ターボチャージャーは、気流を利用してシリンダーにより多くの混合気を送り込み、エンジンの出力をアップさせてくれます。そんなターボを搭載した車が日本で市販されたのは、1979年のこと。日産 セドリックが最初でした。その頃のターボ車は急にエンジンを止めてはいけないとされており、ターボタイマーが必須装備でした。2019年の現在でも同じなのでしょうか?

掲載日:2019.6/18

R35 GT-R VR38DETT ターボ

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ターボ発売当初は、アフターアイドリングが必須だった!

よく耳にする”アイドリング”という言葉。

その語源はアイドルなのですが、決して歌って踊る”アイドル(idol)”ではなく、英語表記にすると”idle”。

つまりは待機状態のことで、エンジンをかけたまま停車している状態を表す単語になります。

かつては発進前にも暖機運転を行い、エンジンを温める必要がありました。

そうしないと、シリンダー内で混合気がうまく爆発せず、すぐにエンストしてしまったからです。

現代では発進前のアイドリングは、極寒地の冬季を除けばほぼ必要ありません。

むしろ現代では停車中のアイドリングは燃料消費の無駄とされており、排ガスのクリーン化に対応するために、多くのAT車や一部のMT車にアイドリングストップ機構が備えられています。

アイドリングは現代では、環境に厳しい行為の象徴と言えるかもしれません。

しかしこの現代の常識は、約40年前のターボ車には通用しないのです。

当時のターボ車は運転終了後にも、アフターアイドリングといわれるアイドリングを行っていました。

当時のターボ車は運転後およそ、20秒から5分ほどのアフターアイドリングが必要で、運転者は愛車周りで運転後の最大5分を過ごしていました。

それでは不便!!ということで考案されたのが、ターボタイマーだったのです。

ターボタイマーは必須装備だった!?

©︎HKS

ターボタイマーとは、運転を終了しイグニッションをオフにしても、しばらくアイドリングを続けるための装置です。

アイドリングの長さは、インパネに装着するタイマーによって設定できました。

低速や短距離運転なら短め、高速や長距離運転なら長めに設定します。

1980~90年代のターボ車が隆盛だった時代には、ターボ車の必須装備とされていました。

急なエンジン停止でタービンがっ!!

車両火災

Photo by TEST-COURSE

ターボ車にターボタイマーが必要とされた理由は、タービンのシャフトの損傷を防ぐためです。

タービンの羽は高速走行時、毎分10万回転以上で回ります。

また、スムーズに回転するための円滑剤としてエンジンオイルを使用しており、エンジンオイルの供給はエンジンの動力で賄われていました。

もしエンジンが急にストップすると、タービンはエンジンオイルが供給されなくなってもしばらく回転することになります。

そうなると、いずれエンジンオイルがなくなり、カラッカラに乾いた状態でタービンが回れば、温度に耐えられず焼き付いたり、発火する可能性すらありました。

そんなタービンの破損を防ぐためにアフターアイドリングが必要で、アフターアイドリングを負担なく行うためのアイテムがターボタイマーだったのです。

ターボタイマーは現在も販売中!?

販売中 電卓

Photo by Mike Cohen

2019年現在、ターボ車はダウンサイジングターボとして普及しています。

少ない排気量で多くの出力を得られる点は、初期のターボと同じですが、新素材の開発、緻密なコンピューター制御などの技術革新により、ターボ車の最大のデメリットであるターボラグを解消。

低い回転数から巨大なトルクを得られるようになりました。

また、最新のターボ車はアフターアイドリングを基本的に、必要とはしません。

その理由は、タービンのシャフトの改良により潤滑剤をエンジンオイルだけに頼らなくなったからです。

そのため、高速走行を終える前に数十秒、速度を落とすだけで十分だそう。

しかし、それでもターボタイマーは、現在でも新商品が販売されています。

新時代のターボタイマーの役割

イグニッションキー

Photo by Doug Waldron

高性能な自動車パーツメーカーとして有名なHKSからは、10代目となるターボタイマーが販売されています。

以前のターボタイマーとの違いは、設定時間の長さです。

普段の運転の後は1分、高速道路走行後は3分、サーキット走行後は5分の設定。

ここまでは、従来と変わりませんが、注目はここからです。

ちょっとした買い物時の車内温度維持に10分、夏や冬季の車内温度維持に30分という設定もできるようになりました。

そうなると、これはもはやターボタイマーではなく、エンジンタイマーです。

エンジンタイマー機能充実は交通行政厳格化の影響か?

道路交通法が改正され、盗難車が事故を起こした場合、自動車の所有者にも責任が問われるようになりました。

「鍵をつけたまま、ちょっとコンビニへ。」これが所有者の管理責任の怠慢とされるのです。

しかし暑い夏など、鍵をつけ車内を冷やしたままにしておきたいですよね。

この二律背反的な望みを叶えるのが、現在のターボタイマーというわけです。

まとめ

ターボ車にとってターボタイマーが必要な装備であることは、今も昔も変わりません。

しかしターボチャージャーの改良により、以前よりは必要性は薄れています。

また、かつては走り屋向けの商品であったターボタイマーですが、一般用途向けに、今では鍵を抜いても一定時間エンジンを始動させておく機能を付け加えることで、生き延びているのでした。

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