マクラーレンへの移籍、初めて味わった疎外感

 

出典:http://www.wikiwand.com/cs/Fernando_Alonso

 

慣れ親しんだチームを離れたアロンソは、エース待遇を受けてマクラーレンへ移籍しました。

それは、当時ルーキーだったルイス・ハミルトンとコンビを組み、王座から遠ざかっているマクラーレンが復活するための起爆剤になることを期待されての抜擢でした。

しかしいざ蓋を開けてみると、シーズン序盤からハミルトンの活躍もあって、アロンソはチーム内で劣勢に立たされてしまいます。

第6戦モナコGPでは見事優勝を飾るのですが、当時禁止されていたチームオーダーがあったとしてハミルトンが不満を露呈すると、ここから両者の関係は一気に悪化しました。

そして、アロンソはチーム内で次第に孤立する苦しい状況へと追い込まれてしまうのです。

第11戦ハンガリーGPではアロンソの溜まっていた不満が爆発し、予選でチームメイトのアタックを妨害するという前代未聞の事件も勃発。

この一件でチーム内の雰囲気はチームメイトに傾きましたが、そのなかアロンソは3連覇への望みを繋ぎ、ハミルトンを追いかける立場のまま最終戦ブラジルGPを迎えました。

この大一番でハミルトンがマシントラブルで後退し逆転王座の可能性も高まりましたが、本来の速さを発揮出来ず3位でフィニッシュ。結果フェラーリのライコネンに戴冠を許し3連覇を達成を逃してしまうのです。

そうしてシーズン終了後には残っている契約を双方合意の上で解除し、マクラーレンからの離脱が決定します。

 

古巣へ復帰、王座を目指して再起を図る

 

出典:https://mzn.wikipedia.org/wiki/%D9%81%D8%B1%D9%86%D8%A7%D9%86%D8%AF%D9%88_%D8%A2%D9%84%D9%88%D9%86%D8%B3%D9%88

 

マクラーレンを離脱するに当たって、彼の去就には多くの噂が流れました。

ルノーへの復帰以外にもトヨタやレッドブルへの移籍、さらには1年間の休養など様々な憶測が飛び交いましたが、アロンソは最終的に古巣への復帰を決断!

しかし当時のルノーには、王者に輝いた時のような速さはなく、彼が優勝争いを繰り広げるシーンは以前と比べて激減することになります。

それでも非力なマシンを巧みに乗りこなし、母国であるスペインGPでは予選2番手に付けるなど、上位に割って入る速さを見せつけました。

さらに、シーズン終盤にはシンガポールGP、日本GPと周囲を驚かせる2連勝を飾り、彼の速さはまたしても高く評価されるようになりました。(シンガポールGPはチームメイトが故意にクラッシュし、レース展開を有利に運んでいたことが判明。尚、アロンソはその事を知らされていなかったとされている。)

そして終盤の活躍もあり、この翌年は再び上位に食い込む活躍が期待されましたが、ルノーは2009年より導入されたKERS(運動エネルギー回生システム)の開発に失敗し、前年以上に苦しい戦いを強いられてしまいます。

しかし、この苦しい戦いを強いられた2年間でアロンソはそれ以前に増して評価を高め、それが再び王座へ挑むチャンスを呼び寄せることになりました。

 

マシン以上の速さを引き出すドライバー

 

出典:http://www.taringa.net/posts/deportes/16994017/Mi-Humilde-Homenaje-a-Fernando-Alonso-El-Post-Que-Se-Merece.html

 

2010年アロンソはついにフェラーリへ移籍を果たし、名門の復活、さらに自身にとって3度目となる王座を目指して戦える環境を手にしました。

すると、移籍初年度から目覚ましい活躍を見せ、開幕戦バーレーンGPやチームの母国であるイタリアGPで勝利を飾るなどファンだけでなくチームの信頼を勝ち取ることに成功します。

マシン性能ではタイトルを争うレッドブルやマクラーレンに対し速さでやや劣る面もありましたが、驚異的な勝負強さで選手権をリードし、優位な状況のまま最終戦アブダビGPを迎えました。

4名が王座を争うこの状況で有利な立場にいたアロンソでしたが、チームはこの重要な1戦で戦略を誤ってしまいまさかの7位。

優勝を飾ったセバスチャン・ベッテルに逆転王座を許してしまいます。

悲願とも言える3度目のタイトル獲得はなりませんでしたが、彼のフェラーリでの1年目は素晴らしい走りを見せ、来季への期待を持てる結果を残しました。

 

出典:http://www.wikiwand.com/sw/Fernando_Alonso

 

続く2011年は抜群の安定感を発揮し、リタイアを喫したカナダGPを除いて全戦で入賞を果たすも、マシンの速さが足りず僅か1勝に留まることになります。

さらに悪い流れは続き、その翌年は開幕前にマシン開発に失敗したという噂が飛び交い、彼の速さを発揮出来ないシーズンが続くと予想されたのです。

そして迎えた開幕戦では珍しくマシンを乗りこなすことが出来ず、予選でスピンを喫します。12番手に沈んだ彼を見て、誰もがタイトル争いは絶望的だと予想しました。

しかし、雨のなかスタートを迎えた第2戦マレーシアGPでアロンソは驚異的なドライビングを披露します。

天候に翻弄され目まぐるしく順位が入れ替わる展開のなかトップを守り抜き、周囲の予想に反し優勝を飾ったのです。

その後、次第にマシンの速さも向上し、上位を争うシーンが増えていきました。

さらにバレンシアで開催された第8戦ヨーロッパGPでは、経済危機に瀕する母国で2勝目を挙げ、珍しく表彰台で涙を流すシーンも見られます。

そして「(ラファエル)ナダルやレアル・マドリードの様に、国を勇気付けられる選手になりたい。」と語ったアロンソは、その言葉を体現するような粘り強いレースを繰り広げたのです。

 

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しかし、速さで優位に立つレッドブル勢の前に素晴らしい走りを見せながらも、アジアラウンドで4連勝を飾ったベッテルにリードを許してしまいます。

そして、雨の中迎えた最終戦ブラジルGPでは厳しい状況のなか、大逆転での王座を目指して激しい追い上げを見せましたが、惜しくも3ポイント差で再び王座を逃すことになってしまいました。

これまで何度も王座を巡って争ってきたアロンソですが、これ以降は彼の速さからは想像もつかない苦しい戦いが始まるのです。

 

フェラーリで戴冠ならず、マクラーレンへ復帰を決断

 

出典:https://fr.wikipedia.org/wiki/Fichier:F1_2013_Belgian_Grand_Prix_-_Alonso_at_Q1.jpg

 

2度に渡って王座獲得のチャンスを逃してきたアロンソは、3度目の王座へ向けて高い意欲を見せていましたが、彼の期待にフェラーリが応えられないシーズンが続いていました。

マシンさえ良ければ勝てるという彼に対する評価は揺るぎないものになりましたが、実際に掴んだ王座はルノーで果たした2連覇まで遡り、この頃より次第にチームに対するいら立ちも見られるようになったのです。

2013年は序盤から2勝を挙げ良いスタートを切ったのですが、次第に勢いは衰え終盤には表彰台に上がるのもやっとというレースが続いてしまいます。

さらに追い打ちをかけるように2014年より大幅に変更されたマシン規定において、フェラーリはマシン開発を失敗。

 

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素晴らしいバトルを見せることもありましたが、そのほとんどが集団での争いであり、チームとの関係はさらに悪化の一途をたどるのです。

すると、フェラーリはシーズン終盤にベッテルの獲得を発表し、アロンソはチームから離脱。新たな行先にマクラーレンを選びました。

 

新生マクラーレン・ホンダでの新たな挑戦、しかし…

 

©Shunsuke Kawai

 

新たに生まれ変わったマクラーレンへ移ったアロンソ。

マクラーレンだけでなく、ホンダそして日本のファンからも大きな期待を背負い新たな挑戦を始めたのですが、その戦いはとても厳しいものになりました。

予選では終始Q1でノックアウトされ、レースでは完走もままならない日々が続き、マシンが入賞を重ねられる状態にはありませんでした。

第9戦イギリスGPでようやく移籍後初となる入賞を達成し、なんとかポイントを獲得しますが、あまりにも苦しい戦いぶりにファンや関係者からも彼に同情する意見が多く上がりました。

そして、一向に成績が改善しないチームに厳しい意見を述べるシーンも目立ち始め、日本GPではチームに対する鼓舞を交えてか、無線で「GP2!まるでGP2のエンジンだ!」と言い放ち、ファンの間でも多くの議論を呼ぶことも。

 

©Shunsuke Kawai

 

続く2016年は9回の入賞を果たし前年からは進歩を見せたのですが、ベストは5位と表彰台には届かずまたしても期待外れの1年を送りました。

そして今季はマクラーレンの首脳陣が刷新されチームと共に飛躍を誓ったのですが、開幕戦からマシンの信頼性が確立されておらず、多くのマシントラブルに悩まされています。

また、モナコGPを欠場し全く経験の無いインディ500に出場するという、近年では珍しいチャレンジを敢行し賛否両論を巻き起こしました。

しかし、インディ500では初参戦とは思えない驚異的な走りを見せ、結果こそリタイアに終わりましたが一時はトップを走行するなど、F1以外のマシンでも優れた技術と適応力を持っていることを証明したのです。

こうしたこともあって来季以降の活動にさらに注目が集まっており、本格的にインディカー・シリーズに参戦するのではないかという噂に加え、世界3大レースを制したいという彼の発言も様々な憶測を呼んでいます。

年齢を考えるとキャリアは終盤に差し掛かっているいう見方も強く、来年以降の去就は彼のキャリアを締めくくる重要なものになるかも知れません。

それでも、レース中に彼が見せるバトルと高度なテクニックはファンを熱狂させ、多くの人が彼の再び上位で戦う姿を待ち望んでいるのです。

 

まとめ

 

©Shunsuke Kawai

 

現役最強と呼ばれるF1ドライバー、フェルナンド・アロンソをご紹介しました。

一時代を築いたシューマッハを倒し2連覇を飾った彼の活躍は、F1の歴史の中でも外すことの出来ない偉大な記録を打ち立ててきました。

彼の速さや高い技術を考えると、さらなるタイトルを獲得しても不思議ではないと考える人も多いのではないでしょうか。

近年のF1はマシンの性能で勝敗が左右するという風潮が強くなっていますが、もしかすると彼はその影響を大きく受けてしまったドライバーなのかもしれません。

2017シーズンは彼の走りだけでなく、今後の動向という面にも注目が集まっています。

 

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