ビギナーからベテランやプロまで多くのドライバーが集まるワンメイクレース。車両製作のコストが安価でできるため、これからレースを始めたい方にもおすすめできるカテゴリーです。そんなワンメイクレースに参加するために販売されているレース仕様車、またはベース車両を『カップカー』といいます。今回はそんなカップカーについてご紹介します。

 

2017 LOTUS CUP JAPAN

出典:http://www.lotus-cars.jp/news/news/lotus-cup-japan-2017-%E7%AC%AC5%E6%88%A6-%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88/

 

 

ワンメイクレース出走に必要なカップカー!試されるのは自らのドライビングテクニックのみ

 

ポルシェ 911 GT3 CUP

ポルシェGT3GUP / 出典:https://www.porsche.com/japan/jp/motorsportandevents/motorsport/customerracing/racingcars/911-gt3-cup/featuresandspecs/

カップカーとは、改造範囲が限られる同一車種で行われるレース(通称:ワンメイクレース)に出場するためのレーシングカーです。

レースは公道走行可能なナンバー付車両で争われるビギナー向けのものから、本格的なレーシングカーにカスタムされたもので争われるエキスパート向けのものまでさまざま。

出場車両の性能差はほとんどなく、イコールコンディションでレースが行われるため、順位はドライバーの技量で決まってきます。

 

軽自動車やコンパクトカーなどワンメイクレースが大人気

 

 

日本国内で行わるワンメイクレースは、軽自動車からスーパーカーまでさまざな車種で行われています。

ワンメイクレースで用いられる車種は街中にあるカーディーラーで購入できるものから、指定されたところからしか購入できないレーシングカーまで色々とあり、そのなかでも人気が高いのがホンダ・N-BOXやトヨタ・ヴィッツなど軽自動車やコンパクトカーで行われるカテゴリーで、カップカー製作のコストが比較的安価なことと、レースに初めて参加するビギナーが出場しやすいことが人気の理由。

一度のレースで50台以上のエントリーがあるほどの賑わいをみせています。

ここからは、そんなワンメイクレースで使われるカップカーを5台ピックアップしてご紹介します。

 

レース入門に最適!トヨタ・ヴィッツ

 

2018 Netz Cup Vitz Race

出典:https://toyotagazooracing.com/jp/vitz/report/2018/kansai/01/gallery.html

 

トヨタが開催する『Netz Cup Vitz Race(ネッツカップヴィッツレース)』は、国内A級ライセンスを取得すれば、『Vitz GR SPORT“Racing” Package』もしくは『Vitz “RS Racing”』 で出場できます。

ちなみに『Vitz “RS Racing”』の販売は終了しており、今は『Vitz GR SPORT“Racing” Package』が新車購入可能。

国内A級ライセンスはレース開幕前に行われる講習会に参加すれば取得できるので、レースの入門クラスとして最適なカテゴリーと言えるでしょう。

 

ヴィッツ GR SPORT”GRとヴィッツ GR SPORT“Racing” Packageをスペックで比較

 

トヨタ VITZ カップカー

ヴィッツ GR SPORT”GR / 出典:http://trdparts.jp/vitz_gr_sport-racing/spec.html

 

Vitz GR SPORT “Racing” Package

ヴィッツ GR SPORT“Racing” Package / 出典:http://trdparts.jp/vitz_rs-racing/

 

ヴィッツ GR SPORT “GR” ヴィッツ GR SPORT “Racing” Package
全長×全幅×全高(mm) 3,975×1,695×1,490 3,975×1,695×1,480
ホイールベース(mm) 2,510 2,510
車重(kg) 1,060 1,070
乗車定員(名) 5 5
エンジン種類 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC
排気量(L) 1.5 1.5
最高出力(kW[PS]/rpm) 80[109]/6,000 80[109]/6,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 136[13.9]/4,800 136[13.9]/4,800
トランスミッション 5速MT/CVT 5速MT/CVT
車両価格(円) 2,303,640 2,151,000

 

Vitz GR SPORT“Racing” PackageはVitz GR SPORT”GR”をベースにサスペンションやボディをレース仕様にリメイクしたものです。

2台をスペックで比較すれば、ほとんど差はありません。

Vitz GR SPORT“Racing” Packageも公道走行可能ですが装備は最低限になっており、ホイールは変更することを前提にしているため、元々が安価なスチールホイール(通称『鉄チンホイール』)が装着されています。

よって、一般道路の走行を前提にしたヴィッツ GR SPORT”GRよりも少し安価になっていて、オプションはレース車両に必須ともいえるロールケージ、強化サスペンション、ヘリカルLSDなどを用意。

レギュレーション適合に必要なオプションパーツを取り付ければ、そのままレースに出場可能です。

 

全世界のドライバーと対戦できる!GLOBAL MX-5 CUP仕様・マツダMX-5(ロードスター)

 

GLOBAL MX-5 CUP JAPAN

出典:https://mx-5cup.jp/archives/1881

 

マツダMX-5(日本名:ロードスター)をベースとした、世界同一ワンメイクレース『GLOBAL MX-5 CUP JAPAN』。

このレースには株式会社キャロッセから販売されるカップカー『GLOBAL MX-5 CUP 2018仕様車』で出場することができます。

 

GLOBAL MX-5 CUP JAPAN とは

GLOBAL MX-5 CUP JAPANは年間5戦で争われるシリーズ戦であり、マシンはGLOBAL MX-5 CUP 2018仕様車で統一されています。

しかも、アメリカから始まったレースなので、国内で年間通し上位になればアメリカのマツダ・ラグナ・セカサーキットで行われる世界一決定戦への出場権が与えられるという特典付きの本格ワンメイクレースなのです。

 

ロードスターS とGLOBAL MX-5 CUP仕様車の仕様・スペックで比較

 

Mazda MX-5 カップカー

出典:https://www.cusco.co.jp/products/mazda_global_mx-5_cup.html

 

ロードスターS GLOBAL MX-5 CUP仕様車
全長×全幅×全高 3,915×1,735×1,235 3,915×1,735×1,235
ホイールベース 2,310 2,310
車重 990
乗車定員 2名 1名
エンジン種類 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC
排気量(L) 1.5 2.0
最高出力(kW[PS]/rpm) 96[131]/7,000 115[157]/6,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 150[15.3]/4,800 200[20.4]/4,600
トランスミッション 6速MT 6速MT
車両価格 2,494,800 8,618,400

 

GLOBAL MX-5 CUP仕様車はアメリカ仕様のMX-5をベースに製作されるため、エンジンは2.0リッター、左ハンドルになっています。

また、車の開発・制作はアメリカのLong Road Racing社で行われるため、アメリカからの輸入車という位置づけ。

バケットシートやロールケージなどレースに必須な部品だけでなく、エンジンチューン、サスペンション、ボディ強化やホイールとタイヤまで専用品に変更されているため、購入すれば即レースに出場可能です。

しかし、公道走行不可のレース専用車のため、自走ではなく運搬車が必須。

車の価格も考えれば、GLOBAL MX-5 CUPの参戦には、かなりお金が必要になる事が想像できます。

 

国内最大級のワンメイクレース『86/BRZ Race』のトヨタ86/スバルBR-Zカップカー

 

86 BRZ カップカー

出典:https://toyotagazooracing.com/jp/community/number/201604.html

 

トヨタ86とスバルBRZで争われる『GR86/BRZ Race』は、織戸学選手や谷口信輝選手などスーパーGTのトップドライバーからレースを始めたばかりのアマチュアドライバーまで出場している大人気のワンメイクレースです。

このレースに出場できるカップカーは、TRDから販売されている『トヨタ86 “86Racing”』とスバルから販売している『スバルBRZ R Customize Package』の2車種となっています。

 

GR86/BRZ Raceとは

 

GR86/BRZ Raceは年間7戦で争われるシリーズ戦で、マシンはトヨタ86とスバルBRZが使用されます。

『プロフェッショナル』シリーズと、アマチュアドライバーしか参加できない『クラブマン』シリーズの2カテゴリーが用意されており、86またはBRZと国内A級ライセンスを取得していれば誰でも参加可能。

『プロフェッショナル』シリーズには国内のトップドライバーも参戦しており、プロと真剣勝負がしたいという方にはとっておきのレースといえるでしょう。

車両の改造できる範囲は限られており変更可能部品でも特定のパーツが大半なので、マシンの差があまりなくドライバーの腕で勝負できるレースとなっています。

 

スバルBRZとBR-Z R Customize Packageで仕様・スペックを比較

 

スバル BR-Z カップカーベース

BRZ R Customize Package / 出典:https://www.media.subaru-global.com/ja/

 

BRZ R BRZ R Customize Package
全長×全幅×全高(mm) 4,240×1,775×1,320 4,240×1,775×1,320
ホイールベース(mm) 2,570 2,570
車重(kg) 1,220 1,220
乗車定員(名) 4 4
エンジン種類 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC
排気量(L) 2.0 2.0
最高出力(kW[PS]/rpm) 152[207]/7,000 152[207]/7,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 212[21.6]/6,400〜6,800 212[21.6]/6,400〜6,800
トランスミッション 6MT 6MT/E-6AT
車両価格(円) 2,430,000 2,687,400

 

スバルBR-Z R Customize PackageはスバルBRZのグレードの1つとして販売されており、レースベース車両なので装備は最小限でホイールも鉄チンホイール。

BRZの中で、最も安価なグレードです。

レギュレーションでは、ナンバー付の車両でなくてはなりません。

エンジン本体はTRDにより封印されたものを搭載していなくてはならず、そのほかの交換可能な部品のほとんどはT.R.A. (トヨタカーズ・レース・アソシエイション)認定部品と決められています。

タイヤの交換もできますが、住友ゴム工業、日本グッドイヤー、ブリヂストン、横浜ゴムの決められた銘柄しか装着できないというかなり厳しいレギュレーションが定められています。

 

ライトウェイトスポーツの大御所!ロータスエキシージのカップカー

 

LOTUS CUP JAPAN

出典:http://www.lotus-cars.jp/news/news/lotus-cup-japan-2017-%E7%AC%AC6%E6%88%A6-%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88/

 

ロータスエキシージCUP360は、エキシージSからさらにパワーアップしたもので、ロータス車両のみで行われるレース『LOTUS Cup Japan』の『LCJクラスA』に出場可能な車です。

 

LOTUS Cup Japanとは

LOTUS Cup JapanはLCJA(ロータスカップ・ジャパン・アソシエーション)が主催し、年間6戦のレースでシリーズチャンピオンを決めるシリーズ戦です。

参加車両により4つのクラスに分けられて、エキシージCUP380は『LCJクラスA』に出場可能です。

 

エキシージSとエキシージCUP380を仕様・スペックで比較

 

ロータス エキシージ S

ロータス・エキシージS / 出典:http://www.lotus-cars.jp/our-cars/current-range/lotus-exige-s-coupe.html#gallery

 

ロータスエキシージカップ380

ロータス・エキシージ CUP 380 / 出典:http://www.lotus-cars.jp/our-cars/current-range/exige-cup-380.html#gallery

 

エキシージS エキシージCUP380
全長×全幅×全高(mm) 4,080×1,800×1,130 4,080×1,800×1,130
ホイールベース(mm) 2,370 2,370
車重(kg) 1,105 1,125
乗車定員(名) 2 2
エンジン種類 V型6気筒DOHCスーパーチャージャー V型6気筒DOHCスーパーチャージャー
排気量(L) 3.5 3.5
最高出力(kW[PS]/rpm) 258[350]/7,000 280[380]/6,700
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 400[40.8]/4,500 410[41.8]/5,000
トランスミッション 6MT/6速AT 6MT
車両価格(円) 8,800,000 13,662,000

 

エキシージCUP380とベースモデルのエキシージSを比較すれば、エンジンの最大出力と最大トルクが変わってきます。

といっても、エンジンのチューニング内容やそれに伴ったボディ強化、サスペンションセッティングが違い、その分スペックと価格の違いが!

また、エキシージSはLCJクラスAの一つ下にあたる『LCJクラス1』に出場でき、こちらもカップカーのベース車両にもなります。

LCJクラスAレギュレーションは、走行性能にかかわるチューニングが足回り(スプリングとダンパー)、LSD、ブレーキパッドしかできず、ロールバー、バケットシートの装着が必須。

さらに、出場車両が完成したらオフィシャルテクニカル・スポットというロータスの正規ディーラーへ持っていき、承認(インスペクション・プレートの装着)が必要です。

 

国内最高峰のワンメイクレース『ポルシェ カレラカップ ジャパン』のポルシェ911GT3CUP

 

カレラカップジャパン

出典:http://www.porsche.co.jp/ms/pccj/top.php#anchor-race01

 

ポルシェ911GT3で争われる『ポルシェ カレラカップ ジャパン』は、国内トップレベルのワンメイクレースとされており、アマチュアドライバーも参戦しますが、それを感じさせないほど高いスピードレンジとなっています。

参戦マシンは専用に製作されたカップマシン『ポルシェ911GT3CUP』のみで、厳しいレギュレーションの下、全ドライバーがイコールコンディションで争われるカテゴリー!

ドライビングテクニックに自信がある方は、是非挑戦して欲しいワンメイクレースです。

 

ポルシェ カレラカップ ジャパンとは

 

カレラカップは全6イベント11レースで争われ、国内ワンメイクレースの中ではレース開催回数が最多。

F1日本グランプリのサポートレースやスーパーGT選手権と併催されるなど、モータースポーツのビッグイベントと共催されることが多いカテゴリーで、レースはプロを含むすべての参戦ドライバーがシリーズチャンピオンを決める『オーバーオール』とアマチュアトップを決める『ジェントルマンクラス』が用意されていて、プロ以外のドライバーは2つのクラスでシリーズチャンピオンを目指します。

 

911GT3と911GT3 CUPを仕様・スペックで比較

 

ポルシェ・911GT3

ポルシェ・911GT3 / 出典:https://www.porsche.com/japan/jp/models/911/911-gt3-models/911-gt3/

 

ポルシェ GT3 CUP

ポルシェ・911GT3 CUP / 出典:http://www.porsche.co.jp/ms/pccj/cupcar/

 

911GT3 911GT3CUP
全長×全幅×全高(mm) 4,562×1,978×1,271 4,564×1,980×1,246
ホイールベース(mm) 2,457 2,456
車重(kg) 1,430 約1,200
乗車定員(名) 2 2
エンジン種類 水平対向6気筒DOHC 水平対向6気筒DOHC
排気量(L) 4.0 4.0
最高出力(kW[PS]/rpm) 368[500]/8,250 357[485]/7,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 460[46.9]/6,000 480[48.9]/6,250
トランスミッション 6MT/7速AT 6MT(ポルシェ 6速シーケンシャルドッグトランスミッション)
車両価格(円) 21,150,000 189,900ユーロ
【日本円:2475万円(2018年3月20日時点)】

 

911GT3CUPは、911GT3に比べて多数の変更箇所があります。

サスペンションセッティングで全高が低くなり、エアロパーツやウィング、ホイールもレーシングカーを意識したものに変更。

エンジンパワーはGT3のほうがありますが、6速シーケンシャルドッグトランスミッションが搭載されているため、ギア比はサーキット仕様となり、加速はGT3に勝ります。

これはまさにレーシングカーそのものであり、公道走行がメインの911GT3とは大きく異なるマシンなのです。

 

まとめ

 

ポルシェ911GT3CUP

出典:http://www.porsche.co.jp/ms/pccj/news/20171205/

 

フォーミュラーカーやGTカーレースの多くは、マシンの性能差で勝ち負けが決まりますが、ワンメイクであればドライバーの腕一本での真剣勝負。

プロとアマチュアが勝負できる場でもあるため、自らのドライビングテクニックがどれほどのものか、またプロのドライビングを見てどう改善していけばよいのかを見つけられる実践ステージの1つ!

もしかすれば、プロに勝つなんてこともあるかもしれません。

レースデビューは自らカップカーを購入し、ワンメイクレースから初めてみてはいかがでしょうか。

 

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