「4灯丸目のテールランプを備えた車は?」。こう訊かれたら、日産「スカイライン」を連想する人は多いのではないでしょうか。かつてのスカイラインと言えば、4灯丸目テールランプが特徴的でしたが、実はスカイライン以外にも4灯丸目のテールランプを採用した車は多くありました。
掲載日:2019.7/25
4灯丸目が特徴的な車達
4灯丸目のテールランプを採用した車といえば、「スカイライン」や「フェラーリ」が有名でしょう。
しかしこれら以外にも、4灯丸目テールランプを採用した車は多く存在しており、その中には今でも人気の名車や、知る人ぞ知るマニアックな車も。
ここでは、スカイラインやフェラーリ以外で4灯丸目テールランプが特徴的な車達を、5台ピックアップしてみました。
マツダ ファミリア・ロータリークーペ
「マツダ ファミリア ロータリークーペ」は、「コスモスポーツ」に引き続き、2台目のロータリーエンジン(RE)搭載車として、東洋工業(マツダ)が販売していた車です。
当時の東洋工業は、量産化に成功したロータリーエンジンを普及しようと画策し、コスモスポーツに続く2台目のRE搭載車として、この車を開発。
1967年10月に行われた第14回東京モーターショーに、プロトタイプの「RX85」を展示し、その翌年からプロトタイプと大差ない状態での市販を開始しました。
内部に搭載されたREは、コスモスポーツに載せられたものと同様の、水冷2ローターの10A型。
このエンジンは単室排気量491ccで、総排気量は982cc。
最高出力100ps/7000rpm、13.5kgf・m/3500rpmの最大トルクを誇り、2リッタークラスのエンジンに匹敵する性能を持っていました。
このパワーに耐えるべく、シャシーコンポーネンツには、当時レシプロエンジン車として計画されていた、「ファミリア 1200 クーペ」のものを流用。
風洞実験を繰り返した上で決められたスタイリングや、805kgという軽い車重も相まって、最高速度は180km/h、ゼロヨン加速は17.5秒と、当時の日本車ではトップクラスの性能を誇ります。
しかし、その価格は当時の物価で70万円と低く抑えられており、ライバルとなった「日産 スカイライン 2000GT-R」の86万円より、15万円も安く販売されていました。
日産 180SX
「日産 180SX」は、「S13型シルビア」の北米向けモデルをベースにした車です。
ハッチバックのファストバックスタイルボディには、角型2灯式リトラクタブルヘッドライトを採用し、エンジンやトランスミッションなどの基本構造はS13とほぼ共通。
車体回りもほぼS13と同じ構造になっているので、「シルエイティ」や「ワンビア」などのフロントスワップのベース車両としても重宝されました。
そのなかで、4灯丸目テールランプを採用したのは、後期型のRPS13から。
丸目ランプが輝くリアには大型スポイラーを装着し、リアブレーキも容量アップ。
中期型からフロントバンパーとアルミホイールのデザインも変更され、ABSが標準装備されています。
内部には排気量1,998cc、16バルブのシングルターボを搭載したSR20DETエンジンを配置し、最大出力は205ps/6,000rpm、最大トルク28.0kgf・m/4,000rpmを誇ります。
また排気量2,000ccのSR20DEエンジンを搭載した、自然吸気モデルの「S」・「G」グレードも存在し、こちらは最大出力140ps/6,400rpm、最大トルクが18.2kgf・m/4,800rpmでした。
またこの車は約10年間販売されていましたが、その間に一度もフルモデルチェンジされることはなく、S13と構造は同じ。
そのため先述のシルエイティやワンビアをつくる際は、S13と組み合わせる場合が最も簡単です。
マツダ・オートザムAZ-1
マツダ オートザム ZA-1は、1992年10月5日発売された、小型の軽スポーツカーです。
同車は、スズキ製3気筒DOHC F6A型ターボエンジンをリアに搭載した、ミッドシップ車でした。
外装にはFRP(繊維強化プラスチック)を多用して軽量化を図り、ドアはガルウィング。
グラスキャノピーデザインを採用したシルエットは、本格的なスポーツモデルそのものです。
またこのオートザムは特殊なフレームを備えており、外装を外しての走行が可能でした。
とは言っても、公道では法律違反になるので、全く役に立たない特徴とも言えます。
最大出力は64ps/6,500rpm、最大トルク 8.7kgf·m/4,000rpmであり、ジムカーナA1クラスでの活躍も期待されていましたが、それ以前の問題が多々存在。
まずガルウィングを採用しているので、横転したときはそのままだと脱出できず、ドアガラスを割る必要がありました。
次に足まわりの設計と重心の問題から、コーナリング時に横転する可能性が高いとされ、事実、スピンや横転事故が多発します。
また、リアに荷重が寄っているので、直進時にも非常にバランスが悪く、実用性は乏しいもの。
そのためか、発売から3年後の1995年6月に生産を終え、同年12月には販売も終了。
現在では知る人ぞ知る、「伝説の車」として語り継がれています。
日産 ラングレー
ラングレーは、日産がトヨタに対抗すべく販売チャンネルを拡大し、設置された「日産プリンス」向けにつくられた大衆車です。
そのなかで、4灯丸目テールランプを採用したのは3代目。
初代があまり売れず、たった2年でフルモデルチェンジを果たすも、2代目も短命に終わり、1980年の初代販売から6年が経った1986年に登場したのが、この3代目です。
3代目ラングレーでは今までの3ドアハッチバックだけではなく、4ドアセダンもラインナップに加えられ、「スカイラインズ・ミニ」のキャッチコピーで売り出されました。
そして、そのキャッチコピー通り、フロントマスクやバンパーなど、当時販売されていた「スカイライン R31」と酷似したデザインを採用し、リアにはこれまたスカイラインと同じ4灯丸目テールランプを装備。
エンジンにはE15S型キャブレター(1.5リッター・73ps)、E15E型EGI(1.5リッター・82ps)、DOHC16バルブCA16DE型(1.6リッター・120ps)、CD17型ディーゼル(1.7リッター・55ps)が用意されました。
このうちCA16DEとEGI搭載モデルには、当時、日産内で限られた車だけに与えられていた「GT」グレードが採用され、よりスカイラインに酷似したデザインに。
またCMのイメージキャラクターには、当時まだ20代半ばだった元レーシングドライバー、鈴木亜久里が起用され、「亜久里がレーサーしない日」というキャッチフレーズを採用。
1987年にカーオブザイヤーを受賞したこともあり、日産の経営陣と開発陣は「今度こそ売れるはず!」と意気込んだそうです。
しかし3代目ラングレーを含め、当時販売された車種の多くはほとんど同じデザインで新鮮味がなく、GTグレードはスカイラインと比較されて売れずじまい。
大量の車種を用意していたトヨタに対抗すべく、同様に多数の車種を用意したは良いものの、その見た目の差異のなさが裏目に出た結果となりました。
結果、ラングレーは1990年に販売を終了。
姉妹車のパルサーがフルモデルチェンジして、その後も販売され続けたのとは対象的に、ラングレーは登場からたった10年でその歴史に幕を下ろしたのです。
ホンダ シビック タイプR FD2型
2007年3月29日にホンダが発売したのが、「シビック タイプR」の3代目です。
2006年に公式サイトが立ち上げられ、同年に、鈴鹿サーキットで開催されたF1日本GPでプロトタイプが展示されるなど、力の入ったプロモーション活動が行われた車でもありました。
その性能は非常に高く、給排気系の見直しや圧縮比の向上が図られ、最高出力は「インテグラ タイプR」を超える225ps/8,000rpm、最大トルク21.9kgf·m/6,100rpm。
車体の剛性はインテグラ タイプRから約50%向上し、サスペンションもタイヤが確実に地面を捉えられるよう特に固い設定に。
さらには、Brembo製ブレーキキャリパーやブレーキ冷却ダクトを備え、LSDにもトルク感応式のものを採用するなど、「速さ」を追求。
また、ボディがセダン型になったことで使い勝手も良くなり、世帯持ちドライバーにとっては「家族を乗せながらもシビックを楽しめる」という、隠れたメリットも生まれました。
この思い切ったモデルチェンジが功を奏したのか、それともプロモーションが効果的だったのか、発売直後には受注台数が約2,100台に及ぶという順調なスタートを切り、現在でも高い人気を誇る1台となっています。
まとめ
今回は、スカイラインやフェラーリ以外の4灯丸目テールランプの車を紹介しました。
しかし4灯丸目テールの車は、ほかにも「ホンダ S2000」、「ホンダ インテグラR」、「三菱 タウンボックス」など数多く存在しています。
そんな4灯の丸目テールランプは、今も昔も人の印象に残りやすいテールランプなのかも知れません。
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