スズキは1980年代中盤に50ccレプリカミニバイク・GAGを誕生させました。一部では「珍車」や「迷車」という見方もされていますが、GAGは50ccレプリカミニバイクの先駆けであり、50ccスポーツバイクや50ccでのバイクレースに大きな影響を与えた1台。しかし、なぜヤマハYSR50やTZM50R、ホンダNSR50よりもマイナー車となってしまったのでしょうか。GAGが登場した時代背景やマシン詳細、さらに他のライバル車より人気が出なかった理由などに迫ります。

 

スズキ GAG

出典:https://www.youtube.com/watch?v=BP13JP7JIdk

 

 

スズキGAGとは

 

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GAG(ギャグ)はスズキが製造・販売していた原動機付バイクで、1986年2月28日に発売され、価格は18万3000円でした。

海外に輸出もされており、「GSX-R50」という車名でGSX-Rシリーズの末っ子として販売されていました。

ミニバイクレース向けのマシンだと、ヤマハYSR50やTZM50R、ホンダNSR50を思い浮かべる方が多いと思われますが、この手の50ccレプリカミニバイクではGAGが先駆けです。

それ以前にバイクのカスタムパーツを製造していた「トガシエンジニアリング」というショップがヤマハジョグをベースにしたレプリカミニバイク「PZR-50」を販売していたこともありましたが、メーカー量産車で50ccエンジンを搭載したマニュアルトランスミッションの50ccフルカウルレプリカミニバイクとして最も古いバイクはGAGなのです。

ちなみにヤマハYSR50が発売されたのは、1986年5月で価格は18万9000円。

GAGが登場した時期と約3か月しか変わらず、おそらくGAGが開発されていた時期に、ヤマハでもYSR50の開発が進められていたと予想でき、価格設定もGAGを意識したものとなっていました。

 

本当にギャグ的な存在だった!?スズキGAGの魅力とは

 


GAGは50ccレプリカミニバイクカテゴリーを開拓するために作られたバイクのように思われますが、デビューした時の宣伝広告やカタログを見ると意外にポップな雰囲気となっています。

キャッチフレーズは「遊びゴコロをフルカウル」とされ、4色用意されたカラーリングの中にはレプリカバイクでは珍しいピンク一色というバリエーションもありました。

1980年代終盤のスズキといえば、スポーツバイクのトレンドを先取りしたGSX-R750やRG250ガンマなどを登場させ、会社としても攻めの姿勢が見られた時期。

当時大ヒットしていたレプリカバイクをドラえもんのスモールライトで小さくしたようなGAGは、当時のスズキの躍進を考えると、登場そのものが「冗談」だと思わせるものでした。

しかし、作りはしっかりとしたスポーツバイクであり、ダイヤモンドフレームを搭載してフロントサスペンションにはテレスコピック式を採用。

リアにモノサス、フロントブレーキにディスクブレーキが搭載され、さらに角型ヘッドライトは25w×25wと十分な明るさが確保されており、公道走行としての性能は十分にあったのです。

これは、さすがに冗談で作ったとは思えない完成度の高さでした。

 

RG50ガンマのエンジンを搭載していたら、もっと売れていた?

 


かなり完成度の高いGAGでしたが、唯一エンジンだけが不評だったようです。

GAGのエンジンは、ホンダ・カブに対抗するために作ったスズキ バーディーのもので、その50cc空冷4ストローク単気筒OHCのエンジンは5.2馬力を発揮していました。

しかし、直後に登場したヤマハYSR50には50cc空冷2ストローク単気筒エンジンで7.0馬力を発揮するものが搭載されており、パワーで劣ってしまう事に。

当時は、いかに速く走れるかやスペック・性能が重視される時代だったため、YSR50と比較されればGAGの売り上げが芳しくなったことも納得できると思います。

そして、1982年に発売された50ccのスポーツバイク・スズキRG50ガンマに水冷2ストロークエンジンが搭載されていたので、一部では「ガンマのエンジンを搭載していれば買っていた。」という意見もあったようです。

 

スズキGAGのモータースポーツでの活躍

 

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GAGが発売されてから、カスタムパーツメーカーのヨシムラやスペシャルパーツ武川がレースキットなどのカスタムパーツを登場させ、GAGのワンメイクレースも開催されたことでミニバイクレースがにわかに盛り上がるようになりました。

しかし、GAGはYSR50や1987年に登場したホンダNSR50には速さで太刀打ちできず、ミニバイクレースの中で埋もれた存在となってしまいます。

さらにタイトなポジションが街乗りに不向きなところもあったため、GAGの居場所は狭く、発売からわずか1年ほどで生産終了となりました。

 

スズキGAGのスペック

 

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1986年式スズキGAGスペック
形式 A-LA41A
全長×全幅×全高(mm) 1,540×870×610
ホイールベース(mm) 1,080
シート高(mm) 610
乾燥重量(kg) 64
原動機形式 A403
エンジン種類 空冷4ストローク単気筒SOHC
排気量(cc) 49
最高出力(kg[PS]/rpm) 3.8[5.2]/7,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 5.5[0.57]/6,000
トランスミッション 常時噛合式 4速
タイヤサイズ 前:3.50-10 後:3.50-10

 

スズキGAGの中古車価格は

 

GAGはわずか1年ぐらいの生産で、販売台数も多くはなかったため現在中古車のタマ数がとても少なくなっています。

ネットで中古車を検索しても、ヒットするのはわずか15~30台程度で、当時の新車価格より高値で売られているものも多々。

すでにコレクター向けの希少なバイクとなっているため、欲しい方はお早めに購入することをおすすめします。

 

まとめ

 

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GAGは発売当初からあまり人気が出る事はなく、知名度の低い旧車となってしまったため「珍車」や「迷車」という表現が多々上がる存在となってしまいましたが、ミニバイクレースのパイオニアであることを加味すれば偉大な存在でもあります。

スズキの遊び心が生んだ小さなバイクは、バイク業界に大きな功績を残した名車といえるのではないでしょうか。

 

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