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やっぱりバンドーンは凄い!スーパーフォーミュラ第3戦富士でみた「真の実力」

2016年の全日本スーパーフォーミュラ第3戦富士。決勝レースは各所でオーバーテイク合戦が見られ、いつもになく激しいレース展開となったが、週末を通して一番話題となったのは、やはりストフェル・バンドーンのポールポジション獲得。この週末に初めて富士スピードウェイを走ったにも関わらず、いきなりのトップタイムに関係者も驚いていた。そして筆者自身も「彼は来年確実にF1に行くべきドライバーだ」と感じた瞬間だった。

Photo by Tomohiro Yoshita

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開幕戦でいきなり3位表彰台を獲得

Photo by Tomohiro Yoshita

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2015年にGP2シリーズを制したバンドーンが、今年新たな活躍の場として選んだのがスーパーフォーミュラだった。

全19人のドライバーが参戦し、予選でのタイム差は1秒以内が当たり前。

0.001秒のミスが勝敗を分けるという超シビアなレースが毎回繰り広げられている。

そこにバンドーンはDOCOMO TEAM DANDELION RACINGから参戦。開幕戦の鈴鹿では予選4番手に食い込むと、決勝でも安定した走りで3位表彰台を獲得。さすがという走りをみせた。

第2戦岡山では予選Q1で電気系トラブルに見舞われアタック中断。後方グリッドに沈んでしまい、決勝も大雨で途中終了。不運続きのまま終了となってしまった。

 

走行2日目、しかも雨という難条件でのポールポジション

そして迎えた第3戦富士。これまでの2コースは開幕前の合同テストで事前に走り込む機会があったが、今回の富士は全くの初走行。

しかも金曜の専有走行からウエットコンディションと悪条件となってしまった。

しかし、大方の予想に反してバンドーンのタイムはいい。金曜こそ8番手だったが土曜フリー走行では2番手タイムに食い込んだ。

そのままウエットで始まった予選Q1では1分43秒343を叩き出しトップタイムでQ2へ進出。その流れ最終Q3へ駒を進めると、わずかなチャンスで完璧な走りを見せ1分40秒778をマーク。

何年もここ富士を走り込んでいるライバルを圧倒し、参戦3戦目で初のポールポジションを獲得した。

今までにも初来日の外国人ドライバーが1年目から結果を残すことがあったが、現在はシリーズのレベル自体が非常に高く、いくらGP2王者とはいえども、1年目からトップに立つのは難しいこと。

しかしバンドーンは、あっさりとそれを成し遂げた。しかも、雨という難しい条件の中でだ。

 

初走行だからこそ結果を出すための「事前準備」

Photo by Tomohiro Yoshita

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やはり気になるのは、初めて走ったコースでいきなりのポールポジション。予選後の記者会見でも彼に質問が集中した。

まず、初の富士でなぜポールポジションまで来られるほどの速さを引き出せたか?については「確かに富士は走ったことはないけれど、最初の印象はヨーロッパのコースに近いなという印象だった。だからすぐに馴染めたし、金曜の走行から違和感なく進められたし、自分としても走りやすいなとすぐ感じることができたよ」とのこと。

しかし、行き当たりばったりで掴んだポールポジションではなく、この富士に来る前からしっかり事前準備をしていたのだ。

Photo by Tomohiro Yoshita

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「マクラーレンのシミュレーターで10周ほど走ったよ。以前ここでF1も開催されていたから、そのデータがあったしね。あとは昨年のレース映像をチェックしたし、チームにある昨年のデータも見せてもらって情報は集めて準備はしてきたね」

この事前準備という点。この時感じたのは、同じようなことが鈴鹿でもあったのだ。

開幕戦の予選で4位を獲得した後にコメントを聞いたら「このレースはスタートが重要。その良し悪しで決勝結果が決まってしまうことがある。その点僕はこのマシンで実戦のスタートを切っていないからね。そこを意識したい」と、決勝レースで自分がライバルと比べて弱点となっていそうなところを、しっかり分析し、その対策をどう施していくべきか?を考えて各レースに臨んでいるという印象だった。

Photo by Tomohiro Yoshita

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このレースで勝つために何が足りないのか?何が必要なのか?を実戦経験がなくても見極める力が、彼は長けているのだろう。そして、その力は各サーキットでの走行チャンスが少ないF1でも必要な知識となってくるのだ。

現在のF1は、予選までにフリー走行が3回。時間にすると計4時間走ることができるが、特にテストをする機会がないヨーロッパ圏外のサーキットは1年に1回、そのレースウィークでしか走るチャンスがない。

つまり、実走行経験が少ないままレースに臨まなければならないのだ。

それが今から必要なのだというのが、彼はしっかり理解できており、それを実践していく場として今年のスーパーフォーミュラが役立っているのかもしれない。

Photo by Tomohiro Yoshita

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彼は開幕の時から「来年はF1に行く」「最終的に目指すところはF1だ」と、レギュラーシート獲得へ強いこだわりを見せている。

そのために今年何をしなければいけないのか?バンドーンはレースで勝つこと以外にも、来年以降の自分に役立つことを考えながらやっているのだろう。

そして、短期間でコースの特徴を覚え攻略法を見つけ出す力が、今回の予選で見事発揮された。

F1からも注目を集めているバンドーン。「やっぱり違うな」と感じさせてくれた瞬間だった。

決勝は不運なトラブルに見舞われリタイア

 

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翌日の決勝。ポールポジションにマシンを止めたバンドーンのところに多くのメディアが集まり、一斉にフラッシュが光った。

彼への注目は予選での活躍を経てさらに上昇。彼の初優勝を期待する声も多かった。

しかし、そう簡単に1年目のドライバーが勝てるほど甘くないのがスーパーフォーミュラ。スタート直後の1コーナーでは競り合いを意識しすぎてブレーキロック。コースオフを喫して4番手に後退する。

その後も果敢に前のマシンを攻略にかかるが、48周目の1コーナーで減速した際に突然ブレーキが破損。時速300km近い形でスピンを喫してしまった。

幸いクラッシュにはならずグラベルでマシンは停止。リタイアとなってしまった。

初優勝はお預けとなったが、予選で見せたあのインパクトは強く、次回以降の活躍を期待する声も大きい。

さらにポイントランキングも上位陣は接戦となっており、バンドーンもトップから6ポイント差の8位。逆転チャンピオンの可能性も十分残っている。

まとめ

 

Photo by Tomohiro Yoshita

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ヨーロッパでは来季のF1ドライバーズラインナップに関する話題も出始めており、バンドーンもマクラーレンのレギュラーシートを掴むのではないかと言われている。

そんな凄いドライバーが今年はF1よりも身近に観に行くことができるスーパーフォーミュラに参戦している。

ぜひ、機会があればサーキットへ足を運んで彼の走りを間近で観戦してみてはいかがだろうか。

Writer Introduction
Tomohiro Yoshita

フリーのモータースポーツジャーナリスト。サーキット取材は2011年からスタートし、最近ではSUPER GTスーパーフォーミュラを全戦取材。この他にもF1をはじめとする海外レースや、2輪レースもカバー。レースに関する記事だけでなく、サーキットに来場するファンに役立つ情報発信も展開しています。

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