F1第5戦スペインGPの決勝レースが5月15日にバルセロナ近郊のカタロニア・サーキットにて行われました。メルセデスの同士討ちによる衝撃の幕開けから始まった波乱のレースを制したのは、最年少18歳のマックス・フェルスタッペン。そんなスペインGPを振り返っていきたいと思います。

©Pirelli

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予選から好調著しいレッドブル勢、フェラーリを抑えて2列目を独占

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レース中の追い抜きが他のサーキットよりも困難という事で知られるカタロニア・サーキット。

そのためいつも以上に重要となる予選で、各ドライバーはポールポジションを目指し激しい争いを見せました。

まずQ1では名門ウィリアムズのフェリペ・マッサが18番手でいきなりノックアウトされる波乱からスタート。

それを尻目にマクラーレン・ホンダは奮闘を見せ、フェルナンド・アロンソが目標に掲げていたQ2を突破を達成。母国でのレースに期待を覗かせました。

最終決戦に注目が集まるQ3では、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が制し第2戦のマレーシアGP以来今季3度目、通算52回目のポールポジションを獲得し、開幕4連勝中のチームメイトであるニコ・ロズベルグが続きメルセデスがフロントローを独占しました。

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そのメルセデス勢の最大のライバルと目されたフェラーリは予選でまさかの失速。キミ・ライコネンが5位、セバスチャン・ベッテルが6位と2台揃って3列目に沈みます。

代わりにレッドブル勢が躍進し、ダニエル・リカルドが3番手に入ると、今回から同チームへ移籍を果たしたマックス・フェルスタッペンも高い適応力を見せ、4番手を獲得。周囲を驚かせました。

また母国グランプリのカルロス・サインツjr(トロ・ロッソ)は8番手を獲得。Q3に進んだアロンソは10位という結果に終わりました。

メルセデス勢、悪夢の同士討ちに絶叫のオープニングラップ!

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メルセデス勢のフロントロー対決に注目が集まったスタート。

渾身のスタートを決めたロズベルグがハミルトンをかわし1コーナーへ突入。その後も激しいバトルを繰り広げ4コーナーへ侵入しようとしたところで、まさかの展開が待ち受けていたのです。

4コーナー手前でインを突こうとしたチームメイトに対しロズベルグがすかさず牽制。結果的にグリーンに飛び出しコントロール不能を失ったハミルトンがチームメイトに接触してしまいます。

両者ともにマシンに大きなダメージを受けサンドトラップに停車。優勝候補とみられていたメルセデス勢はオープニングラップで姿を消す衝撃の幕開けとなりました。

このアクシデントによりセーフティカーが導入。代わってトップに立ったのはリカルド。それにフェルスタッペンが続き、サインツjrは混乱に乗じて3位に浮上。

以下ベッテル、ライコネンというトップ5でレースは再開を迎えます。

共に初優勝へ!逃げるレッドブルと追いかけるフェラーリ

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4周目にレースが再開されると1-2体制を築いたレッドブル勢はペースを上げ、後続を大きく引き離しにかかります。

マシンの性能的に劣るサインツjrはペースが上げられず、フェラーリの2台を押さえ込む格好に。チャンピオン経験者2人を抑え込む堂々の走りで母国のファンを沸かせます。

それでも今季初優勝のために何としても順位を上げなければならないフェラーリ。8周目にベッテルが、10周目にはライコネンがサインツjrを攻略。さらに前を目指します。

フェラーリはレースでのロングランに自信を見せており、当初はトップに対し6秒離れていた差を縮め、4台がトップを争う激しいバトルへ発展していきます。

ピット戦略が分かれた総力戦!2グループに分断されたトップ争い

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レッドブルvsフェラーリのトップ争いに注目が集まった中盤戦。意外なことにピット戦略が分かれ、上位4台が2グループへ分断されることとなりました。

カタロニア・サーキットは非常にタイヤへの負荷が激しいコースと、各チームの予想を上回る気温と路面温度に。これでタイヤを消耗させピットストップも予定されたより早めに行われる傾向が見られていました。

これに先手を打ったのは先頭を走るリカルド。タイヤの消耗に苦しめられ29周目に2回目のピットストップを敢行。これは3ストップ作戦を決定づけるタイミングでした。

これに続いたのがベッテル。翌30周目にピットへ滑り込みます。

優勝争いをする4台は3ストップ作戦かと思われましたが、フェルスタッペンは35周目、ライコネンも36周目に2回目のピットイン。2人は2ストップ作戦に優勝の望みを賭けます。

これでリカルドとベッテルがリードしますが、最終(3回目)のピットストップで残る2人の逆転を許すことに。

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勝負は若干18歳のフェルスタッペンと、現役最年長36歳のライコネンに絞られることとなりました。

フェラーリの今季初優勝と、自身にとっても3年ぶりとなる勝利がほしいライコネンはプレッシャーを掛け、相手のミスを誘います。

トップに立ってから約20周にわたって1秒後方に迫られながらも、フェルスタッペンも18歳とは思えない冷静さで付け入る隙を与えません。

そして両者は順位を変えないままファイナルラップに突入。ついに歴史的な瞬間を迎えます。

ヒーロー誕生!激戦を制したのは18歳のフェルスタッペン

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ライコネンとの壮絶なバトルを制し、トップチェッカーを受けたフェルスタッペンなんとレッドブル移籍初戦にして初表彰台が初優勝という快挙を成し遂げました。

さらに、ベッテルが保持していた21歳73日を2年210日も更新する18歳228日での初優勝。F1史上最年少優勝記録を大幅に更新する偉業となりました。

またチームにとってもレッドブルは2014年ベルギーGP以来、約1年半ぶりの勝利。

ダニール・クビアトに代えて抜擢したフェルスタッペンに当初は様々な意見もありましたが、投げかけられた疑問をすぐに払拭する結果となりました。

2位のライコネン、3位にベッテルが入ったためフェラーリは今季初のダブル表彰台を獲得。コンストラクターズランキングでもメルセデスに大きく近づきました

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リカルドはタイヤのバーストに見舞われラスト2周で表彰台争いからは脱落。余分なピット作業を強いられますが後方に対し大きなリードがあったので、順位を失わず4位でフィニッシュしています。

また母国で健闘を見せたサインツjrは殊勲の6位入賞、今回からトロ・ロッソ移籍を命じられたクビアトは10位に入りレース終盤にファステストラップを記録しています。

また10番手スタートから力強いレースを見せていたアロンソは、入賞圏内を走行中の47周目にパワーユニットのトラブルによりリタイア。喫し悔しい表情を浮かべましたが、僚友のジェンソン・バトンが9位に入り2戦連続の入賞を飾りました。

レース結果

1位 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

2位 キミ・ライコネン(フェラーリ)

3位 セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)

4位 ダニエル・リカルド(レッドブル)

5位 バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)

6位 カルロス・サインツjr(トロロッソ)

7位 セルジオ・ペレス(フォースインディア)

8位 フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)

9位 ジェンソン・バトン(マクラーレン)

10位 ダニール・クビヤト(トロロッソ)

11位 エステバン・グティエレス(ハース)

12位 マーカス・エリクソン(ザウバー)

13位 ジョリオン・パーマー(ルノー)

14位 ケビン・マグヌッセン(ルノー)

15位 フェリペ・ナッセ(ザウバー)

16位 パスカル・ウェーレイン(マノー)

17位 リオ・ハリアント(マノー)

リタイア ロマン・グロージャン(ハース)

リタイア フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)

リタイア ニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア)

リタイア ニコ・ロズベルグ(メルセデス)

リタイア ルイス・ハミルトン(メルセデス)

まとめ

ついに10代でのF1ウィナーが誕生した今回のスペインGP。この勢いで次回以降もメルセデス勢に食らいつく走りを見せてくれると、さらに面白くなっていきそうですね!次回は伝統のモナコGP。5月26〜29日に開催されます。