世界を代表するイタリアのレーシングカーコンストラクター、ダラーラ。1972年の創業以来、フォーミュラカーを中心に幾つものレーシングカーを作ってきた名門中の名門です。そのダラーラが今年、初の市販車を発売します。その名は「ダラーラ・ストラダーレ」。市販車の発売は、創業者であるジャンパオロ・ダラーラにとって長年の夢でした。

DALLARA STRADALE

出典:http://autodesignmagazine.com/en/2017/11/dallara-stradale-design-firmato-granstudio/

ダラーラとジャンパオロ・ダラーラ。

DALLARA STRADALE

出典:https://www.dallara.it/wps/portal/en/about/company-profile/Giampaolo-Dallara/!ut/p/z1/jZBBC4JAEIV_jcec0S2RbkLLlhKhkNpcQsNUUFfUkv59El2E2prbMN-befOAIAZqknuZJ0Mpm6Sa-hNZZ2bvueF56ArLtNERIfNssTI8YUL0AvBLOQj0j14BkHp9BDQ_gXy7mQYB49z3zYMw1ACG7AcQLN-AwoX7680pR6dJmZ0Dddk167JOv3VTvMUwtP1aQw3HcdRzKfMq0y-y1vCTpJD9APGchLY-xljuFpQ-xidgwCJc/dz/d5/L2dBISEvZ0FBIS9nQSEh/#.XX9Nsij7SiM

創業者の名を冠したダラーラ社の歴史は、そのままジャンパオロ・ダラーラの歴史そのものであるとも言えます。

ミラノ工科大学で博士号を取得したダラーラは、1960年に母国イタリアの雄、フェラーリに就職。

エンジニアとして活躍した後、マセラティへと移籍します。

どちらのメーカーにおいてもスーパーカー開発とモータースポーツ関連の仕事が多く、ダラーラは多くの経験と知識を手に入れました。

そして1963年、当時としては新興メーカーであったランボルギーニに移籍し、チーフエンジニアの座につきます。

ミウラやエスパーダといった初期ランボルギーニを代表する名車は、同僚であるパオロ・スタンツァーニやマルチェロ・ガンディーニとダラーラが共同で取り組み、生まれたものです。

ダラーラ・アウトモビリ設立

DALLARA STRADALE

出典:https://www.industry4business.it/eventi/innovazione-e-competenze-per-lautomotive-inaugurata-la-dallara-academy/

市販車の開発に勤しむ一方で、フォーミュラカーの開発も熱望していたダラーラ。

ランボルギーニでの実現は難しかった為、1968年にデ・トマソへ移籍。

後のウィリアムズにあたるチーム、「フランク・ウィリアムズ・レーシングカーズ」のF1マシン開発を担当することになります。

そして1972年には独立し、自動車メーカーとしての「ダラーラ・アウトモビリ」を設立。

以降はF3やF2等のフォーミュラカテゴリーにコンストラクターとして参戦し、レーシングカーコンストラクターとして磐石の地位を築きました。

フェラーリやランボルギーニにおける車両開発、フォーミュラカーの設計・開発までも行ってきたダラーラにとって、最後の悲願が自身の名を冠したロードゴーイングカーの市販だったのです。

レーシングカーに限りなく近いロードゴーイングカー

ダラーラ・ストラダーレは、まさに長年の想いの結晶であるといえます。

出で立ちはまさにスーパーカーですが、むき出しのカーボン地にクリア塗装を施しただけの外装は、レーシングカーメーカーとしての雰囲気を色濃く演出しています。

そんなストラダーレの乾燥重量は、なんと驚きの855kg。

それもそのはずで、車体構造の多くに同社が長年培ってきたCFRP成形技術が活かされているのです。

レーシングカーと同等の高剛性を誇るバスタブ・モノコックには、真空高温釜で焼き上げるプリプレグ工法を用いた自社製造。

ボディ構造体はプレス成形で、アウターパネルはCFRPを含んだ複合素材を用いるなど、正に車体はカーボン尽くし。

ボディは自社で所有する風洞実験施設を用いて開発されており、レーシングカー直系の空力性能を有しています。

名門レーシングカーコンストラクターが作るクルマは、レーシングカーそのものでした。

パワーがすべてじゃない。「軽く強靭であること」を重視

DALLARA STRADALE

出典:https://www.autotecnica.org/dallara-stradale-analisi-tecnica/

バスタブ背後に搭載されるエンジンは、フォード・フォーカスRSに用いられる2.3リッター直4ターボユニット。

これに専用チューニングを施し50psを上乗せする事で、最高出力は400ps/6200rpm。

最大トルクは51kgm/3000-5000rpmを誇ります。

ミッションは6速マニュアルが標準装備となっており、オプションでパドルシフトを選択することが可能です。

また、0-100km/h加速は3.2秒と強烈ですが、最高速度は280kmと、昨今のハイパーカーと比較すると少々控えめな印象となっています。

しかし、最も注目すべきはそのダウンフォースで、一番ダウンフォースが大きい仕様での最高速度における数値はなんと820kg。

車重とほぼ同等のダウンフォース量ということは、理論上、トンネルの天井に張り付いて走る……なんてことも可能だというから驚き!!
また、横Gは2Gにも達し、正にレーシングカーと同等の動力性能を発揮しています。

気になる値段は、最もベーシックなグレードであるルーフとウインドスクリーンを持たないバルケッタタイプのボディに6速MTが、2256万5000円から。

既に本国イタリアにおいては2018年末にデリバリーが開始されており、全グレード合わせて5年間で限定600台の生産が予定されています。

ちなみに、日本における輸入代理店は、アトランティックカーズが担当することになっています。

まとめ

DALLARA STRADALE

出典:https://www.motor1.com/photo/2562865/2018-dallara-stradale/

昨今のスーパーカーのトレンドである超ハイパワーなエンジンや大経ブレーキの類を用いず、「パワーが全てではない」ことを体現する、正にレーシングカーコンストラクターらしいクルマだと思います。

その証拠に、1200kg超えが当たり前の最近のスーパーカーとは違い、2シーターでルーフを無くすことで、総重量を800kg台に抑えているのは特筆すべき点でしょう。

現代に久々に現れたスパルタンスポーツは、豪華絢爛なモダンスーパーカー達とは一線を画した貴重な存在です。

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