1980年代前期、2ストレーサーレプリカブームに並行して4スト400ccミドルクラスの人気も絶頂期を迎え、ホンダ CBX400Fがサーキットや峠で人気を独占するようになっていました。他メーカーはCBX400Fに対抗すべく並列4気筒エンジンを搭載したスポーツバイクを登場させる一方で、V型2気筒という独創的なアプローチで生み出されたのがヤマハ XZ400。今となっては超マイナー車となっていますが、コンセプトや設計を見返してみれば、意外にも立派なスポーツバイクでした。

掲載日:2019/1.2

 

4気筒時代にあえて2気筒で勝負を挑んだヤマハ・XZ400

 

出典:https://www.autobelle.it/en/a/For_sale_YAMAHA_VISION_XZ_550_24519.xhtml

 

ヤマハXZ400というバイクを覚えていますか?

当時を知らない方にとっては初めて聞く車名だと思います。

1980年代前半のバイクブームに登場し、ヤマハ以外の二輪車メーカーには真似できない独創性と最先端技術を詰め込んだモデルでした。

4スト400ccエンジンを搭載するモデルであれば、4ストユーザーにとって”並列4気筒”であることが絶対条件に感じられた当時に、XZ400はV型2気筒を搭載。

気筒数が少ないにもかかわらず4気筒勢と同等のパワーを発揮し、V型ならではのスリムな車体にはライバル達に劣らない性能が期待されました。

しかし、いざ発売しても販売台数を伸ばせず、ユーザーからは不評な部分もあったせいか、登場から1、2年でいつのまにか生産終了に。

400cc4気筒に真っ向から勝負したXZ400は、その存在をあまり知られないまま消えて行ったのです。

 

ヤマハ・XZ400とは

 

© Yamaha Motor Co., Ltd.

 

XZ400は、1982年3月にヤマハが発売した400ccクラスのバイクです。

1970年代終盤からミドルクスラス4気筒ブームが起こり、1980年代に入るとヤマハXJ400(1980年)、スズキGSX400F(1981年)、カワサキZ400GP(1982年)などが登場。

そんな中で最も人気だったのがホンダCBX400F(1981年)で、1980年代前半に起こったバイクブーム絶頂期を象徴するような400cc4スト4気筒 バイクの代表格でした。

このように、当時の国内二輪市場で400cc以下の4ストエンジンを搭載するバイクは、並列4気筒をであることがヒットバイクの絶対条件。

ヤマハも空冷4ストローク並列4気筒エンジンを搭載するXJ400を生産していましたが、一方で異なったアプローチでXZ400を発売します。

 

ヤマハ・XZ400D / 出典:https://www.motorcyclespecs.co.za/model/yamaha/yamaha_xz400d%2082.htm

 

XZ400の登場から約2か月後、フロントカウルを装備させたXZ400Dが発売され、走行時の快適性が一段とアップ。

当時、国内仕様で販売するバイクに関し、空力的な付加物は暴走行為を助長しかねないという理由からフロントカウス装着車では型式認定を得るのが難しく、1983年中盤になってからホンダVTR250FインテグラやスズキRG250Γなどフロントカウルが装着されるようになりました。

それよりも先にフロントカウルを纏ったXZ400Dは、他車に装備されたビキニカウルやメーターバイザーを除けば、国内仕様バイク初のフロントカウル付きバイクだったとされています。

そんなXZ400に採用された398cc水冷4ストロークV型2気筒DOHCエンジンとシャフトドライブの組み合わせは、他メーカーの400ccミドルクラスバイクにない唯一無二の存在で、直線的で力強いラインと明確な凹凸を取り入れた新しいデザインも当時としては新鮮なスタイルでした。

とはいえ並列4気筒のような高回転域まで吹け上がる出力特性ではありませんでしたが、V型ならではの低回転からグイグイと車体を進ませるトルク感は、ワイディングを速いペースで走行するのに有効なエンジン特性。

メンテナンスフリーで静粛性に優れるシャフト駆動や、高速クルージングでの快適性を生み出すフルカウル仕様の追加販売なども行われ、XZ400はミドルクラス版BMWバイクとも呼ばれてもいました。

 

輸出仕様に合わせて採用されたシャフトドライブ。エンジンは最新技術が詰め込んだVツイン

 

XZ400の開発は、輸出仕様のXZ550をベースに進められました。

当時、ヤマハはXJ900やFJ1100など輸出仕様のバイクにはシャフトドライブを搭載しており、XZ550もシャフトドライブを念頭に開発が進められたため、XZ400もシャフトドライブ化されています。

ちなみに400ccクラスのシャフトドライブといえばホンダGL400やCX-EUROなどツアラー向けのバイクが多かったため、XZ400登場後もツアラー思考の強いバイクという市場の意識がありましたが、XZ400のエンジン設計を見れば、そうとも限らないようです。

 

 

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そんなXZ400のエンジンは、4スト400ccクラスで冷却方式に水冷を採用されているのが珍しかった時期に、新開発の水冷V型2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。

加速ポンプ付ダウンドラフトキャブレターやY.I.C.S(ヤマハ.インダクション.コントロール.システム)など最新技術をエンジンに詰め込み、ライバル車とほぼ互角の最高出力45馬力を発揮しました。

他にも走行性能や快適性を上げるために、当時ヤマハが特許申請中だった『一軸3ウエイトバランサー』を搭載し、V型エンジン特有の鼓動感を活かしつつ並列エンジンのような静粛性を実現。

ハイパワーでありながら乗り心地の良さも考えられていました。

 

ライバルに比べれば少し重かった車体

 

ヤマハ・XZ400 / 出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%83%BBXZ

 

XZ400は4気筒に負けないパワーを手に入れましたが、ライバル車に比べて車体は比較的重め。

XZ400オーナーのレビューを見ても、鉄の固まりのような重量級のバイクだったとされており、数値上ライバル車と比べればXZ400が189kgに対し、最も人気のあるホンダCBX400Fは173kgでクラス最軽量。

同じヤマハでもXJ400は180kgで、カワサキZ400GPは200kg。

スズキGSX400Fでも195kgだったためXZ400より重かったものの、並列4気筒でハイパワーだったという点でXZ400よりもメジャーなモデルとなっています。

 

ヤマハ・XZ400/400Dのスペック

 

1982年式 XZ400 1982年式 XZ400D
全長×全幅×全高(mm) 2,145×750×1,090 2,135×750×1,320
ホイールベース(mm) 1,445 1,445
最低地上高(mm) 135 135
シート高(mm) 780 780
乾燥重量(kg) 189 200
エンジン種類 水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ
排気量 398 398
ボア×ストローク(mm) 73.0×47.6 73.0×47.6
圧縮比 10.5:1 10.5:1
最高出力(kW[PS]/rpm) 33.1[45]/10,000 33.1[45]/10,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 33.3[3.4]/9,000 33.3[3.4]/9,000
トランスミッション 5速 5速
タンク容量(ℓ) 17 17
タイヤサイズ 90/90-18 90/90-18
110/90-18 110/90-18
価格(円) 499,000 570,000

 

まとめ

 

XZ400に搭載された水冷70度VツインエンジンはXZシリーズのみに採用されただけでしたが、XZ400Dのフェアリングはヤマハ ワークス ロードレーサーやヤマハ船舶部門と共同で開発し、ヤマハの総合力を結集させたものでした。

今思い返せば、マイナー車に終わってしまった印象になりがちですが、ヤマハはXZ400にかなり開発費をかけ、相当な思いを込めて売り出した意欲作です。

バイクが売れに売れた時代、ライバルを意識したハイスペックモデルを送り出せばそれなりの販売数が望めたはずですが、4気筒だけでなくV型ツインの楽しさを伝えようとしたスポーツバイクがXZ400だったのでしょう。

現行型に精通するXZ400のメカニズムや個性的なデザインを今見れば、欲しくなってしまうかもしれません。

 

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