1999年のデビュー以来スズキのフラッグシップマシンとして君臨する隼。最高時速は300km/hを超え、ライバルマシンを一切寄せ付けない圧倒的なスペックは未だ衰えることはありません。今回は、そんな個性的なスタイリングに強靭な心臓を持ち合わせた最強マシン、スズキGSX1300R隼をご紹介します。

 

出典:http://www1.suzuki.co.jp/motor/product/gsx1300ral7/top

公道300km/h時代の到来・隼のライバルとなるモデル続々登場

 

 

時速300kmとは、どのような世界なのでしょうか。

ライダーであれば、一度はそんな想像をしたことがあると思います。

1989年のドイツ・アウトバーンで、あるバイク雑誌が『オーバー300km計画』と称し、公道で300km/hを叩き出すという企画が行われました。

マシンは、チューンを施したスズキ・GSXR750R

結果は、メーター読みで300km/hをマークし見事に成功。

この企画は当時のバイクファンの間で、かなり話題となりました。

そして翌1990年、アウトバーンの興奮が冷めやまぬ中、常識を超えた公道マシン(量産バイク)が現れるのです。

それは同時に300km/hの世界が、一般ユーザーに近づいた瞬間でもありました。

 

公道マシン300kmの可能性 カワサキZZR1100

 

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kawasaki_Ninja_ZX-11_1990.jpg

 

新幹線も製造している川崎重工。

そのカワサキから1990年に送り出されたZZR1100は、バイクの歴史に一石を投じたマシンではないでしょうか。

空力を考えつくされたボディに147馬力を発生するパワーユニットを積んだそのマシンは、生産を終える2003年までカワサキのフラッグシップマシンとして君臨します。

ツアラーバイクでありながらスピードメーターは320km/hまで刻まれており、市販車で初めてラムエアインテークを採用。

リッターバイクでありながら、その軽快なハンドリングは228kgという重量を感じさせることなくスムーズなライディングを可能とし、多くのライダーから支持されました。

また最高時速は290km/hにも及び、公道マシンによる300km/hへの可能性に、より現実味を持たせた先駆者と呼べるマシンでもあります。

 

ZZR1100を撃墜したスーパーブラックバード ホンダCBR1100XX

 

出典:http://moto.zombdrive.com/honda/honda-cbr1100xx-super-blackbird/

 

アメリカ空軍の超音速偵察機であるSR-71、通称ブラックバード。

敵のミサイル攻撃を回避し、マッハ3で飛行するその性能は速さの象徴でもありました。

そして1996年、同じく『速さの象徴』と呼ぶにふさわしいマシンがホンダからリリースされます。

それがホンダCBR1100XX、通称スーパーブラックバードでした。

まずホンダは開発時にキーワードを設定し、開発チームの意識をひとつにするそうで、CBR1100XXのキーワードは『世界最高峰のスーパースポーツ』。

車名の最後につく『XX』は、『究極』を意味しています。

エンジン内部に生じる各部の抵抗を極限まで減らし、最高出力は164馬力を発生。

空力においては600cc並みの空気抵抗を実現し、ブレーキは前後連動型のD-CBSを採用することによって安全で確実なストッピングパワーが与えられて、乾燥重量は223kg

最高速度は雑誌の企画で行われたテストで303km/hをマーク。

公道マシンで初めて300km/hを突破して、スーパーブラックバードの名を世界に知らしめました。

しかしリリースからおよそ10年、度重なる排気ガス規制により2007年に生産終了となってしまいます。

 

最速の翼で獲物を狙え スズキGSX1300R

 

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Falco_peregrinus_Morro_Rock.jpg?uselang=ja

 

時速390kmで急降下し、鳥類の中でも驚異のスピードで獲物を狩る隼。

ZZR1100とブラックバードが300km/hをかけてのバトルを繰り広げる中、後塵を拝するカタチでスズキから『究極のマシン』がリリースされます。

それがGSX1300RHAYABUSAでした。

スズキは今までバイク業界において、様々なム―ブメントを起こしてきました。

国内で初めてフルカウルを纏ったRG-Γ(ガンマ)や油冷エンジンを搭載したGSX-Rをリリースするなどして、レーサーレプリカブームに旋風を巻き起こし、第一回鈴鹿8時間耐久レースで優勝したヨシムラが選んだマシンも、スズキのGSでした。

 

ギネスブックも認定 公式に認められたオーバー300km

 

Photo by Cesar Sanctis

 

『アルティメットスポーツ』と呼ばれる隼は、公道スペックや記録において、公道300km/h時代のライバルマシンたちを凌駕することになります。

175馬力を発生するパワーユニットを積んだボディは、乾燥重量215kgと軽量に仕上げられ、開発時には空気抵抗の軽減に多くの時間を費やしたといわれているほど空力を追求し、その結果あの独特なスタイリングが与えられました。

記録においてはゼロヨン9.9秒という驚異の加速を見せつけ、そして最高時速はノーマルコンディションで312km/hをマーク。

ギネスブックにも認定されました。

 

現在も進化を遂げて生存

 

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hayabusa.jpg

 

隼は1999年に『GSX1300R HAYABUSA』として、海外でリリースされます。

350kmまで刻まれたスピードメーターは決して飾りではなく、実際に最高時速300km/hオーバーを可能とするそのスペックで話題を呼びました。

しかし2001年モデルからは自主規制によりスピードリミッターが装着され、スピードメーターも300km/hまでに抑えられてしまいます。

また2005年には、車名が『HAYABUSA1300』に変更。

そして2008年には、最初のモデルチェンジが行われました。

エンジンはバルブをチタン製に変えて、ストロークを2mm伸ばすことにより排気量が41cc増え、その結果最高出力は197馬力へとアップします。

フレームとブレーキも強化され、状況に応じて走行モードを選択できるS-DMSも装備。

ボディ周りにおいては、カウルやスクリーンの細かな変更にとどまり、メーターは5連メーターへと変更されました。

 

Photo by Roberto Severo

 

ちなみにこの2008年モデルは、リミッターカットを施した状態で非公式ながら最高時速333.95km/hをマークしています。

その後、2014年には騒音規制の測定方法が変更されたことにより、海外仕様と同様のスペックで日本仕様がリリース。

ETCが標準装備され、車名は『隼』となりました。

 

ENJOY HAYABUSA 隼を楽しもう

 

Photo by chascar

 

デビュー以来ハイパワー、ハイパフォーマンスで話題を集めた隼。

その楽しみ方は、いろいろあるようです。

 

走る凶器 走りは狂気 500馬力の隼ターボ

世の中には何を考えているのか、理解できない事に挑戦するような、チャレンジャーがたくさんいます。

おそらくこの動画に関わった人たちも理解されない?いや理解できない、挑戦者たちでしょう。

 

 

ハイパワーな隼に、更なるビッグパワーを与えるべくツインターボ化して500馬力・・・。

面白い動画ですが、絶対に真似しようなんて考えないでくださいね。

 

ロードレース全日本選手権優勝 ヨシムラ隼X-1

 

 

全日本ロードレース選手権2000年シーズン、ヨシムラは隼を投入して当時存在していたXフォーミュラクラスを戦いました。

そして度重なるアクシデントを経て、見事にシリーズチャンピオンを獲得。

その優勝記念として、100台限定でヨシムラチューンを施した『隼X-1』をリリースします。

この限定マシンは、256万円という価格にもかかわらず僅か一カ月足らずで完売したそう。

また、この年の鈴鹿8時間耐久レースでは総合6位、クラス優勝を果たしました。

 

隼の心臓を移植されたコンパクト・フォーミュラ

 

 

東京モーターショー2001のスズキブースにおいて、1台のフォーミュラカーが注目を集めます。

このフォーミュラカーの名前は『フォーミュラスズキ隼』。

スチール製のフレームとFRP製のカウルを纏ったコンパクトボディに、隼のエンジンをミッドシップレイアウトで搭載。

ミッションはレーシングカーと同様の6速シーケンシャルミッションで、その軽快な加速はジムカーナやワンメークレースを舞台にモータースポーツファンを楽しませてくれました。

 

Bird’s nest 隼駅

 

出典:http://www1.suzuki.co.jp/motor/hayabusa-ekimatsuri2017/index.html

 

鳥取県八頭町に佇む、木造平屋建ての小さな無人駅『隼駅』。

2008年には国の登録有形文化財に登録されたこの小さな無人駅は、隼の聖地と呼ばれています。

そして、同年8月8日は『はやぶさの日』として第一回『隼駅まつり』が開催されました。

残念ながら、その年に集まったのは僅か7台。

しかしその素朴な集まりの噂は次第に広まり、翌2009年の夏には500台を超える隼がこの小さな町に集結。

今では全国から大勢の隼オーナーが集まるほどの一大イベントとなり、2017年には1,600台が集まりました。

また、近隣にはカフェや宿泊できる施設もあり、絶好のツーリングスポットになっています。

 

 

隼駅詳細ページ:http://www.tottori-inaba.jp/new-tokusyu/hayabusa/

 

まとめ

 

今回はスズキのアルティメットスポーツ、『隼』をご紹介しました。

公道300kmを目指したライバルマシンたちが次々と姿を消す中、隼は時代に適応したモデルチェンジを図り、まるで野生の隼が自然界の中で生き延びるかの如く現在もフラッグシップの地位に君臨しています。

絶対的なスピードを与えられた隼ですが、アクセルを控えめに走ってもそのパフォーマンスが十分伝わる程!

隼を手に入れる機会があれば、是非翼を広げて悠々とハイウェイ・クルージングを楽しんでみてくださいね。

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