7リッターエンジンに軽量アルミフレームのZ06、スーパーチャージャーを装着して600馬力以上のモンスターマシンとなったZR1など、6代目コルベットにはホットバージョンが数多く登場し、開発が進められてきました。見た目、そして中身も完成形!熟成されたコルベットC6の魅力に迫ります。

 

6代目コルベット / 出典:https://www.favcars.com/

 

 

ターゲットは世界のポルシェ911

 

コルベットC6モデルリヤビュー / 出典:https://www.favcars.com/

 

ル・マン24時間耐久レースやアメリカン・ルマン・シリーズ(AMSL)など、モータスポーツの様々な分野で活躍し“世界に通用するスポーツカー”として認められた5代目コルベット。

今回はその基本設計を引き継ぎ、2005年に発売を開始したコルベットとしては6代目にあたる、通称『C6コルベット』をご紹介させていただきます。

5代目コルベットと比べてデザイン上大きく異なるのは、安全性の理由からリトラクタブルヘッドライトが廃止されたこと。

しかし、それだけではなく大柄でゆったりとしたデザインであったC5モデルにくらべて、6代目コルベットはよりシャープに絞り込まれ、戦闘的なフォルムに生まれ変わりました。

世界的なスポーツカーであるポルシェ911をターゲットに開発が進められた6代目は、登場した時点で世界を感じさせるひと味違うオーラを漂わせます。

メカニカルな基本構成を順に確認してみると、エンジンはC5コルベットで信頼性のあったLS1型を改良発展して開発された“LS2型”を搭載。

フレームは、トラクションを重視する為、ハイドロフォ-ム製法の鋼管フレームにトランスアクスル駆動方式を採用するなど、先代のC5コルベットをベースに開発されたことを随所に伺うことができました。

また、細かな所に目を向けると、トランスアクスル駆動の補強パーツとして、エンジン部分後端と離れているミッション部分を金属製バーにて接続することにより、さらにトラクションの向上が図られています。

そして脚廻りは定評のあったC5モデルを基本ベースにハードな方向で熟成されましたが、電子制御のダンパーを組み合わせて一般道での使いやすさも考慮したセッティングに。サスペンション方式は横置きリーフスプリングが採用されています。

例えるなら5代目コルベットで造りあげられた体幹ボディに、開発段階で鍛え上げられた筋肉をまとって世に送り出されたような6代目コルベット。

その進化は留まることを知らず、毎年のように特別モデルが発表され、世界のスポーツカーの頂点を目指す挑戦が続いていきました。

 

”GRANDSPORT”というネーミングモデル

 

1963年式 幻のコルベット”GS” / 出典:https://www.favcars.com/

 

一見、アニメーションや映画作品に登場するヒーローが乗るクルマが、スクリーンから飛び出してきたようなデザインのこのマシン。

こちらが、1960年代GTレースでのホモロゲーション取得を目指して製作された、コルベットの通称”GS”モデルです。

GSとは、GRAND SPORTの略で実際には僅か数台しか生産されなかった幻のマシンに対するネーミング。

シボレーは、50年以上の時を隔てて6代目のコルベットでこのマシンを復活させ、その名に恥じないスタイリングとスペックで驚かせてくれました。

 

現代に蘇った2010年式コルベットGS / 出典:https://www.favcars.com/

 

コルベットC6 ”GRAND SPORTS”の外観は、ベースモデルに比べて75mm以上も拡大された迫力満点のワイドフェンダーが装着されているのが特徴です。

それに伴いトレッドも拡大されていて、GSモデル専用のサスペンションが装着されています。

タイヤサイズはフロント:P275/35ZR18.リヤ:P325/30ZR19となっており、このサイズに見合う高性能なハイグリップタイヤを装着。

エンジンはC6のLS2エンジンをベースに開発された”LS3型”が搭載されていて、6.2リッターV8/OHVのパワーユニットは最高出力436ps、最大トルク58.6kgを発生するという、6代目コルベットをベースに製作されたホットバージョンです。

 

GRAND SPORTS スペック

エンジン:LS3型 V8 OHV

排気量: 6156cc

最高出力:436ps/5900rpm

最大トルク:58.6kgm/4600rpm

トランスミッション形式 :6速AT

全長:4465mm

全高:1250mm

全幅:1935mm

ホイールベース:2685mm

車両重量:1520kg

 

7リッターエンジン搭載モデル『コルベットZ06』

 

世界のスーパーカーに匹敵する速さのCORVETTE Z06 / 出典:https://www.favcars.com/

 

6代目コルベットに搭載されているLS2型エンジンは、5,967ccと並み居るライバルのスーパーカーに匹敵する排気量を誇っています。

しかし、コルベットの”Z06”モデルは、排気量をさらに1000ccアップした『6,997cc』に!!

ターゲットモデルのポルシェ911に対抗した、6代目のスペシャリティーカーです。

LS7と命名されたドライサンプ7リッタースモールブロックエンジンは、鍛造ピストンやチタン製バルブ、コンロッドを使用して軽量化され、その恩恵からエンジン耐久性が大幅に向上。

更に、チタニウム製インテークバルブ等コルベットのレーシングカーの技術が市販モデルにフィードバックされたエンジンはオーバー500馬力を達成し、そのパフォーマンスは、市販モデルとしてもはや世界の頂点に達していると考えられます。

強力なエンジンパワーを受け止めるブレーキはフロント6ポッド、リアに4ポッドキャリパーを装着していて、オプションでカーボン製のブレーキも設定。

シャーシ部分は、ベースモデルの鋼管フレーム素材をアルミニウムに変えて造形されて、軽量化と剛性アップが図られた車両重量は1440kgとなりました。

 

C6コルベットZ06 スペック

エンジン:LS7型  V8 OHV

排気量:6997cc

最高出力:511ps/6300rpm

最大トルク:64.9kgm/4800rpm

トランスミッション形式:6速MT

全長:4465mm

全幅:1935mm

全高:1250mm

車両重量:1440kg

 

6代目最後の刺客、モンスターマシンZR-1

 

647psを発生するスーパーチャージャーを装着するLS9エンジン / 出典:https://www.favcars.com/

 

コルベットZ06で世界のスポーツカーの頂点に達したと思われた6代目コルベットでしたが、最後の切り札としてシボレーが放ったのが『ZR1』モデルでした。

Z06搭載エンジンのLS7型にルーツ式スーパーチャージャーで過給を施した、ZR1モデルの心臓部分の名称は『LS9』。

レーシングカーで多く取り入れられているドライサンプ式のオイル循環方式も採用され、最高出力は実に647psを達成。

ブレーキにはカーボンセラミック製ローターを採用、フロントには6ポッドキャリパーを装着しレーシングカー並の強力なブレーキング能力を備えています。

また装着されるZR-1専用タイヤはフロント:P285/30ZR19、リア:P335/25ZR20で、セミスリックタイヤパターンのハイグリップ仕様。

スーパーチャージャーを装着することにより車重は1500kgとZ06より上回ってしまいましたが、パワーウェイトレシオは驚異の2.36kg/psを誇り、動力性能テストでのゼロヨンタイムは11秒3を叩き出しました。

 

コルベットC6 ZR-1スペック

エンジン形式:LS9 V8 OHV

排気量:6153cc

最高出力:647ps/6500rpm

最大トルク:83.5kgm/3800rpm

ミッション形式:6速MT

全長:4465mm

全幅:1935mm

全高:1250mm

ホイールベース:2685mm

車両重量:1530kg

 

 

まとめ

 

レーシングカーコルベットC6.R / 出典:https://www.favcars.com/

 

シボレーは『競争は私たちの遺伝子の中に』というコンセプトを掲げてレースに参戦し、その技術を市販車にフィードバックしてきました。

6代目コルベットに関してもそのスタンスは変わらず、サーキットを実験室として技術開発目的でレース参戦が行われています。

そしてアメリカン・ルマン・シリーズ(ALMS)には、2005年当初からGT1クラスに7リッターV8エンジン搭載のコルベットC6.Rを参戦させて、ベースモデルとしてのデータを集積。

2007年には主要メーカーがとったGT2クラスへの移行の動きに合わせる様に、コルベットC6もクラスをGT2に変更します。

その後2009年には、モンスターマシン『ZR1』ベースの新型C6.Rを導入。

GT2クラスのレギュレーションに対応するために排気量を6000cc化して参戦し、FIA GTのル・マン24時間耐久レースでは見事クラス優勝を飾りました。

また、2010年にはALMS GTSクラスやル・マン24時間耐久のGT2クラス等の新しいレギュレーションに適合させるために、エンジンの排気量を5500ccに縮小していますが、あくまでベースモデルZR1の軽量アルミフレームをベースにオーバーフェンダーやリヤスポイラーを装着する方法で製作されています。

そして2011年は、シボレーコルベットC6.Rでル・マン24時間耐久レースのLMGTE.PROクラスに再度挑戦し、ライバルであるフェラーリ、ポルシェ、アストンマーチン等、並み居る強豪を抑えて見事クラス優勝を達成。

シボレーコルベットは、世界最強のスポーツカーとして市販車販売へのイメージ戦略とレース開発のバランスを上手にとりながら、モータースポーツへの参戦を続けてきました。

その成果として、6代目コルベットでは2006年、2009年、2011年と3度に渡りル・マン24時間耐久レースでクラス優勝を飾り、その信頼性と速さは現在も人々の記憶に残っています。

 

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