水平対向エンジン搭載の名車たち

自動車

スバル・インプレッサ(GC8 22B-STi version)

出典:https://gazoo.com/

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国産の水平対向エンジンと言えばスバル。

そのフラッグシップカー、インプレッサは、当然ボクサーエンジンです。

今回載せた車両は、1998年に400台限定で販売されたスペシャルなマシン「スバル・インプレッサ22B-STi バージョン」

出典:https://www.silverstoneauctions.com/

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WRC仕様のインプレッサに極力近づけるため、フェンダーの大型化や、元々搭載されていたEJ20型エンジンより、200cc排気量が多いEJ22型エンジンを使用、そして更にチューニングしたEJ22改型エンジンを搭載。

その他にも、5速クロスミッションや、強化クラッチなど、様々なチューニングが施されています。

そのパッケージから、500万円という価格にも関わらず2日で完売した歴史的名車です。

エンジンスペック

エンジン型式:EJ22改
エンジン種類:水平対向4気筒DOHCターボ
排気量(cc):2212
最大出力(ps/rpm):280/6000
最大トルク(kgm/rpm):37/3200

 

トヨタ・86(ZN6)

出典:http://toyota.jp/

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トヨタの名車、AE86型スプリンタートレノ、カローラレビン、通称ハチロクのコンセプトを元に開発されたFRスポーツカー「86」。

ちなみに、2代目ハチロクと思われがちですが、あくまでも別の車という扱いです。

トヨタとスバルの共同開発で作成されており、スバル側ではややデザインを変更して「BRZ」として販売。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

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搭載されているエンジンはFA20型という2リッター水平対向4気筒エンジンで、200psを絞り出します。

そこに1200kgという軽さと、ボクサーエンジンによる低重心化などで徹底した乗る楽しさを追求。

国内では86/BRZレースなど、ワンメイクレースも盛んで、今後のスポーツカーシーンにおいても、間違いなく活躍するであろう一台ですので、今回選ばせていただきました。

エンジンスペック

エンジン型式:FA20
エンジン種類:水平対向4気筒DOHC
排気量(cc):1998
最大出力(ps/rpm):207/7000
最大トルク(kgm/rpm):21.6/6400

 

ポルシェ911カレラRSR

出典:http://www.tk-racing.jp/

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車に詳しくない人でも絶対に聞いたことがある「ポルシェ」も水平対向エンジン。

1964年に初登場した初代911は空冷水平対向6気筒エンジンをリアに搭載する後輪駆動。

スーパーカーであり、スポーツカーでもあり、マイナーチェンジしながら現代まで911の名が受け継がれている、名車中の名車ですね。

出典:http://flickriver.com/

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画像の車は911カレラRSR。1975年に限定発売されたモデルで、当時911の中でも最強モデルであったRS2.7をレース用にチューン。

排気量は2.8リッター、300馬力、トルク30kgのモンスターマシンへと、姿を変えています。

ちなみに、元々この車は901という名前でした。

しかし、フランスの自動車メーカー、プジョーが「101」のように、十の位に0の入った3桁の数字を全て商標登録してしまっていたため、901のままでは販売できず、911とした経緯があります。

エンジンスペック(※1975年 3リッター仕様)

エンジン型式:911/75型
エンジン種類:空冷水平対向6気筒SOHC
排気量(cc):2994
最大出力(ps/rpm):330/8000
最大トルク(kgm/rpm):32/6500

 

アルファロメオ・BT46B

出典:https://startinggrid.org/

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F1の世界にも、水平対向エンジンの時代がありました。

1978年にニキ・ラウダやジョン・ワトソンがドライブしたアルファロメオBT46は、なんと水平対向12気筒!

排気量3リッターのこのエンジンは12000回転で520馬力を発生していました。

このF1マシンの凄いところは、レースの世界において後に禁止されることになる「ファンカー」構造を使用しているところ。

出典:https://en.wikipedia.org/wiki

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車体後部についたファンを使用して、車体の底にある空気を急速に吸い出して負圧を発生させ、他車よりも圧倒的に多く、安定したダウンフォースを発生させることに成功。

これによってデビュー戦は圧勝するも、各チームからの抗議もあって次戦から使用禁止。次戦からはファンシステムを排したBT46Cで出場になりました。

出典:http://s262.photobucket.com/

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エンジンスペック

エンジン型式:-
エンジン種類:水平対向12気筒DOHC
排気量(cc):2995
最大出力(ps/rpm):520/12000
最大トルク(kgm/rpm):-

 

 

バイク

ホンダ・GL1000

出典:http://www.xrv.org.uk/

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ホンダが1974年に発売した大型ツアラーバイク、GL1000ゴールドウィング!

並列4気筒エンジンが主流だった時代に、あえて水平対向4気筒エンジンを搭載。

ガソリンタンクをシート下に配置し、通常のタンク部にはダミータンクを配置。中には小物入れや電装系パーツ、エアクリーナーなどが入っていました。

出典:http://www.bikesrestored.com/

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エンジン構造しかり、重量物を徹底して車体下部に配置することで、低重心化を実現し、長距離の移動でも安定したバランスを実現。

現在は、複数回のマイナーチェンジで1800cc化され、水平対向6気筒に。

ちなみに、このバイク、珍しいのはチェーンではなくシャフトドライブだったこと。

諸説ありますが、これは当時のチェーンの製造技術が、リッターマシンのパワーに対応できなかったからと言われています。

エンジンスペック

エンジン型式:-
エンジン種類:水平対向4気筒SOHC
排気量(cc):999
最大出力(ps/rpm):78/7000
最大トルク(kgm/rpm):8.46/5500

 

BMW・R50

出典:http://www.motorcyclespecs.co.za/

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水平対向エンジンのバイクを語るうえで絶対にハズせないのはBMW。

1923年に販売したバイクはすでに水平対向2気筒エンジン。それ以降近年までボクサーエンジンのバイクを作り続けています。

その中でも、名車と名高いのがこちら、BMW・R50。

1955年に登場したこのバイクは、空冷OHV2気筒、排気量494ccで26馬力を発生します。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

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サイドカーを装着することが前提で製作されていたこのバイクには、アールズ・フォークと呼ばれる特徴的なフロントフォークを持っています。

これによって制動時のノーズダイブが抑えられることでホッピングを抑制。

トレールの量を抑えられることによってハンドルを軽くすることに成功。

サイドカー装着時でも、安定した旋回性能を維持することに成功しています。

エンジンスペック

エンジン型式:-
エンジン種類:空冷水平対向2気筒SOHC
排気量(cc):494
最大出力(ps/rpm):26/5800
最大トルク(kgm/rpm):3.9/5000

 

幻の国産水平対向12気筒エンジン「SUBARU-M.M.」

出典:http://www.subaruclub.net/

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1988年に、企業イメージ戦略としてF1参戦を計画したスバルが作ったエンジンがこちら、「SUBARU M.M」

1気筒当たり5バルブで設計され、全部で60バルブ。排気量3497cc、最高出力は600馬力、最高回転数は13000rpmともいわれていました。

1990年からスバル・コローニとしてF1参戦を開始するも、当時としてはあまりにも非力なエンジンで、参戦した6戦はすべて予選落ちという悲しい結果となった悲劇のエンジンです。

その後、童夢が開発に携わったスーパーカー「ジオット・キャスピタ」に、デチューンして搭載予定でしたが、F1の結果が芳しくなかったために幻となりました。

ちなみに、開発に携わったのは、イタリアの「モトーリ・モデルニ社」。

この会社の創設「カルロ・キティ」は、前述のアルファロメオBT46Bのエンジンも設計しており、スバルエンブレムでありながら、アルファロメオのエッセンスも多く投入されたエンジンと言われています。

 

180°V型エンジンとの違い

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

フェラーリ・テスタロッサなどで採用された、180°V型エンジン。

クランクシャフトを中心に、左右にシリンダーが生えているという点では同じなのですが、一体何が違うのでしょうか?

簡単に言うと、ピストンの動きが違います。

左:180°V型 右:水平対向(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/)

左:180°V型の動き 右:水平対向の動き(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/)

ボクサーエンジンは、左右のシリンダーで同じタイミングで吸気・圧縮・爆発・排気を行っているのに対し、180°V型エンジンの動きは、あくまでV型のため、左右のシリンダーでクランクピンが共通。

例えば右のピストンが上死点に達しているときは、左のピストンは下死点にいることになります。

これによって、水平対向エンジンのように、対向しているシリンダーで振動を相殺することができないため、片バンクのみで振動を相殺できる8気筒以上でなければ成立しません。

しかし、ボクサーエンジンよりもクランクシャフトを短くすることが可能なので、同じ気筒数なら、エンジン全長を短くできるといったメリットもあります。

 

ちなみに、こういった構造上の違いもありますが、ボクサーエンジンと180°V型エンジンを総称して「フラットエンジン」と呼びます。

 

 

まとめ

水平対向エンジン、いかがだったでしょうか?

こうやって調べてみると、本当によくできてるんだなと感心ばかりです。

自動車やバイクが好きな方は、構造にも目を向けると、よりいっそう理解が深まって面白くなりますよ!

もしかしたら、自分の車のイマイチな部分を直す方法がみつかるかも?

 

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