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JTCC元年を戦った異色の名車!女神の名を冠した美人薄命セダン、トヨタ・カローラセレス

トヨタ初のコンパクト4ドアハードトップセダンとして、世に送りだされたカローラセレスは、居住性を無視してデザインされたスタイリッシュさが魅力で、低いルーフがモータースポーツで活躍するきっかけとなった1台です。4ドア版レビン/トレノと呼ばれ、生産年数わずか6年。一世代で消え去ったクルマの運命をご紹介いたします。

 

カローラセレス / 出典:https://www.favcars.com/

 

 

ハードトップながら4A-GEエンジン搭載モデルも存在

 

カローラセレスリヤビュー / 出典:https://www.favcars.com/

 

カローラセレスはスプリンターマリノ、カローラFXと共に1992年5月18日に発売されたトヨタ初のコンパクトクラス・ハードトップ車です。セレスという車名は、ローマ神話に登場する“実りの女神 セレス”が由来となっており、その名の通り曲線を多様した美しい女性的なデザインから命名されました。

そして当時、人気を博していたカリーナED、コロナEXiVなどの4ドアハードトップセダンの形状をカローラサイズにして、姉妹車スプリンターマリノとともにその期待に応えて発売されたのです。

ボデイ形状を少しだけ補足させていただくと、サッシレスのドアガラスを上げた状態にするとセンターピラーが隠れる形になっているピラードハードトップ車”の部類に入る事が特徴でもありました。

 

スプリンターマリノ / 出典:https://www.favcars.com/

 

トヨタ自動車の、セレスに対する開発コンセプトは『若々しい感性にフィットするースタイリッシュ・コンパクト』。

さらに1992年当時の販売資料によると、”ヤングファミリーにマッチするお洒落なスタイルセダンを目指した”となっていて、インテリアも若者にあったデザインに仕上げられています。

また、エンジンパワーユニットは、1992年当時の101型レビン・トレノと共通のラインナップで、1.5リッター105ps(5A=FE)、1.6リッター115ps(4A-FE)、1.6リッター160ps(4A-GE)の3種類から選択可能。

なかでも、セレス”G”に搭載された4A-GEエンジンは、5バルブ機構とともに可変バルブタイミング機構も備えている”高性能ツインカムエンジン”で、リッター当たり100psを達成していました。

参考までに当時の東京市場での販売価格は、5A-FEエンジン搭載の”F”(5速MT)が129万円で、4A-GEエンジン搭載の”G”が176万6千円と幅広く設定。

1994年にマイナーチェンジとして、フロントバンパー・グリル、リアテールランプ付近のデザイン変更が行われ、販売促進のテコ入れが図られる事に。

しかし、現実は残念な事にルーフの低いスタイリッシュデザインで失った居住性を嫌煙するユーザーが多く、折しも到来したRV車ブームの影響もあって販売台数は減少の一途をたどり、1998年に惜しまれながら、わずか一世代で販売を終了する事になりました。

 

コンパクトハードトップのスペック、幻のクルマTRD2000とは!

TRD2000カローラ / COPYRIGHT© TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

 

【カローラセレス・スペック】

車名:COROLLA CERES
製造国/製造工場:日本・関東自動車工業/横須賀
販売期間:1992年5月―1998年6月
乗車定員:5人
ボディタイプ:4ドアハードトップセダン(4ドアクーペ)

【エンジン】

・5A-FE型:1498cc 直4 DOHC 105ps6000rpm/13.8kgm4800rpm
・4A-FE型:1587cc 直4 DOHC 115ps6000rpm/15.0kgm4800rpm
・4A-GE型:1587cc 直4 DOHC 160ps7400rpm/16,5kgm5200rpm

トランスミッション:4速AT/5速MT/6速MT

駆動方式:FF

サスペンション:前後ストラット式コイルスプリング

全長:4365m

全幅:1695mm

全高:1315mm

ホイールベース:2465mm

車両重量:1020-1100kg(MTモデル)

 

幻のクルマ『TRD2000』

 

TRD2000というクルマを、ご存じの方はあまり多くないと思います。

そのクルマは、TRD『トヨタテクノクラフト株式会社』が当時JTCCに参戦していたカローラと、カローラセレスの4ドア車両をベースに排気量の大きな2000ccエンジンを搭載して発売した、”バブリー”なコンプリートモデルでした。

心臓部分にはMR2やセリカなどで実力が評価されていた『3S-GE型エンジン』を換装して搭載していることが特徴で、”東京地区限定”で僅か99台のみ販売されたプレミアムカー。

価格は300万円以上ということでしたが、現代ほどインターネットの普及が進んでいなかった時代背景を踏まえると、その発売すら知らないユーザーが多かったのが実際の所だと思います。

カローラのセダンモデルは10台程度、そして”カローラセレス”モデルのTRD2000は2台ほど製作されたという記録が残っていますが、現在では探してもなかなか見つからない、正に”幻のクルマ”といえるでしょう。

 

フロント18インチ、リヤ15インチのレーシングカー

 

3S-GEエンジン/出典:https://www.favcars.com/

 

【ADVANセレススペック】
エントラント:土屋エンジニアリング
シャシー:トヨタAE101
駆動方式:FF
エンジン:3S-GE 直列4気筒1998cc
タイヤ:ヨコハマ
ミッション:X-TRAC製シーケンシャル6速
サスペンション:前スーパーストラット/後ストラット

 

あまり知られていないことなのですが、カローラセレスは、1994シーズンに開催された全日本ツーリングカー選手権(JTCC)に参戦してシーズンを戦っていました。

JTCCとは、国内主要メーカーが参戦して盛り上がっていた2リッター4ドアセダンをベースに『クラスⅡスーパーツーリング』規定で開催されていたツーリングカーレースです。

なかでもトヨタ勢は、コロナをトムス、カローラはTRD、そしてカローラセレスが土屋エンジニアリング、姉妹車のスプリンターマリノにおいては板東商会と、スーパーGTでもお馴染みの豪華な顔ぶれのコンストラクターがメンテナンスを行って多数参戦していました。

ちなみに、土屋エンジニアリングがカローラセレスを選択した理由は、「ルーフが低く前面投影面積が小さい為、空力性能で有利だ。」といういかにもレースを知り尽くした技術屋さんらしい選択肢からだといわれています。

また、このことを立証するデータとして、セレスは参戦したほとんどのレースでストレートでの最高速スピードをマークしています。

しかしその反面、リヤホイールハウスが狭かったためフロントは18インチ、リヤはなんと15インチという異径サイズのホイールしか装着出来なかったのがレースでは不利な要因となってしまいました。

つまり、前後のタイヤに互換性が無い為、タイヤが5本までしか使用できないレギュレーション上、スペアタイヤの本数に余裕が無くなってしまうという事態が発生してしまうのです。

サスペンションは開幕戦当時、1993年まで開催されていたグループA車両のAE101型レビン/トレノのものが流用されていました。

エンジンは、トヨタモータースポーツでは定評のあった3S-GE型を搭載し、信頼性を重視。

翌1995年は、ドライバーに影山正美選手を抜擢して第1戦富士スーパーツーリングカーレースで、見事4位に入賞しています。

しかし、第4戦鈴鹿以降マシンがコロナEXiVに変更されたため、シーズン途中でひっそりとその役目を終えました。

 

まとめ

 

カローラセレス / 出典:https://www.favcars.com/

 

モータージャーナリストや自動車評論家が口にする”4ドア版レビン/トレノ”というキーワード。それは、4ドアセダンのカローラだけでは無くカローラセレスに対しての比喩表現でもありました。

AE101型レビン・トレノと共通の4A-GE型エンジンを搭載し、インパネまわりもレビン・トレノと同じでシートに腰掛けた雰囲気もそっくり、足まわりも基本的には共通で、レビン・トレノ用アフターパーツの流用が可能な事というのが主な理由です。

そのため、カローラセレスを自分仕様にカスタマイズした車両や、海外の映像でモデファイされて参戦するセレスラリーカーなどを目にすると、正に”4ドア版レビン/トレノ”というフレーズが浮かんでくるのではないでしょうか?

トヨタのデザイナーが目指した『若々しい感性にフィットするースタイリッシュ・コンパクト』。

そんな中、生み出された居住性を無視してルーフを低くし、フロントウィンドウの傾斜して創り出されたスタイリッシュなデザイン。

カローラセレスには、ハードトップ車は格好いいこと、そして美しいことが最優先というデザインに対する確固たるこだわりと、バブル時代の残り香が少し漂っていました。

 

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☆Snufkin☆

早朝のワインディングロードとサーキットの雰囲気をこよなく愛するフリーライター。 プロダクションバイクレース参戦を経てBMW・DriverTraining受講を機に四輪レース転向。AE86N1、JCCAの旧車レースに出場。日産レーシングスクール十勝卒業。モータースポーツを含め車・バイク文化が日本に根付く事を願い執筆活動中。愛車はBMWe91M・ZXR750H1

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