各自動車メーカーがその製造・販売している車につけている「車名」。そのまま呼ばれる時もあれば、愛着をこめた通称で呼ばれることもあります。そんな車の中から今回はメガクルーザー、C210スカイライン、オースチン・ヒーレー スプライト、ピアッツァ、E30型BMW3シリーズをご紹介します。

 

Photo by pyntofmyld

 

 

いすゞ・マヨネーズ(初代ピアッツァ)

 

 

Photo by Riley

 

トップバッターは今でもコアなファンが多い、いすゞ ピアッツァ(1981年デビュー)。

既に当時のいすゞは乗用車メーカーとして相当足腰が弱り、開発も生産も低迷状態ではありましたが、初代ジェミニ(PF)と同じGMのプラットフォームを使ったスポーティなFRクーペを開発します。

それもデザイナーにはイタリアの巨匠、ジョルジット・ジウジアーロを起用。

カロッツェリア・ギア在籍時に名車117クーペもデザインした巨匠の手で、後継車もデザインされたわけです。

完成したデザインコンセプト、アッソ・デ・フィオーリは、丸まったテールから膨らむようにルーフに至るテールゲートデザイン。

そしてフロント先端に向かって絞り込むようなウェッジシェイプデザインの、いかにも空気抵抗が少なそうな美しい車となりました。

これがほぼそのまま市販されてピアッツァとなったのですが、特に後方左右から見た時のフォルムはご家庭にもよくあるアレに似ていると話題に。

「あ!マヨネーズだ!」

ピアッツァどころか、いすゞ車の話題自体が少ないので知る人ぞ知るような話になっていますが、初代ピアッツァは別名「マヨネーズ」と言われることもあったのです。

もし今復刻版が制作されたら、Aピラーをもっと寝かせてボンネットも歩行者衝突保護を兼ねて膨らませ、よりマヨネーズらしくなるかもしれませんね。

 

BMW・赤坂サニー(2代目3シリーズE30)

 

Photo by nakhon100

 

続いてはバブル時代の豪華なお話で、W201型メルセデス・ベンツ(190Eなど)を六本木カローラや小ベンツと呼んだのと同じ時期に、それよりもう少しスポーティで若々しいデザインを好む層に人気だったのは、BMWのE30型3シリーズ(2代目)でした。

これも当時は今のように大きなサイズではなかったので、318i(1.8リッター)や320i(2リッター)は立派な5ナンバーセダン。

バブル時代にしては「買いやすい値段で嫌味でも無くスポーティ」だったのでどこでも見かけるようになり、「赤坂サニー/銀座サニー」メルセデス・ベンツW201の向こうを張って、「六本木カローラ」と呼ばれました。

なお、この頃は「外観のみアルピナ仕様」も流行りましたが、「5ナンバーのアルピナなんかあるかヨ!」とすぐバレてしまったのが難点でした。

 

日産・ジャパン(C210スカイライン)

 

Photo by aussiejeff

 

これも定番のスカイラインですが、5代目はケンメリ(4代目。4ドア車は「ヨンメリ」とも)からグっとぜい肉を落としたような、シャープなボディになりました。

とはいえDOHCエンジンも無い、ホットモデルのGTだったので排ガス規制ですっかりパワーダウンしたL型エンジンでもっとも非力さに泣いた世代。

ライバルメーカー某社には「名ばかりのGT達は、道をあける。」などと、CMコピーで挑発されてしまう始末でした。

その悔しさをバネに、1980年にはついにターボ車を設定。

刑事ドラマ「西部警察」でも、マシンXとして活躍することになります。

この代のスカイラインのキャッチコピーは、日本の風土が生み出した車ということで「SKYLINE JAPAN」とされ、通称もそのまま「ジャパン」。

ターボ車もスカイラインターボというより「ジャパンターボ」と呼ばれることが多かったものです。

 

 

トヨタ・ジャンビー(メガクルーザー・陸上自衛隊高機動車)

 

出典:http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/36i/03_weapon.html

 

ちょっとマニアックですが、陸上自衛隊の4輪機動車両「高機動車」とその民生版トヨタ メガクルーザーは、1980年代に開発されたアメリカの同種車両、M998ハンヴィーとよく似た車です。

それもそのはず、ハンヴィーを同盟国軍に売りさばいていたAMゼネラル社とアメリカ合衆国から当然日本にも商談は舞い込みましたが、それを断った上で国防上の理由(兵器の開発能力も防衛力維持の重要な要素)から、同種車両を開発した…と言われています。

公式にそこまで露骨な内情が語られたわけではありませんが、結局できた車両は目的用途や狙った性能が同じなら似たようなものになり、開発経緯もあって「ジャンビー」と呼ばれたのでした。

民生用のメガクルーザーではハマーH1をもじった「ジャマーH1」と言われることも無かったので、ミリタリーマニアの一部でしか通用しない話かもしれません。

 

オースチン・ヒーレー カニ目(スプライト)

Photo by davocano

 

外国語のシャレた車名より、「見たまんま」の姿がよほどハマるというケースもありますが、その代表例がオースチン・ヒーレー スプライト、通称「カニ目」です。

ブリティッシュ・タイトウェイトオープンスポーツの中でもひときわ小さい部類に入る車で、1958年にデビューしました。

非常に愛嬌のあるマスクから「スプライト」という車名より通称で呼ばれることが多かった車ですが、それも国によって解釈が異なるのは興味深いところです。

例えば、本場イギリスではカエルの目(”The Flog Eyes”)、アメリカでは昆虫の目(“Bug Eye”)、そして日本では「カニ目」と呼ばれています。

言われてみると、カニにしか見えなくなりませんか?

なお、MkII以降はMG ミジェットの兄弟車でもあったので、この2台を総称して「スプリジェット」とも呼ばれました。

 

まとめ

 

今回は「明らかに一部でしか通用していなかった通称」もあったと思いますが、どのみち通称というものはメーカー自らが打ち出したキャッチコピーを元にでもしていない限り、広く一般に知られていないものだって多いのです。

それゆえに、同じ通称でも世代やどのジャンルの車好きかによって指している車が違うことだってよくあるので、たまには「マニアックな通称」も良いのではないでしょうか。

(「タテ目」が3代目日産 グロリアだったり、昔のメルセデス・ベンツ Sクラスだったりするのが一例です)

また次の機会があれば、定番からマニアックなものまで、いろいろな車の”通称”を紹介させて頂きたいと思います。

 

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