イタリアの自動車メーカー『ランチア』はアルファ(α)、ベータ(β)以下で始まる

ギリシア文字の

名称を歴代モデルに使ってきたことで知られています。古くは1922年登場のラムダ(ギリシア文字のL)から続いており、ラムダはモノコック構造のボディに前輪独立懸架、さらにはオーバーヘッドカムシャフトのエンジンを搭載するという1922年当時としてはあまりにも先進的な1台でした。そんなランチアが作り出す芸術の中で今回は90年代半ば、デザイン革命を巻き起こした1台といわれている初代ランチア・イプシロン(ギリシャ文字のY)をピックアップします。

 

ランチア・イプシロン / 出典:https://www.favcars.com/pictures-lancia-y-840-1996-2000-337059.htm

 

ランチアがコンパクトカーの雄アウトビアンキ社を吸収

アウトビアンキA112 / 出典:https://www.favcars.com/photos-autobianchi-a112-3-serie-1975-77-111741

 

1906年創立のイタリア自動車メーカー『ランチア』は、前述の1920年代のラムダに続き、戦後もアウレリア、フラヴィアといった先進的かつ高い技術力を惜しげも無く投入した、高品質で高価で個性的なモデルを世に送り出していました。

しかし1960年代に入り、大量生産の時代を迎えると”富裕層”に応えるべく高級モデルの販売だけで経営を続けていくのが困難となってしまいます。

1969年ランチアは、フィアットグループに身を寄せ、同グループの上級車部門として再建を図り「小さな高級車」と呼ばれたデルタなどの名車を誕生させる事に。

その後1992年、”A112”等コンパクトカーを手掛けていたフィアットグループの『アウトビアンキ社』がランチアに吸収されることとなりますが、この出来事が”小型車”ランチア イプシロンを生み出す大きなきっかけとなったのです。

 

革命的なエクステリア・デザインで登場したランチア・イプシロン

 

ランチア・イプシロン / 出典:https://www.favcars.com/lancia-y-840-1996-2000-photos-337679

 

1996年のジュネーブショーで衝撃的なデザインと共にワールドプレミアを果たした、ランチアブランドとして初めてのプレミアムコンパクトカー『イプシロン』。

実質的には、ランチアのボトムレンジを担う3ドア ハッチバックモデルです。

そのエクステリアはまさに『前衛的』のひと言に尽きるデザインで、従来の常識的な自動車の”格好良さ”や”美しさ”からかけ離れた、1990年代におけるイタリアンデザインの代表的な1台です。

サイドのボディラインがバラバラとも捉えられる革命的なデザインを担当したのは、ピニンファリーナ出身で、当時ランチアの中央デザインセンター(ランチア チェントロ スティレ)を率いていたエンリコ・フミア。

工業製品の枠を飛び越え、もはやアートとも表現されたイプシロンは、発表から20年以上経った現在でもインパクトあるスタイリングであることは火を見るよりも明らかです。

実際に、その後の自動車メーカーに多大な影響を及ぼす1台となったのでした。

アウトビアンキY10の実質的な後継コンパクトモデルとして開発されたイプシロンはフィアット・プントのプラットホームを7cm短縮したものを利用されています。

そのためサスペンションも、フロントがマクファーソン ストラット/コイル、リアはトレーリングアーム/コイルとプントと同じ形状となっていました。

 

十人十色のインテリアデザイン

ランチア・イプシロン / 出典:https://www.favcars.com/photos-lancia-y-840-2000-03-337057-1024×768.htm

 

ランチア イプシロンのインテリアデザインはアメリカ人デザイナーのグレッグ・ブリュー氏が手掛けています。

ボディカラーは、『カレイドス』と呼ばれるカラーバリエーション12色の基本色+100色のオプションが用意されていて、内装色と合わせて膨大な選択肢から自分だけの組み合わせを楽しむことが可能。

さらにシートやドアトリムの素材も布地ベースで、ランチアお得意のアルカンタラや革の中から選択することができたので、高級感漂うオリジナリティーあふれるインテリアを楽しめるようになっていました。

 

いち早くCVT搭載モデルも登場

ランチア・イプシロン透視図 / 出典:https://www.favcars.com/lancia-y-840-1996-2000-pictures-337060.htm

 

ランチア イプシロンは発売当初、1.1リッター、1.2リッター、1.4リッターの3種類の直列4気筒SOHCエンジンが設定されていました。

1.2リッターエンジンでは、当時としては先端技術の”CVT”や6速MTも選択することが可能。

マイナーチェンジ後に、1.2リットルと1.4リットルがDOHC化されるとともにイタリアの免許制度(イタリアでは、免許取得後3年未満の人は、『最高速度150km/h、1tあたり68ps』を超える自動車を運転することが出来ない)を配慮して設定されていた、1.1リットルがカタログから落とされています。

 

初代ランチア・イプシロンLXのスペック

エンジン 直列4気筒SOHC
排気量 1371cc
燃料噴射装置 直噴電子制御式燃料噴射
最高出力 80ps/6000rpm
最大トルク 11.4kg-m/3250rpm
ボア×ストローク 82.0mm×64.9mm
トランスミッション 5MT
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット
サスペンション(後) トレーリングアーム
全長 3,723mm
全幅 1,690mm
全高 1,435mm
ホイールベース 2,380mm
車両重量 920kg

 

まとめ

ランチア・イプシロン / 出典:https://www.favcars.com/photos-lancia-ypsilon-1996-2003-337064.htm

 

1990年初頭のイタリアでは、従来の自動車デザインをくつがえす様なフォルムのクルマが数多く世に放たれています。

1993年登場のフィアット プント、クーペ フィアットから始まり、94年のアルファロメオ145、アルファ スパイダー、GTVなど、現在でもその独創性を称えられるデザインが誕生していきました。

なかでも異彩を放っていたのがランチアのイプシロンで、コンパクトカーにプレミアム感を持ち込んだエクステリア、インテリアなど、ともに革命的なデザインを導入した’90年代の名車にあげられる1台です。

現在の日本車は、カラーバリエーションやシート素材を選択できるオプションが普通に設定されていますが、そのシステムの原点は初代イプシロンにおける当時のランチアが生み出したといっても過言ではないでしょう。

 

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