偉大な父を超えて見せた2世ドライバーたち

ヴィルヌーブ親子(父:ジル 子:ジャック)

出典:http://nanwaza2nd.blogspot.com/

出典:http://nanwaza2nd.blogspot.com/

今でも絶大な人気を誇るジル・ヴィルヌーブは、F1王者への期待を背負ったまま1982年ベルギーGPの事故で帰らぬ人となりました。

そして、残された息子ジャックは、15歳の時に母の猛反対を押し切り、父と同じ道を歩むことを決意します。

父:ジルが1979年に乗ったフェラーリ312T4(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/)

父:ジルが1979年に乗ったフェラーリ312T4(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/)

ヴィルヌーブという偉大な名前から資金集めにも苦労せずレース活動はスムーズに進むのですが、その代わりに若い青年には耐えきれない大きな重圧がかかりました。

しかし、レースを続けたジャックは北米を中心に活躍を続け、CART(チャンプカー・ワールド・シリーズ)で王者に輝くと、1996年より満を持してF1へ参戦。

ジャックが乗ったウィリアムズFW18(1996年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

ジャックが乗ったウィリアムズFW18(1996年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

すると、開幕戦でポールポジションを獲得する快挙に加え、初年度から4勝を挙げる活躍を見せたのです。

翌年にはミハエル・シューマッハとの激戦を制し、父が果たせなかったF1王者に輝きました。

それはジャックにとって、長年に渡って受けた重圧から解放された瞬間でもあったのです。

 

フェルスタッペン親子(父:ヨス 子:マックス)

出典:https://twitter.com/Max33Verstappen

出典:https://twitter.com/Max33Verstappen

ヨス・フェルスタッペンはF1参戦初年度で2度の表彰台を獲得しながら、その後は下位チームを転々とし、2003年を最後にF1から姿を消しました。

4歳でカートを始めた息子マックスに自身が達成出来なかった夢を託し、以来厳しい指導に当たってきたと言われています。

父、ヨスが乗ったベネトンB194(1994年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

父、ヨスが乗ったベネトンB194(1994年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

すると、マックスは輝かしい成績を残しながら順調にキャリアを進め、史上最年少となる17歳でトロ・ロッソのレギュラードライバーに抜擢されたのです。

若すぎるという批判的な意見もありましたが、10代とは思えない堂々の走りを見せると、2016年の第5戦スペインGPで18歳227日という若さでF1史上最年少優勝を達成。

親子二人三脚で栄光を掴み取った瞬間でもありました。

©Pirelli

息子、マックスが乗る、レッドブルRB12(2016)©Pirelli

マックスは「ここまで成長できたのは父のお陰」と語り、再び親子一丸となって次の目標であるF1王者を目指しています。

フェルスタッペン親子の詳しいエピソードはこちらをご覧ください。

 

マグヌッセン親子(父:ヤン 子:ケビン)

出典:http://nanwaza2nd.blogspot.com

出典:http://nanwaza2nd.blogspot.com

1995年にマクラーレンからF1デビューを果たしたヤン・マグヌッセンは、F1で3年間を過ごしましたが1度の入賞に留まり、思うような結果を残せませんでした。

ヤンは自身のキャリアを無駄にしてしまったと振り返っており、真剣にレースに取り組まなかったことを悔やんでいたのです。

父、ヤンが乗ったスチュワートSF02。なお、ヨスも乗っている。(1998年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

父、ヤンが乗ったスチュワートSF02。なお、ヨスも乗っている。(1998年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

息子ケビンが2014年に自身と同じマクラーレンからのF1デビューが決まると、父は息子の真面目な性格と才能を評価し期待を覗かせました。

すると父の言葉通り、ケビンはデビュー戦で見事な走りを披露し、いきなりの3位表彰台を獲得。レース後に上位のドライバーが失格となったことで2位に繰り上がることに。

息子、ケビンが乗ったマクラーレンMP4-29。(2014年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

息子、ケビンが乗ったマクラーレンMP4-29。(2014年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

世間が驚くなか、父は自身が立てなった表彰台に登る息子の勇姿を誇らしげに見つめていました。

2015年にはフェルナンド・アロンソの移籍に伴ってシートを失いますが、今季からはルノーへ移籍し善戦を続けています。

 

畑違いの親子ドライバー

サインツ親子(父:カルロス・サインツ 子:カルロス・サインツJr)

出典:http://www.vlineorg.tv/

出典:http://www.vlineorg.tv/

WRC(世界ラリー選手権)で通算26勝と2度の王者に輝くなど、偉大なドライバーとして知られるカルロス・サインツ。

父が乗ったトヨタカローラWRC(1999年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

父が乗ったトヨタカローラWRC(1999年)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

父と同じモータースポーツの道を歩みながら、違うカテゴリーに進んだのがその息子であるカルロス・サインツJr。

なぜ父と違うF1を選んだのかと聞かれたサインツjrは、母国の英雄であるフェルナンド・アロンソの影響が強かったと語っています。それにはWRC王者の父も苦笑いといったところでしょうか。

息子が乗るトロロッソSTR11(2016)出典:http://www.scuderiatororosso.com/

息子が乗るトロロッソSTR11(2016)出典:http://www.scuderiatororosso.com/

それぞれ参戦するカテゴリーが異なるので比較は困難ですが、もし親子でWRCとF1を制したとなれば、前人未踏の大記録として取り上げられるでしょう。

 

まとめ

F1に参戦してきた親子ドライバーたちをご紹介しました。

2世ドライバーにはやはり色々な苦労が付いて回るなど様々なドラマがありそうですが、同じ夢に向かう親子の絆は人一倍強いように感じました。

しかし近年は自らの環境を素直に受け入れ、父の英才教育もあってか若くして好成績を収める選手が多いですね。

親子で比較と言っても良し悪しではなく、いくら親の援助があったとしても努力と才能が無ければF1にはたどり着けないので、そろってF1に参戦するだけでも偉業と言えるでしょう。