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バブル期の残り香!?廉価グレードと最上位グレードの値段の差が激しかった3代目トヨタ・ソアラとは?

ハイソカーブームとバブル景気の波に乗り、2代続けてヒット作となったトヨタの高級パーソナルクーペ、ソアラ。しかし『日本でも世界に誇れる高級車を』というテーマとは裏腹に、北米では準兄弟車と言えるセリカXX(北米名スープラ)や70系スープラが販売されるのみで、トヨタの国際ラインナップには高級クーペが存在しませんでした。そこで、高級ブランド”レクサス”開始に合わせてソアラに相当する北米向け高級クーペ、レクサス SCを開発。これが日本では3代目ソアラとなります。

 

3代目トヨタ ソアラ / Photo by Noli Fernan “Dudut” Perez

 

 

トヨタ初の北米向け高級クーペ、初代レクサス SCと3代目トヨタ ソアラ

 

前期型初代レクサス SC(日本名3代目トヨタ ソアラ)  / Photo by Kieran White

 

1989年に北米で初代LS(日本名トヨタ セルシオ)デビューと同時に高級車ブランド”レクサス”が始まり、2005年に日本市場でも”レクサス”ブランドが展開されるまでの16年間、レクサス車を日本では”トヨタ”ブランドの高級車として販売する例は数多くありました。

3代目以降のソアラもそんな1台で、1991年にモデルチェンジされた3代目トヨタ ソアラ(同年5月発売)は、初代レクサス SC(同6月発売)として、日米で立て続けにデビューしています。

それまでの北米市場では”トヨタ”ブランドでセリカやその6気筒版スープラが販売されてはいたものの、高級クーペとは言い難いものでした。

それは、メルセデス・ベンツSLはともかく、インフィニティ M30(日本名:日産 レパード)、アキュラ レジェンドクーペ(日本では”ホンダ”ブランド)といった日本車勢に対抗するのもままならない状況で、早急な”レクサス”ブランドの高級クーペが求められたのです。

そして2代目以降のセリカでデザインを担当していたカリフォルニアのデザインセンター”CALTY(キャルティ)”によりデザインされ、デビュー当初はLS400と同じ4リッターV8エンジンを搭載した高級クーペ、初代レクサス SCが誕生しました。

同時期、日本でも2代目ソアラがモデル末期を迎えていたのでSCを3代目トヨタ ソアラとしてデビューさせることになりますが、同じトヨタ系でもあくまで大衆車ブランド”トヨタ”のソアラと、高級車ブランド”レクサス”のSCでは車としての立ち位置が大きく異なります。

そこでソアラではSC400と同じエンジンを搭載した”4.0GT”のほか、従来からのユーザー向けに70系スープラ”2.5GTツインターボ”と同じ1JZ-GTEを搭載する”2.5Gツインターボ”を設定。

先代のトップグレードが廉価グレードになるという事実上の車格アップがあったとはいえ、それでも最廉価グレード(326.9万円)と最上級グレード(745万円)では、倍近い価格差がついた上に、ボディサイズやデザイン、コンセプトも全く異なる車となったのです。

 

北米で大人気となったレクサス SC

 

フロントグリルが追加された3代目トヨタ ソアラ(レクサス SC)  / Photo by dave_7

 

3代目ソアラは、4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを持つ高級パーソナル・クーペという以外に先代から継承した部分をほとんど持ちません。

2年ほど遅れてデビューした80系スープラとプラットフォームが基本的には共通という意味では、70系スープラと2代目ソアラの関係に似てはいますが、3リッター直6エンジン2JZ-GEを除くエンジンラインナップは大きく異なります。

3代目ソアラでは4リッターV8(1UZ-FE)、あるいは3リッター直6(2JZ-GE)と2種類の大排気量NA(自然吸気)が高価なラグジュアリークーペ、2.5リッター直6ツインターボ(1JZ-GTE)が5速MTとも組み合わせ可能な高級スポーツクーペで、後者はSCに設定がありません。

バブル崩壊後で不景気へ一直線という当時の日本では国産ラグジュアリークーペの需要が無く、スポーツクーペとしても80系スープラより大きく重く、ロングホイールベースによる高速安定性の良さを除けば、存在意義がやや希薄だった点は否めません。

それでも、”4.0GTリミテッド”には電子制御アクティブコントロールサスペンションと4WS(4輪操舵)のパッケージ仕様を設定するなど、ラグジュアリー仕様には乗り味の高級感や最小回転半径を小さくして使い勝手に配慮するなど、商品性向上が図られています。

そのモデルライフ中、エンジンやサスペンションタイプの小改良や整理が行われ、1996年のマイナーチェンジではフロントバンパーにグリル追加など外装の変更、2.5リッターツインターボのシングルターボ化など大きな変更を挟みながら販売が続けられました。

このように日本では諸々の事情が重なり地味な存在となりましたが、北米のレクサス SCは”テン・ベストカー”に1992年から4年連続、1992年には”インポートカー・オブ・ザイヤー”も受賞するなど、総じて高い評価を受けています。

そんな北米での評価を見る限りにおいては、日本市場では”レクサス”ブランドの立ち上がりが遅れたこともあって、正当な評価を受ける機会に恵まれないのが惜しいところでした。

 

チューニングベースとしてドリフトで花を咲かせる

 

D1GPに2016年から3代目ソアラを復帰させた、上野 高広選手  / 出典:http://www.d1gp.co.jp/03_sche/gp2016/gp1603/news/news06.html

日本ではJGTC(現在のSUPER GT)でスープラが採用されていたこともあり、メジャーなレースシーンでの活躍は無く、より小柄なボディが好まれるその他の全日本選手権競技会でもリザルトは残されていません。

ただし、スープラより大柄なボディだからこそ活きるカテゴリーもあり、ワイドボディの重量級セダンまで活躍する、あるいはそのサイズとパワーこそがわかりやすい見どころとも言えるドリフトの世界では大活躍しました。

それはD1グランプリでシリーズ開始当初から2008年まで3代目ソアラに乗り、BMW320iにスイッチ後、2016年に再び3代目ソアラでの参戦を再開した、上野 高広選手などはまさにその代表格です。

ロングホイールベースと超重量級のため、走行性能面だけ見れば決してドリフト向きでは無い3代目ソアラですが、だからこそソアラが激しいタイヤスモークを上げながら横を向き滑走していく姿は大迫力で、ドリフトの醍醐味を濃厚に味あわせてくれた1台と言えます。

 

主要スペックと中古車相場

 

3代目トヨタ ソアラ / Photo by Dave L

 

トヨタ UZZ32 ソアラ 4.0GTリミテッド アクティブコントロールサスペンション仕様車 1991年式

全長×全幅×全高(mm):4,860×1,790×1,340

ホイールベース(mm):2,690

車両重量(kg):1,730

エンジン仕様・型式:1UZ-FE 水冷V型8気筒DOHC32バルブ

総排気量(cc):3,968cc

最高出力:260ps/5,400rpm

最大トルク:36.0kgm/4,600rpm

トランスミッション:4AT

駆動方式:FR

中古車相場:18万~248万円(各型含む)

 

まとめ

 

3代目トヨタ ソアラ / Photo by Rick Flores

 

1991年に3代目ソアラがデビューした時のインパクトは、なかなか凄まじいものがありました。

それまでセリカで”流面形デザイン”を極めてきたCALTYの作品だと言われれば納得ですが、ラリーでも活躍するなどスポーツイメージの濃かったセリカではなく、高級パーソナルクーペのソアラ(レクサス SC)でも同様のデザインテイストは、かなり斬新だったと言えます。

トヨタとしては2代続けてヒットさせた人気ブランドだっただけに、ソアラの車名にこだわったのかもしれませんが、全く別の車名になったとしても不思議ではありませんでした。

それでもソアラという車名そのものが日本では”憧れのトヨタ最上級クーペ”なことには変わりは無く、特にモデルチェンジ直後はまだバブル崩壊で日本経済が壊滅しきる前だったので、「新しいソアラ持ってきて!」的な指名買いもあったようです。

その後、モデル末期には全国各地の警察で採用されたため、1990年代末以降の高速道路で3代目ソアラに遭遇すると、覆面パトカーだと思って警戒する時代もありました。

3代目ソアラというと、この覆面パトカーとして活躍した姿が印象に残る人も多いのではないでしょうか。

 

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Writer Introduction
兵藤 忠彦

ダイハツ党で、かつてはジムカーナドライバーとしてダイハツチャレンジカップを中心に、全日本ジムカーナにもスポット参戦で出場。 その後はサザンサーキット(宮城県柴田郡村田町)を拠点に、主にオーガナイザー(主催者)側の立場からモータースポーツに関わっていました。

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