F1の中継でよく耳にするチームラジオ。白熱するレースの最中にドライバーやエンジニアの緊迫感を読み取ることができ、いつもとは違うドライバーの声色も聞けることもあり、すっかりF1中継の中でも欠かせない要素となっています。その中にもちょっぴり変わったやり取りも見られることもあり、時にはファンの笑いを誘ったりする、印象に残るチームラジオをまとめてみました。
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チームラジオの役割とは?
チームラジオはTV中継でも頻繁に耳にしますよね?
レース中などドライバーが走行中にチームと連絡を取るための要となる手段として無線機が使われています。
ドライバーはヘルメット内にイヤフォンとマイクを装着しており、エンジニア側はピットレーンのブースから、多数のモニターやドライバーからの通信で多くのデータを得て解析し、最適な走行条件をドライバーに伝えサポートしています。
昨年からチームラジオのルールが変更になり、ドライバーへのサポートという事においては制限が加えられていますが、今季もレース中継を盛り上げる要素として親しまれています。
今回は5つのチームラジオをエピソードと共に、ご紹介したいと思います。
そんな事して怒られないの?ペレスのちょっとしたイタズラ
それは2011年の日本GPでの出来事。
当時ザウバーで小林可夢偉のチームメイトを務めていた、セルジオ・ペレスは17番手からのスタートでしたが、レース終盤には8位までポジションアップを果たしていました。
そんなペレスを見守るチームに突然耳を疑いたくなるような無線が飛び込んできます。
「パワーを失った!」
それは53周レースの最終周の出来事で、そのレースの本当に最後の最後での信じられないトラブルの報告に、ザウバーチームのエンジニアは落胆の色を隠すことは出来ませんでした。
しかしペレスは何事もなかったように8位でチェッカーを受け、チームに貴重な入賞を持ち帰りました。
実はこのトラブルはペレスのウソで作り上げられたもので、エンジニアはチェッカーを受ける彼の姿を見てようやくそのジョークに気がつきましたが、その前日である予選でのトラブルもあってエンジニア陣は若いルーキードライバーのイタズラに翻弄されることとなってしまいました。
ちょっと具合が悪いんですが…@マーク・ウェバー
2007年の日本GPは大雨の中、マーク・ウェバーは富士スピードウェイでのレース前から激しい食あたりによる体調不良と戦っていました。
予選で素晴らしい走りを見せ8番手からスタートでレースに期待がかかっていました。
天候と彼の体調が優れないままレースはセーフティカー先導のもとスタート。
20周ほど走行したのちレースが開始されるとウェバーは数々起こるアクシデントを切り抜け2番手までポジションを上げていました。
再度セーフティカーが入りピットは彼を激励しますが、彼の体調不良はもはや限界に達しておりエンジニアに悲痛な返答をすることとなりました。
「い、いま。モドしているんだ…。」
F1初優勝のチャンスに予想もできない事態の中ウェバーは善戦を続けていましたが、2度目のセーフティカーの際に後方からベッテルに追突され、彼に曰く人生で最もむなしいレースを終えることとなりました。
コックピットに携帯電話!?その時ドライバーが思いついたこととは?
2010年のバーレーンではルノーチームのエンジニアに信じられないミスが起こりました。
コース走行中のロバート・クビサからの無線は、彼のコックピットに誰かの携帯電話が置いたままになっているというもの。
高速走行をするF1マシンのコックピットで携帯電話が暴れまわるようなことがあれば大きな危険に繋がることは十分考えられます。
そこで、クビサが取ろうとした行動は、この電話を外へ投げ捨てるというアイデアでしたが、
これは危険行為に当たる可能性もあり、恐らく電話の持ち主であるエンジニアは悲しみに暮れることとなるでしょう。
幸いレース中ではなかったため恐らくこの携帯電話は持ち主の手に戻ったはずですが、みなさんもF1マシンを整備される場合は、うっかりコックピットに携帯電話を置き忘れないよう注意された方が良いかと思います。
こんなのF1のエンジンじゃねえ!
こちらは記憶に新しいフェルナンド・アロンソの怒り溢れるチームラジオの一部始終です。
2015年の日本GPでマクラーレンホンダのアロンソにはホンダの母国レースという事もあり、レースでの奮起が期待され、レース中盤に入賞圏付近を走行し期待に応える走りを披露していましたが、マックス・フェルスタッペンに後ろから迫られてしまいます。
そしてホームストレートに差し掛かるとエンジン性能差は激しく、抵抗も虚しく圧倒的な速度差で抜き去られたアロンソは不満が爆発し、「GP2!GP2みたいなエンジンだ。」と一喝。
またチームメイトのバトンもまとめて2台に追い越されるなど、性能の劣るエンジンに議論の余地はなかったので、ホンダは母国グランプリで善戦したとは言い難い姿を見せてしまいました。
信じられない!FIAなんて信じられない!
フェラーリで長年レギュラードライバーを務めてきたフェリペ・マッサは、そのフェラーリでのラストレースが母国ブラジルということもあり、闘志を燃やしていました。
レース前にはフェラーリのクルーからたくさんの拍手を浴びグリッドに向かったマッサ。
メディアの注目もマッサに集まり、レースがスタートすると9番手から順位を上げ4位まで浮上、前を走るはチームメイトのアロンソ。
アロンソはマッサの最終戦に花を添えるべく表彰台を譲る用意もあるコメントしており、マッサのフェラーリでのラストレースでの表彰台獲得も現実味を帯びてきました・・・
まさかのピット進入時のショートカットがペナルティの対象となってしまいます。
他のドライバーもこの件で警告などを受けていましたが、警告後にもそれを改めなかったとして最初にペナルティを課す対象に選ばれたのがマッサであり、ルールを守らなければペナルティは避けられませんが少し可哀想な気もするこの一件に対するマッサの回答は、
「そんなの信じられない!信じられない、FIAなんて信じられない。」
なんど同じことを言ってもペナルティは避けられないでしょうが、この日のマッサは気迫あふれる走りとチームラジオで大きな注目を浴びフェラーリを跡にしました。
感情爆発!お怒りの暴れん坊
非常に感情豊かなラテン系ドライバーとして2000年代初頭に人気を博したファン・パブロ・モントーヤは歯に衣着せぬ発言で有名でした。
2002年のベルギーGPの予選でアタック中のモントーヤは、既にアタックを終えたライコネンに、邪魔をされたとしてチームラジオで怒りを露わにします。
現代ならば音声に修正が入る表現もこの時代はそのまま伝えており、感情むき出しでライコネンに非難を浴びせており、このストレートな表現も彼が愛された理由の一つだと考えられています。
現代では確実にピーっと修正が入る表現ですので、日本語訳は割愛させて頂こうと思います。
まとめ
チームラジオはレースに詳しくない人でも、ドライビングよりドライバーの個性がわかりやすく伝わってきます。
英語はわからなくても、声を聴けばドライバーの心理はなんとなく伝わってきますので、今後さらに注目してみるとレースがより一層楽しめるかもしれませんよ?