例年以上にレベルが高く注目を集めているスーパー耐久。その中でも特に「激戦区」と言われているST-4クラスは第3戦鈴鹿(6月11・12日開催)も見どころ満載のレースとなった。ここまでENDLESS・ADVAN・86が開幕2連勝を飾ってきたが、第3戦は果たしてどこが勝ったのか?今回は4クラスに特化して徹底レポートする。

Photo by Tomohiro Yoshita

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ランキングトップのENDLESS・86が苦戦!敗者復活レースに回ることに

大激戦のST-4クラス、第3戦鈴鹿の行方は?

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ここまで0.001秒を争う接戦が続いていたST-4クラス。比較的高速ステージと言える鈴鹿サーキットでは予想だにしない展開となった。

開幕2連勝と絶好調だった#13ENDLESS・ADVAN・86。今回もポールポジション争いに加わるのかと思われたが、Aドライバー予選からタイムが伸びず苦戦。なんと合計タイムでトップから1.8秒遅れのクラス6番手になった。

今回の鈴鹿では「敗者復活レース制度」が導入。ST-X、ST-1を除く各クラストップ3に入ったチームはそのまま日曜の決勝へ進出。4位以下の車両は11日夕方に行われる敗者復活レースに回ることになる。もちろん13号車はトップ3に入っていないため、決勝をかけて100分のセミ耐久戦に出場することになった。

なおポールポジションは13号車の最大のライバルでもある#86TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86。2位以下に0.173秒の差をつけ今季2度目のポールポジションを獲得。

いきなりST-4クラスのトップを争っていた2台の明暗が分かれた。

仁義なき戦い「セカンドチャンス100」

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各クラス4位以下のチームで争われた「セカンドチャンス100」。各クラスに決勝出場権が得られる順位が決まっており、ここで万が一リタイアでもしようものなら決勝に出られなくなってしまう。

ST-4クラスは20台が出走。このうちの上位13台が決勝へ進める。夕日に照らされた鈴鹿サーキットは、決勝とはまた違った緊張感に包まれグリーンシグナルが点灯すると1周目から白熱のバトルが展開された。

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気になる13号車は予選同様に我慢のレースとなったがクラス4番手を獲得し決勝進出。織戸学が乗り込む#100アミューズ SPV 86もクラス5位で通過を果たした。

一方、ST-4クラスで奮闘する#48DIJONエンドレス ワコーズ NILZZ DC5や#12シビックTYPE-R⭐︎STAは規定順位に届かず敗退。決勝レースのグリッドにつくことがないまま、鈴鹿を去った。

ドライからウエットへの決勝は86vsS2000の対決に

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12日に行われたの4時間耐久の決勝レース。ポールポジションは86号車の86。フロントローには#95SPOONリジカラ S2000がつけた。

スタート前から雨がポツポツと降り始め、最後までスリックでいくかレインでいくかと各陣営が悩んでいたが、結局はほぼ全車スリックタイヤでスタート。序盤は順当に86号車と95号車の一騎打ちとなった。

開幕戦のもてぎ、第2戦のSUGOともにトヨタ86の上位独占を許しているホンダS2000勢。ここ鈴鹿でなんとか一矢報いようと95号車が攻め込んでいくが、今回の86号車はやや別格だった。

95号車に並びかける隙を与えず周回。1時間を経過したところで雨が本格的に降り出すが、これも冷静に対応。

折り返しとなる2時間を経過した時点で24秒のリードを築く。ドライバー陣も全くのノーミス。松井孝充から井口卓人、蒲生尚弥と順調にバトンをつないでいった。

“やっと掴み取った”86号車が今季初優勝

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今回の鈴鹿戦は日暮れ後にゴールを迎える「ナイトチェッカー」が初導入。鈴鹿8耐のように「LIGHT ON」を指示するボードが出されるなど、いつものS耐とは違う光景が見られた。

特にレース後半は雨量が多かったが、アンカーを務めた蒲生は最後まで着実に走行。最終的に91周を走破。95号車に42秒の大差をつけ、待望の今季初優勝を果たした。

開幕戦からずっと目標にしてきた優勝がやっと現実のものとなり、ドライバーやメカニックにも安堵の笑顔が見られた。

中盤スティントを担当した井口も「やっと勝てました」とホッとした様子。「今週末は流れがすごく良かったので、メカニックにもドライバーにも負担が少なく決勝に臨めました。これだけノーミスで行ければいい結果が出るんだなと改めて思いましたね」と、改めて86号車の高いパフォーマンスを感じていた。

苦戦続きだった13号車も、着実に表彰台の一角へ…ランク首位も堅持

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一方、今週末は我慢のレースが続いていた13号車だったが、持ち前の総合力でクラス3位を獲得。開幕戦から3戦連続で表彰台を獲得した。これでシリーズポイントも13ポイントを獲得し合計66ポイント。クラストップをしっかり守った。しかし86号車も着実にポイントを重ね、わずか7.5ポイント差に迫っている。夏以降の後半戦から佳境に入っていくチャンピオン争い。ST-4クラスは今年も激しいものになりそうだ。

まとめ

再三にわたって“激戦だ”とお伝えしているST-4クラスだが、3戦を終わってトップ3台が20ポイントいないにひしめいている状態。もちろん、この3台が万が一どこかでリタイアしノーポイントとなれば、その後ろに控えているマシンたちもチャンピオン候補に浮上することになる。

今年のST-4クラスは、最終戦の最終ラップ…もしかすると最終コーナーまで目が離せないバトルとなりそうだ。