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フェラーリが美しすぎると褒め称えた名車、ジャガーEタイプとは

人によってジャガー、ジャグワー、あるいは航空ファンならジャギュアと呼んでしまうかもしれませんが、現在は紆余屈折を経てインドのタタ・モーターズ傘下にあるジャガーが開発、その美しいスタイルから1960年代を代表するブリティッシュ・スポーツの1台に数え上げられるのがジャガー Eタイプです。写真から漫画まで、何で見ても美しい!そんなジャガー Eタイプをご紹介します。

 

Photo by pyntofmyld

 

 

エンツォ・フェラーリがその美しさを称えた、ブリティッシュ・スポーツ

 

Photo by David Merrett

 

スポーツカーにはその国の「お国柄」が反映される事が多々ありますが、最高にカッコいいものと最高に変なものを作るのが得意で「英国面に堕ちる」とも言われるイギリス人が作るブリティッシュ・スポーツ群は、その中でも「最高にカッコイイ」の部類に入るかもしれません。

(もしかしたら、そうしたモデルだからこそ歴史を語る上で度々登場し、実は変なスポーツカーもたくさんあるのかもしれませんが。)

しかし、「最高にカッコいいスポーツカーの1台」にジャガー Eタイプの名を上げることに異論を唱える人はそう多くは無いでしょう。

かのフェラーリの創業者、エンツォ・フェラーリをも「これまでに作られたスポーツカーの中で最も美しい」と言わしめたのがその好例で、イタリア人がイギリス車にこれほどの賛辞を送ること自体が”事件”なのです。

そのため現在でも世界中に多くのファンを抱え、かつ長く生産されるうちに姿形もだいぶ変化していったので、同じモデルでも時期によって賛否両論ある1台でもあります。

さてそのEタイプとは、どんな車だったのでしょうか?

 

スパルタンなスポーツ路線からGT路線へ転じ好評となったシリーズ1

 

Photo by lee bristol

 

最初のプロトタイプE1Aが、ジャガーのレーシング部門で製作されたのは1957年。

その後1960年のル・マン24時間レースに出走、最終的にリタイヤしたものの、その美しいスタイルと一時は上位を走った俊足から注目を集めたレーシングカー、E2Aをプロトタイプとして開発されたのがEタイプです。

まるで流体のような滑らかな曲線で構成された流線型ボディに、直列6気筒3.8リッターDOHCエンジンを収めたロングノーズ、そしてショートデッキというスタイルは、まさに古典的スポーツカーのお手本のようでした。

後のジャガー車にも踏襲される、フロントがダブルウィッシュボーン+トーションバー、リアに2本1組のショックアブソーバー&コイルサスペンションを持つ変形ダブルウィッシュウィッシュボーンという4輪独立懸架。

やや容量不足ではあるものの4輪ディスクブレーキを持ち、ラック・アンドピニオン式のステアリングを採用した、当時としては最先端のメカニズムを持つブリティッシュ・スポーツカーだったのです。

いずれも2シーターの2ドアクーペまたはロードスターとしてデビューした当時は、美しいエクステリアデザインはともかく、バケットシートやアルミむき出しパネルなどスパルタンな内装がスポーツカー寄りに振りすぎと言われていました。

そのためグランツーリスモとしてはやや物足りなく、あまり高い評価は受けていません。

この点を改善して優雅なグランツーリスモ的な内装を備えた上で、排気量を4.2リッターに拡大してトルクに余裕を持たせたシリーズ1後期は好評で、1966年に発表された2+2クーペや細かい改良を受けたシリーズ1.5(シリーズ1 1/2)も含め、1968年頃まで生産されました。

 

アメリカ連邦安全基準対応モデル、シリーズ2

 

Photo by Ali Mannan

 

1968年10月からシリーズ2へとモデルチェンジしたEタイプは、主にアメリカの連邦安全基準に対応したデザイン変更が行われました。

シリーズ1から既に取り払われていたヘッドライトのカバーに加え、ライト自体も前進。

前後ウィンカーやブレーキランプなどの位置もバンパー下部へ変更された上で大型化したほか、リアバンパーに至っては位置自体が上げられています。

そしてシリーズ1で特徴的、かつ優雅なフロントマスクの印象を強めていたフロントグリルには1本の太いバーが横に通されました。

これらの変更はシリーズ1のデザインを大きく変えてしまったため賛否両論ありますが、一方でフロントグリルの大型化で冷却効率が上がりラジエターも大型化されるなど、ヨーロッパに限らず多様な地域で使う為の信頼性が向上。

1969年には、ヘッドレスト取り付け可能な新しいシートに交換されました。

その為、シリーズ1から印象は変わっているとはいえまだまだ原型をとどめており、多様な地域での使用に適した改良が行われたシリーズ2はデザインと信頼性、安全性などの面からバランスの取れたEタイプという評価もあります。

何よりデザイン上は「1960年代のブリティッシュ・スポーツ」の雰囲気をよく留めていました。

ただしアメリカ仕様では排ガス規制対策でキャブレターがオリジナルのSU3連キャブから別なキャブレターに変更されて動力性能が低下しているため、購入の際にはこの点に注意が必要です。

 

大きく重くデザインも変更、代わりにパワフルな「英鉄」の愛車、シリーズ3

 

Photo by Louis Rix

 

1971年10月に登場したシリーズ3では、低下したパフォーマンスを補い、スポーツカーとしての商品性を向上する大改良が行われました。

その最たるものがエンジンで、4.2リッター直6DOHCエンジンに代わり、5.3リッターV12SOHCエンジンへ換装。

これによりエンジン重量が増加したという印象もありますが、アルミブロックの採用で実際はさほどでも無く、2シータークーペの廃止でロングホイールベースの2+2クーペがロードスターも含めたベーシックとなりました。

後に漫画「GTロマン」(著:西風)など1980年代後半から1990年代にかけコアな輸入車ファンを増やす原動力となった「西風のエンスー漫画」の登場人物、「英鉄」の愛車がこのシリーズ3だったのを覚えている人も多いかもしれません。

当初の軽快なブリティッシュ・スポーツからロングホイールベースの重厚なアメリカ向けグランツーリスモに代わっていたシリーズ3をそれでもスポーツカーとして愛し、周囲から諭されても「ジャガーなめんなッ!」と睨みつけていたシーンは印象的でした。

つまりシリーズ3は、シリーズ1でその美しさやスポーツカーとしての実力に惚れ込んだマニアからすると「邪道」とも言えるモデルだったわけです。

しかし、前述のようにシリーズ2で失われた動力性能を補って余りある素晴らしいエンジンや、重くなったボディに対応する太いタイヤを収めるためにホイールアーチの形状が変わったデザイン変更などを受けてなお、依然として美しいスタイルは魅力的。

「古風なデザインに素晴らしいエンジンを搭載した」という視点でシリーズ1とはまた別な車と考えてみれば、英鉄のようにその魅力にハマるのもまたアリかもしれません。

 

Eタイプのレースでの活躍

 

Photo by Ben

 

Eタイプが作られていた時期のジャガーはワークス体制でのレースに熱心ではなく、それゆえレーシング部門によりEタイプが開発されたとも言える状況だったので、メジャーなモータースポーツでそれほど派手な実績があるわけではありません。

しかし一般的評価のあまり高く無かったシリーズ1初期は例外で、1964年に4.2リッター化された初代の後期がデビューする前は、いくつかのレーシングモデルが作られました。

 

 

さらにシリーズ1初期モデルはレーシングドライバーへも優先的に割り当てられたため、F1ドライバーのグラハム・ヒルがドライブし、フェラーリやアストンマーティン車を圧倒して優勝するなど、そのポテンシャルの高さを示しています。

レーシングモデルのうち特筆すべきはボディパネルをアルミニウム製として車重を920kgに抑えた上で、300馬力以上にチューンされた3.8リッターエンジンを搭載した「ライトウェイト」です。

 

Photo by David Merrett

 

ベンチマークは1962年のル・マン24時間レースでEタイプが敗北を喫したフェラーリ 250GTOで、スペック上はこれを上回るEタイプ・ライトウェイトは翌1963年のル・マン24時間レースに出場します。

華々しい活躍とはいきませんでしたが、シリーズ1ライトウェイトはオリジナルの流麗なスタイルに加え軽快感を感じる美しいレーシングモデルでした。

 

ジャガー Eタイプ 主なスペックと中古車価格

 

Photo by Marco Verch

 

代表スペック:シリーズ1 FHC(固定トップ2シータークーペ)前期 1961年式

全長×全幅×全高(mm):4,450×1,660×1,220

ホイールベース(mm):2,440

車両重量(kg):1,220

エンジン仕様:XK 直列6気筒DOHC12バルブ

総排気量(cc):3,781cc

最高出力:269ps / 5,500rpm

最大トルク:35.95kgm / 4,000rpm

トランスミッション:4MT

駆動方式:FR

中古車相場:690万~3,000万円

 

まとめ

 

Photo by davidgsteadman

 

ジャガー Eタイプはシリーズ1~3のいずれかによって性格がかなり異なり、さらに好みによっても各シリーズの評価も分かれるので、1つのモデルとして紹介するのがなかなか難しいモデルです。

ハイパワーでとにかく美しい軽量ブリティッシュ・スポーツを求めるならシリーズ1、現代的感覚に近い高級感を求めるなら、重厚感が増し滑らかなV12エンジンを搭載するシリーズ3、とにかくオーバーヒートには一番強そうなシリーズ2。

本来の姿であるシリーズ1の人気が一番高いのはもちろんですが、人によっては思い入れのあるシリーズ3が捨てがたい…ということもあると思います。

皆さんは、どの時期のEタイプを選びますか?

 

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Writer Introduction
兵藤 忠彦

ダイハツ党で、かつてはジムカーナドライバーとしてダイハツチャレンジカップを中心に、全日本ジムカーナにもスポット参戦で出場。 現在はサザンサーキット(宮城県柴田郡村田町)を拠点に、主にオーガナイザー(主催者)側の立場からモータースポーツに関わっています。http://dctm.info/

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