ステーションワゴンブームの華やかな時代、いずれほとんどがミニバンに取って代わられる事になりますが、1990年代には数多くのステーションワゴンが各社からラインナップされました。日産 ステージアもその1台でしたが、スカイライン / ローレルをベースに広いラゲッジとベース車譲りの走行性能や高級感を売りにしており、ヒット作となります。そして2001年、既にブームは過ぎていたものの、数少ない大型ステーションワゴンの買い替え需要に対応するかのうようにデビューしたのが2代目M35ステージアでした。

 

日産 M35 ステージア / Photo by FotoSleuth

 

 

新世代プラットフォームを使った大型ステーションワゴン

 

日産 M35 ステージア / Photo by FotoSleuth

 

1990年代末期、経営悪化による再建のため、日産自動車はフランスのルノー傘下に入ります。

それにより、後に三菱自動車なども加えて2017年の世界自動車販売No.2に輝いたルノー・日産連合が誕生し、最高経営者にはルノーからカルロス ・ゴーン氏が就任しました。

そのゴーン体制の元で再出発した新生日産が、デザインの最終決定を下した第1号モデルが2代目M35ステージアです。

初代モデルはステーションワゴンブームがまだ華やかだった1996年に登場、国内ではそれまでクラウンやセドリック / グロリア、あるいはマークIIがLクラスステーションワゴンの全てで、全車旧モデルの継続販売だったため、「古いライトバン」感は否めませんでした。

そこにスカイライン / ローレルをベースにした新しいスポーティーデザインで登場し、R31スカイラインワゴン以来の直列6気筒ターボを搭載して走りも本格的で、GT-Rと同じRB26DETTを採用したモデルすら存在した初代WC34ステージアは、大人気となりました。

極度の販売不振に苦しむ日産では数少ないヒット作とあって販売面でも力の入っていたステージアでしたが、ベース車のモデルチェンジと後継車からのRB系直6エンジン廃止により、ステージアも2代目M35ステージアへとモデルチェンジします。

ローレルの廃止統合で日産唯一のアッパーミドルクラスFRセダン / クーペとなったV35スカイラインと同じFR-Lプラットフォームを採用し、VQ系V6エンジンの最新型を搭載した2代目Lクラスステーションワゴンはこうして生まれたのです。

しかし既に単なる走りのいいステーションワゴンというだけでは売りにならない時代でもあったため、スバル レガシィ・ランカスターや日産 アベニール・ブラスターと同じ最低地上高を引き上げたSUV風、「AR-X」グレードを投入する販売テコ入れ策が行われました。

 

ショートノーズ・ロングホイールベース化による恩恵

 

日産 M35 ステージア / 出典:http://history.nissan.co.jp/STAGEA/M35/0110/index.html

 

M35ステージア最大の特徴は、一新されたプラットフォームによるパッケージングの大幅変更です。

フロントミッドシップにV6エンジンを搭載するFR-Lプラットフォームは、フロントオーバーハングまで重く長い直6エンジンを搭載していた先代より軽量コンパクトなエンジンを、より車体前後重心に近い位置まで後退。

それによって前後重量配分を最適化(2WD・51:49、4WD・52:48)しました。

恩恵はそれだけではなく、全長が先代よりやや短くなりましたが車内乗車スペースの余裕が拡大して快適性が向上。

ラゲッジ長も拡大されるなど、ロングホイールベース&ショートノーズ化のメリットの方が大きくなっています。

具体的には後席足元の余裕が90mm拡大し、ラゲッジは後席折りたたみ時に先代より40mmも長くなり、荷室への張り出しを最低限にする専用設計リアサスペンションの採用もあって、快適性と使い勝手の両面で大きく向上しました。

内装は基本的にV35スカイラインから基本デザインを踏襲い、多くの部品も共有されていますが、後期型ではセンターパネルやドアハンドルガーニッシュにアルミ製を採用。

シフトノブもアルミと本革を組みわせたものになり、標準装備での質感が大きく向上しています。

また、車体構造化した軽量樹脂製バックドアを採用して、リア開口部の剛性アップと開閉時の軽さを実現しました。

 

V35スカイラインには無いターボ車も設定

 

日産 M35 ステージア / 出典:http://history.nissan.co.jp/STAGEA/M35/0110/LINEUP/body2a.html

 

走りの面では先代のイメージを踏襲する、2.5リッターV6DOHCターボエンジンVQ25DET搭載モデルが設定されました。

これは国内仕様ではスカイラインを名乗るものの、海外ではインフィニティブランドのスポーツセダンとなるV35スカイラインとの大きな違いで、M35ステージアが国内専用モデルになったのも大きな理由かもしれません。

この280馬力ターボエンジンにアテーサE-TSを組み合わせた4WDモデルは、「走りの4WDターボステーションワゴン」として走行性能の高さをアピールしました。

なお、ベース車のV35スカイラインよりステーションワゴンボディを載せている分だけ後輪にかかる荷重がコーナリング時にも重くなっています。

そのため、前期型4WDの「AR-X FOUR」、「250t RS FOUR V HICAS」グレードではアンダー傾向を弱めるため、V35で廃止された日産独自の4WS(4輪操舵)、電動SUPER HICASが採用されました。

ただし、VQ25DETは事実上M35ステージア専用エンジンで他車種への搭載予定も無く、コストをかけて排ガス対策を行う必要性が認められなかったこともあって、2004年8月のマイナーチェンジで廃止されてしまったのは残念です。

代わってV35スカイラインでは既に搭載、M35ステージアでもオーテックバージョンの「アクシス350S」グレードに搭載されていた3.5リッターV6DOHC・NAのVQ35DEが搭載されましたが、6MTもあったアクシス350Sとは異なり5ATのみに変更され、MT車は廃止されます。

また、「AR-X」グレードでは最低地上高を40mm上げて樹脂製オーバーフェンダーやシルプロテクターを装着。

ライバルのトヨタ クラウンアスリートや同マークIIブリットには無い、SUV感覚で乗れる個性的なモデルとなりました。

なお、特に前期型では先代から受け継いだ豪快なターボエンジン搭載車もありましたが、残念ながらターボ+6MTの組み合わせは無く、先代のようにチューニングを受けたドリフト仕様など過激なチューニングカーもあまり見かけません。

 

主要スペックと中古車相場

 

日産 M35 ステージア / Photo by MIKI Yoshihito

 

日産 NM35 ステージア 250t RS FOUR V HICAS 2001年式

全長×全幅×全高(mm):4,795×1,760×1,510

ホイールベース(mm):2,850

車両重量(kg):1,680

エンジン仕様・型式:VQ25DET 水冷V型6気筒DOHC24バルブ ICターボ

総排気量(cc):2,495cc

最高出力:280ps/6,400rpm

最大トルク:41.5kgm/3,200rpm

トランスミッション:5AT

駆動方式:4WD

中古車相場:2.1万~99.9万円(各型含む)

 

まとめ

 

日産 M35 ステージア アクシス / 出典:https://www.autech.co.jp/pressroom/library/20070521_02.html

 

内外装、プラットフォームからエンジンまで一新して「ちょっと大人のステーションワゴン」になった2代目M35ステージア。

初代はリアオーバーハングの長さが個性的、かつ「ちょっと強引にステーションワゴン化」した感覚が人気だったように思いますが、ロングホイールベース化やフロントミッドシップ化された2代目は見た目から優等生で、やや個性が薄れた感があります。

しかし、前期型では2.5リッターターボが相変わらずヤンチャを思わせ、リアが重くなって走りがスポイルされないよう、電動SUPER HICASを採用したという心意気は大いに「買い」の1台!

アクシス350Sも同クラスライバルには無い6MTが搭載された最後のLクラスワゴンで、余裕の3.5リッターエンジンと組み合わせられたところが、走りを楽しみたいユーザーには嬉しいところ。

V35スカイラインベースということで、大人しめの優等生というイメージがあるかもしれませんが、前期型は走りに魅力いっぱい!そしてラグジュアリー系ユーザーには内装が豪華になった後期型がオススメです。

もう新車でこのクラスのステーションワゴンを買おうと思えば輸入車しかありませんが、国産車でSUVやミニバン以外のラゲッジが広くスポーティな車が欲しい!と思えば、事実上このM35ステージアが最後のモデルになるので、気になる方は是非中古車をチェックしてみてくださいね。

 

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