Motorzでこれまで幾度となく取り上げてきた、ヨーロピアンスポーツタイヤのクムホエクスタPS71。欧州車のセダンやコンパクトカーでテストを行い、車両のオーナーを含めいずれも高い評価を獲得してきました。

そのコストパフォーマンスの高さゆえ、つい価格ばかりに目が行きがちですが、本場のスポーツカーでも本当に使えるのか!?今回は、プレミアムスポーツカーであるポルシェ・ケイマンを使い、エクスタ PS71が持つ真の実力を探ります。

Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA

性能だけじゃなく見た目も世界基準!?クムホ エクスタPS71

まずは、簡単なおさらいから。クムホタイヤはヒョンデやキアなどの自国ブランドや欧州のトップブランドを中心に、世界中の自動車メーカーに純正装着タイヤ(OEM)を供給するグローバルタイヤメーカーです。

日本では現地法人を1977年に設立し、日本の道路環境に合わせたタイヤを開発し販売。手頃な価格設定で販売されていることが多いものの、世界を基準にしたレベルの高い性能が評判を呼び、知名度と人気は年々上昇してきています。
そんなクムホタイヤのスポーツ系ブランドが、今回ご紹介するエクスタ(ECSTA)。そして、6つのラインナップがあるエクスタシリーズの中でも、PS71はストリートでの快適性と安全性、そして使いやすさを高次元で融合したヨーロピアンスポーツタイヤです。

お洒落は足元から!性能と見た目を両立したデザイン

ヨーロピアンを自称するだけあって、タイヤのデザイン“見た目”もかなりお洒落。タイヤでデザインなんて重要?と思う方もいるかと思いますが、お洒落は足元からというように、サイドウォールとトレッドパターンは、車の印象を大きく変える要素です。
エクスタPS71のサイドウォールにはチェッカーフラッグを模したデザインを施し、トレッドにもチェッカーフラッグを刻印することでスポーツモデルらしさと華やかさを演出。日本ではついつい見落とされがちなデザインにもしっかり手を抜かないあたりが、グローバルタイヤメーカーであるクムホタイヤならではのポイントです。
また、高剛性リブとワイドブロック設計が施された、オプティマムブロックデザイン。さらに、排水性を向上させるワイド4チャンネルグルーブを持ち、ウェット性能とドライ性能を両立した左右非対称のトレッドパターンが採用されています。

凸凹のある一般道でもしなやかな乗り心地

今回のコースは、市街地、高速道路、ワインディングという、一般ユーザーが普段から使用するシチュエーションでテストを行います。

一般道で感じた第一印象は、シルキーで滑らかな乗り味のしなやかさ。剛性感とグリップ感が重要なスポーツ系タイヤであるはずですが、何度乗っても感心させられます。

一般道には、マンホールや道路のつなぎ目、轍(わだち)など、意外と“凸凹”が多いものですが、これらの段差を乗り越える際も「ゴツッ」とした硬さはなく、「コクッ」という角の取れた感触です。

さらに、フロント235/40ZR19、リア275/40 ZR19という幅広&ロープロファイルであってもハンドルが取られるようなことがありません。

ポルシェらしさをスポイルしない静かさと抜群の安定感

最終ステージのワインディングを目指し、テストの舞台は高速道路へと変わります。
そのボディ剛性の高さから、ときに「金庫のようだ」と形容されるポルシェ。ボディやサスペンションの動きだけじゃなく、ドライバーに伝わる感覚は、タイヤの撓み(たわみ)が感じられるほどです。

そんなポルシェ ケイマンだからこそ、タイヤの特性はよりダイレクトに感じられるというものですが、高速道路での直進安定性はまさに“ポルシェのソレ”そのもの。やや機敏にレーンチェンジを行ったとしても、振り戻しのような不安を感じる挙動が一切ありません。

また、スポーツ系タイヤにありがちなロードノイズは、静かさを最優先にしたプレミアムコンフォートタイヤほどではないものの、ほとんど意識することがないほど静かです。

ワインディングのポルシェ・ケイマンはまさに水を得た魚!

そして、舞台はワインディングへと移ってきました。高低差があり、コーナーの連続するシチュエーションは、ミッドシップであるポルシェ ケイマンがもっとも楽しめるステージです。

法定速度内とは言え、ややハイペースなスピードでコーナーに侵入すると、路面をしっかりとつかむグリップ感を得ることができます。また、荷重が掛かる下りコーナーの進入時でも、タイヤが荷重に負けるようなことがありません。ケイマンの剛性感と相まって、接地感はもちろんのこと、路面の感触まで手に取るように分かります。

テスト車両であるケイマンは、なんと珍しいマニュアル仕様。最近はなかなか感じなくなった右手(車両は左ハンドル)の忙しさにワクワク感を覚えつつ、エクスタPS71のスポーツ性能を実感することができました。

エクスタPS71で愛車の良さを再認識

今回改めてポルシェ ケイマンでテストを行い、エクスタPS71の実力を再認識したところで、オーナーKさんの感想も聞いてみましょう。

「このケイマンは中古車で購入したのですが、これまではそれほど乗り心地とかに不満を持っていませんでした。一般道でゴツゴツするのも、スポーツカーのケイマンならではなのかな?とか(笑)」
「でも、今回エクスタ PS71に交換して、乗り心地がとても良くなって驚いています。高速道路やワインディングでもハンドリングはしっかりしているのに、乗り心地は数段アップしていて、これがケイマン本来のフィーリングなんだ!って思いました」

「ガソリンスタンドで働いていたので、十分理解していましたが、改めてタイヤ交換の大切さを実感しています。手の出しやすい価格で、これほどの性能があるならエクスタPS71はかなりおすすめですね。これなら助手席の妻もきっと喜んでくれますし、今回交換して本当によかったと思います!」

コスパだけじゃなく性能も最強だった!

まるでレールの上を走っているかのような直進安定性と、締め上げられた俊敏なハンドリング。エクスタPS71は、そんなポルシェ ケイマンの実力を100%引き出すことができています。

もちろん、エクスタPS71は、サーキットでコンマ1秒を争うようなタイヤではありません。しかし、その立ち位置こそが最大の強みであり、一般道では過剰すぎるグリップ感が無く、静かでしなやかな乗り味が運転の疲れを軽減してくれます。
そして、エクスタPS71最大の魅力が、比較的お手頃な価格で販売されていること。スリップサインぎりぎりまで使うのではなく、余裕を持ったスパンで交換することができ、安全と安心を常に担保することができます。

今回のテストでも明らかになったように、クムホ エクスタPS71の性能は十分折り紙付き。そろそろ交換時期かな?という方は、次の交換候補として検討しても損のないタイヤです。

 

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