Motorz

クルマ・バイクをもっと楽しくするメディア

Motorz

CATEGORYRace, Car

公道走行可能な最速のマシン!?数々のレースで圧倒的な強さを誇ったマセラティMC12

FIA-GT選手権参戦のために作り出されたホモロゲーションモデル『マセラティMC12』。カーボンモノコックフレームボディにフェラーリのエンジンを搭載したスペシャルモデルとして登場し、生産台数はわずか50台。生産終了となってから約13年が経過した、マセラティMC12の魅力に迫ります。

 

マセラティMC12

Photo by Simon Davison

 

 

FIA-GT選手権制覇のために開発されたマセラティMC12

 

 

マセラティMC12は2004~2005年の間に限定発売された2シータースポーツカーで、マセラティ創設90周年にあたる2004年にジュネーブモーターショーで発表されました。

そんなマセラティは、これまでにシトロエンの傘下になったり、デトマソの傘下になったりと紆余曲折はありつつも、長い歴史を誇るイタリアの自動車メーカーで、この『マセラティMC12』がデビューした頃は、”フィアット傘下のフェラーリの傘下”という状況でした。

そのためMC12は、2002年にデビューしたエンツォ・フェラーリをベースに開発したモデルとなっています。

 

著名デザイナー/ドライバーによって開発

 

 

 

 

プロジェクトは、F1チーム『スクーデリア・トロ・ロッソ』の技術責任者などを務めた経験をもつ、ジョルジオ・アスカネッリ(Giorgio Ascanelli)がリーダーとなり進められました。

そしてボディデザインの初期型や風洞実験時のエアロダイナミクス修正は自動車デザイナーの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ氏が担当。

ボディスタイルの大部分は BMW miniやフェラーリ430、後にマクラーレンMP4-12Cをデザインし、2008年には全米最大の自動車サイト『Autoblog』で最も影響力のあるカーデザイナーに選出された自動車デザイナー、フランク・スティーブンソン(Frank Stephenson)氏が手掛けています。

また、テストドライバーにはマセラティ専属テストドライバーだったアンドレア・ベルトリーニ(Andrea Bertolini)氏に加え、F1界の皇帝といわれたミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏も協力。

このように、MC12の開発は多くの著名デザイナー/エンジニア/ドライバーによっておこなわれ、マセラティが並々ならぬ思いで開発したことが伺えます。

 

エクステリアはすべてカーボン素材でハマーH2より大きい?

 

マセラティMC12

Photo by Ben

 

MC12の外装は、全てカーボンで作られています。

また、エンジンは乗車席後方のミッドシップに搭載され、ダウンフォースを稼ぐために全長と全幅はかなり長く、全幅2メートル10センチとなっているので、一般の駐車場には中々停められないかもしれません。

ちなみにアメリカ車の大型SUV・ハマーH2は全長5,171mm、全幅2,062mmのため、全長では若干MC12のほうが短くても、全幅ではH2を超える長さです。

そしてカラーリングは追加オプションでオリジナルカラーにできますが、基本カラーはMaserati Blue(マセラティブルー)とBianco Fuji(ビアンコフジ:ホワイト)のツートンのみ。

 

エンジンはエンツォ・フェラーリと同じ

 

エンツォ・フェラーリのエンジンルーム

エンツォ・フェラーリのエンジンルーム / Photo by sind3ntosca

 

エンジンはエンツォ・フェラーリに搭載されている排気量5,998ccの65°V型12気筒48バルブエンジンで、ドライサンプ化されています。

そしてミッションはクラッチのない6速セミオートマチックで、わずか0.150秒でギアチェンジ可能。

このあたりはほとんどエンツォ・フェラーリと同じものですが、ギアレシオには変更が加えられてます。

 

インテリアは以外にもラグジュアリー

 

マセラティMC12

Photo by Robert Sullivan

 

MC12はタルガトップを備えた2ドアクーペで、屋根をとり外した時の収納場所が確保されています。

また、内装の装備はレーシングカーらしくシンプルですが、使われている素材はゲルコートのカーボンファイバー、ブルーレザー、そして業界内ではあまりにも高ずぎるとされている合成素材のシルバー・ブライトテックス。

装備はエアコンとパワーウィンドウはありますが、カーステレオやラジオはありません。

予想以上に乏しい装備と感じるかもしれませんが、かなり高価な素材がいたるところに使われているため、内装は高い質感です。

 

シャシー&足回りの設計はレーシングカーかつグランドツーリングカー仕様

 

 

シャシーにはキャビン部分にモノコック型が採用され、カーボンファイバーと難燃作業服などに用いられるノーメックスを使用。

車体前後にはアルミ製のサブフレームが搭載されており、安全性確保のためにロールケージも組まれています。

また、サスペンションの方式は前後共にダブルウィッシュボーンを採用。

公道の段差を乗り越えるために、前輪のみボタン一つで車高をあげることが可能になっています。

タイヤサイズはフロント245/35ZR19・リア345/35ZR19で、ブレーキはフロントに直径380mmのディスクとブレンボ製6ピストンキャリパー、リアに335mmディスクと4ピストンキャリパーを搭載。

走行モードは『標準』、『スポーツ』、そして、ボッシュ製”ASR(anti-slip regulation)”というトラクションコントロールをオフにした『レース』の3つが用意され、サーキットだけでなく公道走行の乗りやすさも含めて設計されています。

MC12はレーシングカー前提の過激な作りに思われがちですが、高速ツアラー的要素も含んでいるところも魅力の1つです。

 

新車価格は1億円!限定50台のプレミアムスポーツカー

 

 

MC12は、発売当初の日本円で1台1億円とされ、2004年に30台、2005年に25台を生産。

そのうち5台は販売用ではなかったため、標準モデルのMC12は50台が売り出された事になります。

また、2006年のFIA-GT選手権にMC12で参戦したチームが優勝したことを記念する『ベルシオネコルセ』が12台限定で販売。

当時の販売価格は約1億5,300万円であり、欧州の排ガス規制上、公道走行は不可でした。

 

GT1クラスの無敵艦隊!マセラティMC12のレースの活躍

 

マセラティMC12

Photo by Tony Harrison

 

2005~2010年の間、FIA-GT選手権GT1クラスにはアストンマーチンDBR9、サリーンS7R、シボレーコルベットC6などが出場していました。

MC12は、そんなグループGT1カテゴリーのレースで多くの勝利を飾ったのです。

マセラティ勢の参戦チームは、Vitaphone・Racing・TeamとJMB・Racingの2チームで、Vitaphone・Racing・Teamは、なんとMC12で2005年から5年連続シリーズタイトルを獲得。

その後、マセラティは2011年にGT1クラスへの参戦から撤退したため、参戦したシリーズすべてでタイトルを獲得したことになります。

また、FIA-GT選手権GT1クラスは2013年には消滅したため、GT1カテゴリー末期に最速を誇ったGT1マシンとなりました。

そしてFIA-GT選手権だけでなく、世界三大耐久レースの一つとされるスパ・フランコルシャン24時間レース(通称:スパ24時間)でも2005年、2006年、2008年に優勝を飾り、スプリントレースだけでなく耐久レースでも速さを発揮しています。

 

マセラティMC12のスペック

 

マセラティMC12

Photo by Ben

 

マセラティMC12
全長×全幅×全高(mm) 5,143×2,100×1,205
ホイールベース(mm) 2,800
車重(kg) 1,335
エンジン V型12気筒DOHC48バルブ
排気量(cc) 5,998
圧縮比 11.2
最高出力(kW[PS]/rpm) 465[632]/7,500
最大トルク(N・m[kgf-m]/rpm) 652[66.5]/5,500
トランスミッション 6速セミAT
0-100km/h加速(秒) 3.8
最高速度(km/h) 330

 

中古車取引相場価格が新車時の2倍!今では幻のスーパーカー

 

マセラティMC12

Photo by Robert Sullivan

 

マセラティMC12はレースで輝かしい結果を残したものの、通常モデル50台、ベルシオネコルセ12台しか販売されなかったため、現在では非常に希少なスーパーカーとなっています。

イタリア・ミラノで行われたオークション『DUEMILA RUOTE』に出品されたMC12には3億円以上の価格がつくほどで、現在中古車市場やオークションで見ることは、ほとんどありません。

世界中に数々のクラシックスーパーカーは存在しますが、その中でもMC12は別格の存在なようです。

 

まとめ

 

マセラティMC12

Photo by Ben

 

マセラティMC12のトータルレース戦歴は、FIA-GT選手権GT1での優勝15回と32回の表彰台、スパ24時間耐久で優勝2回と、合計8つのタイトルを獲得しています。

このレースの成績からわかるように、GT1クラス出場のホモロゲーションモデルとしては、最速のマシンでした。

そんなMC12の戦歴とホモロゲーションモデルの希少性から、これからもスーパーカー史上伝説とされるクルマであることは言うまでもありません。

 

あわせて読みたい

Motorzではメールマガジンを始めました!

編集部の裏話が聞けたり、月に一度は抽選でプレゼントがもらえるかも!?

気になった方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みいただくか、以下のフォームからご登録をお願いします!


 

Writer Introduction
池田 勇生

自動車・バイクを専門にフリーライターをしています。10代からTVでバイクレースを観たり、自らミニバイクレースへ参戦もしたりなんかして、プロレーサーに憧れていた青春時代を過ごしていました。車離れやバイク離れといわれる昨今ですが、若い方へ多くの魅力を伝えていき今後の自動車・バイク業界を盛り上げていきたいです。

車買取.com