「何で世の中は3ナンバー車ばかりなのか、5ナンバーサイズでも高級感あるFRのセダンは作れないのか?」と、要するにバブル時代のW201系メルセデス ベンツ190Eを再現したようなFRプレミアム コンパクトセダンを求める層はいつの時代でも一定層存在するようですが、トヨタが1990年代末期に出したひとつの回答がプログレでした。

 

トヨタ プログレ / Photo by JOHN LLOYD

 

『超保守派層向けプレミアムコンパクトセダン』プログレ誕生

 

トヨタ プログレ / © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

1989年、それまで『贅沢品』とされて高額な税金が課されていた3ナンバー車の自動車税が単純に排気量のみでランク付けされるようになり、5ナンバー枠を超える車体サイズやエンジン排気量の設定が容易になりました。

それに加えてバブル景気に後押しされた『3ナンバーブーム』が巻き起こり、大排気量大型セダンやデートカー向けのクーペに続々と3ナンバーモデルが登場。

果ては既存5ナンバー車にオーバーフェンダーを装着し、3ナンバー化する事さえ流行る事に。

しかしその一方で現在も続いている『日本の狭い道路や駐車場に適した5ナンバー車の合理性』を問う声は当時から多く、特にバブル時代に『小ベンツ』の愛称で親しまれたW201型メルセデス ベンツ190Eへの支持もかなり根強いものがありました。

要するに「3ナンバー化ばかりが進んでいるが、5ナンバー枠に収まるサイズでFR(フロントエンジン/後輪駆動)、高品質の内外装を持つ4ドアセダンをもう作れないのか?」という声です。

しかしバブル崩壊後に低迷の一途だった日本経済の中、国産車メーカー各社がいずれも苦しく、それどころか深刻な経営危機から脱せないメーカーまであった中、5ナンバーサイズの小型高級セダンを作る余力があったのはトヨタだけだったのかもしれません。

かくして1998年5月、当時の国産車としては画期的な『プレミアム コンパクトセダン』プログレが誕生したのです。

 

『安くても大きくて派手』とは対極の小さな高級車

 

トヨタ プログレ / Photo by Masahiko OHKUBO

 

プログレは基本的に10代目クラウン(S150系)のプラットフォームと4輪ダブルウィッシュボーン サスペンションを使い、全長全幅とも短縮して5ナンバーサイズ(全長4,700mm、全幅1,700mm、全高2,000mm)以下に収まるように小型化した4ドアセダンでした。

4ドアセダンという性格上、主力車種だった4ドアハードトップ版のクラウンより、8年ぶりにモデルチェンジ(1995年)したクラウンセダンの小型版と言った方が良いかもしれません。

ただし『小さくとも高級車』という点にこだわったため、同じ5ナンバーサイズセダンでもクラウンセダンの業務用グレードのように安価な2リッター車は設定されず、最廉価モデルでも300万円以上の2.5リッター車(NC250)で、全車3ナンバー。

外観は異型、内側は丸目の4灯式ヘッドライトや、あえてトヨタエンブレムを配さない格式あるフロントグリルなど、保守層向けフロントマスクは少々寸詰まり感もあり、特にテールはタクシーのコンフォートに近い素っ気無さです。

しかし小さくともホイールベースはクラウンと同じで車内寸法はほぼ同等、内装や装備面のクオリティにもこだわり、間違いなく『日本で扱いやすいサイズの高級車』を具現化した存在でした。

 

主なスペックと中古車相場

 

トヨタ プログレ / © TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

 

トヨタ JGC11 プログレ NC300 ウォールナットパッケージ 1998年式

全長×全幅×全高(mm):4,500×1,700×1,435

ホイールベース(mm):2,780

車両重量(kg):1,480

エンジン仕様・型式:2JZ-GE 水冷直列6気筒DOHC

総排気量(cc):2,997

最高出力:158kw(215ps)/5,800rpm

最大トルク:294N・m(30.0kgm)/3,800rpm

トランスミッション:4AT

駆動方式:FR

中古車相場:12.8万~118万円

 

まとめ

 

トヨタ プログレ / © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

結局プログレは熱い要望の割に市場が既に存在せず、後に登場した兄弟車ブレビスともどもヒット作とは言えない販売実績だったため、2007年に排ガス規制で搭載していた直列6気筒エンジンが廃止されたタイミングで後継車も無く生産を終了しました。

しかし、自動車税によるタガが外れた後は大型化する一方だった高級車に対して『小さくとも高級車は作れる』事を証明したのは大きな功績です。

セダンそのものが売れない時代に突入した事や、国内市場の縮小で5ナンバーサイズにこだわらない国際戦略車でも無いと販売を続けられない世の中になった事もあり、その後プログレと同様のコンセプトを持つ国産FRプレミアム コンパクトセダンは登場していません。

それでもハッチバック車など小型車で国際的にも通用する国産プレミアム コンパクトカーがいくつか登場するキッカケにはなったのではないでしょうか。

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