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通常登録されている車だと2年または3年で訪れる車検。「経費がかさむ」とお悩みではないでしょうか?今回はその経費を削減でき、車にも詳しくなれる「ユーザー車検」に注目しました。

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ユーザー車検とは?

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ユーザーが自らの車を運輸支局に持ち込み、車検を取得するシステムをユーザー車検と呼びます。
予約をすれば全国どこの運輸支局でもユーザー車検を受けることが可能となっているのです。
はたしてどのようなシステムになっているのかご紹介したいと思います。
ユーザー車検のメリット・デメリット

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ユーザー車検では、メリットとデメリットがあります。
まずは、どんなメリットが考えられるか見てみましょう。
ユーザー車検のメリット
・車検費用を大幅に抑えることができる。
・車の構造や整備についてよく知ることができる。
・定期的に車の点検を行う事の重要性に気付くことができる。
・車にかかる税金や保険料などに詳しくなれる。
・慣れてしまえば継続的に車検費用を抑えることができる。
ユーザー車検にはこのようなメリットが考えられます。
ディーラーや修理工場・ガソリンスタンドなど、現在では様々なところで車検を受け付けていますが、手数料などの代行費用や整備費用などが発生してしまい費用がかさんでしまいます。
ユーザー車検は、そういったコストを削減することが可能であり、結果として車検費用を抑えることができるのです。
しかし、メリットばかりではありません。
デメリットがあるのも事実です。
考えられるデメリットを見てみましょう。
ユーザー車検のデメリット
・指定された営業時間でないと検査が受けられない。
・整備や書類作成などで時間と手間がかかる。
・検査で不適合箇所があると、追加で調整費用がかかることがある。
・時期によっては検査場が混雑していることがある。
・点検整備については、依頼することも含めて全て自分で行う必要がある。
・整備を怠った場合、車検に通らないだけでなく、重要なトラブルを見逃してしまう場合も考えられる。
運輸支局は土曜日と日曜日が定休日のため、平日に車検を受ける必要があるので、時間に制約のあるオーナーさんにとっては受けるのが難しい場合があります。
また月末や年度末などは非常に込み合っており、受けるのに時間がかかる場合も。
これらの問題をクリアし、書類の作成と車の整備を自分で行えばユーザー車検を行う事が可能となるのです。
ユーザー車検のための準備

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それでは実際にユーザー車検のシュミレーションをしていきたいと思います。
車の点検・整備

Photo by Masao Hirasawa
まずは車の点検と整備を行ってみましょう。
整備工場では上記画像のような点検を行っています。
「こんなの無理だよ!」と思われたそこのあなた!
実はここまで本格的な点検・整備を行わなくてもユーザー車検にチャレンジできるのです。
主な点検内容をご紹介します。
実は車検に必要とされる項目は日常点検とほぼ変わらない内容となっています。
しかしこれはあくまで日常的にメンテナンスが行われている事が重要です。
ですから、日頃から点検やメンテナンスはしっかりと行いましょう!
それでは、車の点検と整備が終わったら、必要な書類を集めてみましょう。
必要書類
事前に準備できる書類
現在の車検証
旧自動車損害賠償責任保険証明書
自動車税納税証明書
定期点検整備記録簿
車検を受験する上で事前に準備できる書類は上記の4点となります。
定期点検記録簿がない場合は受け付け窓口で「後整備をします」と伝えれば問題ありませんが、点検・整備は事前にしっかりと行なってください。
点検記録簿は整備振興会などで定期点検整備記録簿を購入するか、インターネットでダウンロードすることも可能です。
また、うっかり納税証明書を紛失してしまった場合も、運輸支局内の税務課にて再発行をしてもらうことが可能です。
車の整備・点検が終わり必要書類も揃ったら「いざ!車検場へ!」といきたいところですが、ユーザー車検は予約制となっています。
まずは車検の予約をしてみましょう。
車検の予約
車検の予約は普通車の場合、インターネットでの申し込みとなります。
普通車の車検予約はこちらから
軽自動車の場合、インターネットまたは電話にて予約が可能となっています。
軽自動車のインターネット車検予約はこちらから
https://www.kei-reserve.jp/pc/index.html
電話予約はこちらから検索
予約時に整理番号が発行されますので、その番号を忘れずに控えておきましょう。
予約が済んだら、指定日に運輸支局へGO!
いざ!車検場へ!

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車検当日は事前に準備した書類とは別に必要となる物があります。
重量税・自賠責保険料・検査手数料などのお金
ロー側のヘッドライトを隠す紙とガムテープなど
雑巾などのふき取る物
予約番号のメモなど
印鑑(三文判で可)
車検時は、ハイ側ライトの光軸を測定するため(※)、ローとハイが離別しているライトの車はロー側を隠さなくてはなりません。
また、オイルなどの汚れに気付いた際に対応できるよう、雑巾などの用意も忘れずにしていきましょう。
忘れ物はありませんか?
準備ができたら、安全運転で運輸支局へ向かいましょう。
車検場は広く、部署により建物が異なる場合があるため、まずは敷地内の配置図をよく確認することをお勧めします。
また建物に番号が振ってあるので、まずは①と書いてある建物を探しましょう。
※平成10年9月1日以降に製作された自動車はロービーム計測とされているため、全てがこの対象になるわけではありません。
書類の記入と支払い
車検場にて受け取る書類(購入)
新自動車損害賠償責任保険証明書
自動車検査票
自動車重量税納付書
継続検査申請書(OCR用紙)
車種に応じた重量税分の印紙
まずは「各種申請書類窓口」での書類を購入します。書類は50円程で購入が可能です。
検査手数料と重量税を支払い、印紙を貼付した後に自賠責保険に加入します。
各種金額はこちら
検査手数料
車検(継続検査)小型自動車 1,700円車検(継続検査)普通自動車 1,800円
自動車重量税
軽自動車 7,600円
0.5トン以下 8,200円
0.5~1トン 16,400円
1~1.5トン 24,600円
1.5~2トン 32,800円
2~2.5トン 41,000円
2.5~3トン 49,200円
※減税対象車は、陸運支局に要確認
自動車損害賠償責任保険
普通自動車24ヶ月 25,830円
軽自動車24ヶ月 25,070円
各種支払が済んだら書類の記入をします。
自動車検査表と継続検査申請書は運輸支局に記入例があるので、それを参考にしながら車検証を照らし合わせると記入間違いを防ぐことが可能です。
なお走行距離を記入する欄があるので、事前にオドメーターの場所を確認しておきましょう。
必要書類の記入が終わり、自動車検査票と自動車重量税納付書に必要な印紙が貼り付けてあることを確認したら、いよいよ書類審査へと進みます。
書類審査
自動車検査票、継続検査申請書、自動車重量税納付書に記入し終わったら、「ユーザー車検受付」にて書類審査を受けます。
この時に事前に予約した予約番号が必要となるので、控えを忘れずに持っていきましょう。
記入漏れや誤り、不足がなければ書類審査は合格で、いよいよ検査コースへと進みます。
検査コース
いよいよ検査コースに並びます。
車検に受かるかどうか緊張する場面ですが、スムーズに検査を行うために事前に準備しておいたほうが良いことがあります。
検査コースに並ぶ前にやっておくこと
・ボンネットを開けておく
・ホイールキャップやセンターキャップを外しておく
・車体番号や識別プレートの場所を把握しておく
・ライトのロービーム側を塞ぐ
・オイルのにじみや汚れがないか確認しておく
これで検査をスムーズに行うことができます。
検査官の方が来たら、車検の開始です。
緊張が最高潮に達する時ですが、落ち着いて受験に臨みましょう。
事前に動画などで流れを確認することで気分が少し楽になるのではないでしょうか?
各項目を詳しくご紹介していきます。
同一性の確認・外観検査
同一性の確認とは、自動車検査証(車検証)と車が同一のものであるか検査します。ボンネットを開けてエンジンルームにある車体番号と同じか検査官が検査します。
外観検査とは、ウインカーやハザードなどのライト類、タイヤのボルトの緩みの確認、発炎筒の有効期限の確認などを行います。
排ガス検査
排ガス検査とは、車のマフラーにプローブと呼ばれる細い管を挿入して、CO(一酸化炭素)とHC(炭化水素)の濃度を測ります。
下回り検査
下回り検査とは、車体下部の検査をします。オイル漏れやグリス漏れはないか、ゴムブーツ類に異常はないか、ボルトに緩みはないか、ギア操作やハンドルがきちんと作動しているかを検査します。
サイドスリップ検査
サイドスリップ検査とは、タイヤの直進安定性(横滑り量)を検査します。
マルチテスターでの検査
マルチテスターでの検査とは、スピードメーターの精度検査、ヘッドライトの照度と光軸検査、前後ブレーキ検査、パーキングブレーキ検査、という1つの機械で4つの検査を行います。
総合判定
各項目では、判定結果の記録機があります。その記録を検査官が確認し、車両に不備がなければ「審査結果通知」の欄に合格を意味する判子が押されます。
不合格だった場合
もし不合格になった場合は検査官から不備を指摘されます。不備を改善して再度検査を受けることが可能です。なお当日3回目からは新たに検査手数料が普通車で1800円、小型車で1700円が別途必要となります。
新しい車検証とステッカーの交付
おめでとうございます!
一番の難関である検査ラインを無事に合格しましたね。
ラインに合格したら、すべての書類を「持込検査更新受付・返付窓口」に提出します。
しばらくすると、新しい車検証と自動車検査の有効期限を記したステッカーが発行され、フロントウィンドウに貼ってある古いステッカーを新しい物と交換したら車検は終了!
これでまた、愛車と新たな2年間を過ごすことができるのです。
お疲れ様でした!
テスターと代書

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ユーザー車検では、すべてを自分で行うことによりコストの削減が可能となっています。
それでも検査ラインで合格するか不安があったり、書類を書くことが手間となる場合、「テスター」と「代書」に頼る方法もあります。
テスターとは?
文字通り、車検前に検査ラインに合格するかテストをする場所です。
検査ラインで行う全ての項目から一部の項目までを選べるので、必要に応じてテスターを活用するのが良いでしょう。
料金は項目に応じて2000円から5000円程となっているようです。
代書とは?
文字通り、書類記入の代行を行う場所です。
行政書士により書類記入の代行を行いますので間違えがなく、自賠責保険などの加入も可能なため一度に全部が整うという利点があります。
料金は1000円から3000円程となっているようです。
ユーザー車検はどれくらい経費が削減できるのか

Photo by Steven Harrell
全てを自分で行うユーザー車検は手数料や工賃などの負担がなくなります。
実際にはどれほど節約できるのか、国産車に多い1.5トン以下の車を例に比較をしてみましょう。
ディーラーで車検を通した場合(相場):約130,000円~150,000円
ユーザー車検の場合:52,180円(税金、自賠責、検査料、書類代のみの計算)
消耗品の交換を行ったとしても明らかにユーザー車検の方がコストパフォーマンスに優れていることがお分かりいただける結果となりました。
整備工場に点検に出したとしても24ヶ月点検の相場は30,000円前後、テスターと代書を依頼したとしても合計で40,000円前後、総額は100,000円を下回ります。
1回だけと考えるとそれほどのメリットは感じませんが、2回・3回と車検のたびにこの差が出るとなると、大きなメリットとなるのではないでしょうか?
まとめ

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今回はユーザー車検についてまとめてみましたが、いかがでしたか?
車に乗るうえで、車両の安全管理は運行者の義務でもあります。
ユーザーの義務である日常点検を怠らなければ、安全を維持することができ、経費がかさむ車検でもメリットを得ることができます。
コストの削減につながり、車にも詳しくなれるユーザー車検は愛車を維持する上で有効な関わり方といえるのではないでしょうか?
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