自動車の独自生産を縮小しつつあった(2012年で完全終了)スバルにも「プレオ / プレオバン」の名でOEM供給を開始しましたが、2011年から「ピクシス」ブランドで始まったトヨタのOEM供給には含まれていません。

特徴的だったのは、ミラカスタムにのみ64馬力のDOHCターボエンジンKF-DET搭載車を設定していたことで、初代L55系以来の「ミラターボ」は健在でした。

ただし、先代L250系のミラアヴィまで設定されたターボ+MTの組み合わせは無くターボ+CVTの設定のみで、ソニカとともに「軽GT」的な存在としてのみ残された形であり、2011年7月にミラカスタムRSの消滅で伝統の「ミラターボ」は消滅。

ミラカスタムそのものも2013年2月に消滅し、乗用モデルではベーシックモデルのミラだけが、MT車専用グレードとして2018年1月現在も販売中です。

これは軽乗用車のベーシックモデルとなったミライースがCVTのみでMTの設定を持たないことが理由と思われますが、同じくミライースに商用モデルが無いこともあり、ミラバンも継続販売されています。

 

ターボは失ったものの、走りの3ドアMTは健在!

 

ダイハツ L275V ミラバン /  出典:https://sportsland-sugo.co.jp/gallery/20150426_tohoku660/index.html

 

ターボ車やスポーツバージョンそのものの廃止、ATやCVTモデルの廃止によって、乗用のミラは事実上「どうしてもMTでないとダメという保守層向けに細々と残ったモデル」となりました。

しかも5ドア車で車重は750kg(4WD車は800kg)とそこそこ重く、今となっては燃費性能に優れているというほどでもない(FF車でJC08モード24.2km/L)上に、ミライースの最廉価モデルより高価(ミライース「B」84万2,400円に対しミラ88万4,572円)。

装備面でも優れているとは言い難いので、ミラの乗用モデルを選ぶとしたら、「MT車がいい」という以外の理由はほとんどありません。

ただし、これが商用のミラバンとなれば話は別で、軽ボンネットバン(ボンネットを持つ2BOX軽商用車)、さらに軽乗用車まで含めた軽自動車では最後の3ドアハッチバック車となっており、車重は乗用のミラより40kgも軽い710kg(FF・5MT車)。

そしてエンジンはダイハツ軽自動車用としては標準的なKF-VEですが、ミライースのように効率重視で燃費に優れている代わりにカタログスペックの劣るタイプではなく、最高出力58馬力を発揮する高回転型!

ライバルとなる現行アルトバンのFF・5MTモデル(HA36V)が5ドアモデルながら軽量化を徹底した新設計で100kgも軽いとはいえ、そのスペックを並べると面白い事実が浮かんできます。

【ダイハツ L275V ミラバンTX・FF・5MT】

車重:710kg

最高出力:58ps / 7,200rpm

最大トルク:6.6kgm / 4,000rpm

パワーウェイトレシオ:12.24ps / kg

トルクウェイトレシオ:107.58kgm / kg

【スズキ HA36V アルトバンVP・FF・5MT】

車重:610kg

最高出力:49ps / 6,500rpm

最大トルク:5.9kgm / 4,000rpm

パワーウェイトレシオ:12.45ps / kg

トルクウェイトレシオ:103.39kgm / kg

パワーウェイトレシオとトルクウェイトレシオは数値が少ないほど力強くなりますが、軽量の最新アルトバンにトルクウェイトレシオでは負ける反面、パワーウェイトレシオではエンジンパワーで同等です。

もちろんコーナリング性能などは、車体サイズが同等なら軽い方が有利ですし、全高もアルトバンの方が55mmも低いため、空気抵抗の面でも有利。

しかし、純正状態で徹底的に軽量化を突き詰めたアルトバンに対し、ミラバンにはまだまだ軽量化の余地があるとすれば、さらにレースなどで空力パーツの付与が許されれば、その差を詰める余地もあるかもしれません。

付け加えて言えば、アルトバンはそのコンパクト&軽量化を実現する過程で燃料タンク容量が27Lに留まるのに対し、ミラバンは36L(4WD車でも34L)と大きいままでそれを実現している点にも注目です。

そして装備は簡素ながら、マニュアルミッションを駆使してスポーティに走るモデルとして考えると、細かいセクションをヒラヒラ走る短距離レース向きのアルトバンに対し、中高速コースで高回転まで駆使し、航続距離の長さも生かした耐久レース向きのミラバンと言えます。

この差を活かしたチューニングベースとしてミラバンを考えると、3ドアボディなことも相まって、思ったよりスポーティに仕上げられるのではないでしょうか。

 

レースなどモータースポーツでも活躍するL275系ミラ

 

ダイハツ L275V ミラバン / 出典:https://sportsland-sugo.co.jp/gallery/20160413_cg/index.html

 

L275系ミラがデビューした当時は、まだダイハツのモータースポーツ全面撤退(2009年1月)の前で、ダイハツ車専門のジムカーナ、ダイハツチャレンジカップがまだ存在しました。

それも含めて軽自動車向けモータースポーツイベントにはKCテクニカ(京都)やHit’s テクニカルワークス(長野)が、FF・NA・5MTのL275SミラやL275Vミラバンをベースにチューニングやドレスアップを施したマシンを製作、参戦させています。

ただし、ダイハツワークスであるDRSやそのサポートを受けたチームがダートトライアルやラリーで活躍のメインに選んでいたのはブーンX4やストーリアX4で、軽自動車では改造車にミラジーノ(2代目)やミラアヴィの4WDモデルが参戦していたくらいでした。

いずれダートトライアルなどでL275系ミラのワークスチューン車が登場したかもしれませんが、その前にダイハツがモータースポーツから撤退したことで実現していません。

そのため、前述のショップチューン車などプライベートチューン車が軽自動車向けのジムカーナイベントなどに参戦するに留まりました。

その状況に変化が起きたのは2011年の東日本大震災以降、それ以前から企画されていた「東北660選手権」など、新規格軽自動車のNAモデルに限定したレースが始まってからです。

有力車種としては軽量パワフル、中古車のタマ数も多いスズキ HA23Vアルトバンや、ダイハツ L235Sエッセでしたが、L275Vミラバンも同じく脚光を浴びていきました。

エッセとほぼ同等の車重で同じエンジンを搭載、HA23Vアルトバン同様に3ドアのためレーシングモディファイが映えるとあって、有力チームなどに使用されていくようになったからです。

さらに、ライバル車のほとんどが中古車でしか購入できませんでしたが、10年以上生産されているため中古では古さを感じさせず、新車購入も可能で部品の入手も容易、という大きなメリットがありました。

レースなどモータースポーツで使うには、部品入手性や基本設計の古さによるチューニングのしやすさやノウハウの蓄積といった面もよい影響を与えるので、今後もL275系ミラはミラバンを中心に長く使われていくことでしょう。

 

主要スペックと中古車価格

 

ダイハツ L275V ミラバン / 出典:https://sportsland-sugo.co.jp/gallery/20150426_tohoku660/index.html

 

ダイハツ L275V ミラバン TX 2018年式

全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,530

ホイールベース(mm):2,490

車両重量(kg):710

エンジン仕様・型式:KF-VE 水冷直列3気筒DOHC12バルブ

総排気量(cc):658cc

最高出力:58ps/7,200rpm

最大トルク:6.6kgm/4,000rpm

トランスミッション:5MT

駆動方式:FF

新車価格:74万571~94万8,343円

中古車相場:1万~92.8万円(各型含む)

 

まとめ

 

ダイハツ L275Vミラバン ©DCTMダイチャレ東北ミーティング

 

ダイハツ L275系ミラにはかつての「ミラターボ」あるいは「ミラTR-XX」といった軽スポーツホットハッチのブランドが残っていないだけではなく、MT+ターボ車というホットな組み合わせもありませんでした。

しかし、ミラバンには(おそらくは軽自動車最後となるであろう)MT+3ドアハッチバックという組み合わせが未だに残されており、1990年代のホットハッチ黄金期を想わせるスタイルが今でも実現可能です。

もちろんそのままではターボ車のようなパワフルさこそありませんが、そのまま軽量コーナリングマシンとして活かしてもよし、あるいはターボエンジンへのスワップチューンを敢行しても楽しいと思います。

現行アルトワークスがデビュー当初、久々に登場したマニュアルミッションを楽しめる新型ホットハッチとして話題になりましたが、ミラバンをベースとして「オリジナルのL275版ミラTR-XX」を作ってみるのも面白いと思いませんか?

 

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Writer Introduction
兵藤 忠彦

ダイハツ党で、かつてはジムカーナドライバーとしてダイハツチャレンジカップを中心に、全日本ジムカーナにもスポット参戦で出場。 その後はサザンサーキット(宮城県柴田郡村田町)を拠点に、主にオーガナイザー(主催者)側の立場からモータースポーツに関わっていました。

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