サスペンションのスプリングから下は「バネ下」と呼ばれ、ここを軽量化することはハンドリング向上に効果的だとされています。しかしバネ下の軽量化には、メリットだけではなく、デメリットも存在するのです。
バネ下とはどこのこと?
サスペンションのスプリングとショックアブソーバーより下の部分を総称して、「バネ下」と呼びます。
車体とタイヤの間にはサスペンションがあり、ここにはコイル式または板バネ式のスプリングとショックアブソーバーが装備されていて、その下にアーム類やブレーキ、タイヤ、ホイールなどが装着されているのですが、バネ下と呼ばれる部分は、このアーム類~ホイールが装備された箇所。
そして、ここに装着されているパーツの総重量を「バネ下重量」と言い、ここを軽量化することで乗り心地や、運動性能が向上します。
人間で例えるならば、重い革靴を履いたときよりも、軽いスニーカーを履いた状態の方が速く快適に走れるイメージと言われれば、分かりやすいかもしれません。
よく「バネ下1kgの軽量化は、バネ上(車体)10kgの軽量化に相当する」とも言われますが、これはあくまでバネ下を軽くすることのメリットを表した言葉であり、実際の効果とは異なります。
しかし、バネ下軽量化のメリットを表すには最適な表現であり、事実、前述したようにバネ下を軽くすることは、人間が軽いスニーカーを履いて走るのと同様に、運動性能の向上に大きな効果があるのです!
バネ下を軽量化する方法
さて、車のバネ下を軽くするための方法ですが、主に以下の4つがあります。
- アルミニウムやマグネシウム製の軽量なホイールに変える
- 軽いタイヤを履かせる
- アルミニウム合金製のサスペンションに変える
- カーボンセラミック製のブレーキローターに交換する
バネ下を軽くする際に、1番簡単なのが、ホイールやタイヤの軽量化です。
純正ホイールはコスト上の関係からあまり軽量化が図られておらず、軽めのホイールとタイヤを履かせるだけでも効果があるので、車のフットワークを軽くすることが可能。
とは言っても、バネ上の重量は車種によって異なっており、タイヤやホイールを軽くすればそれだけで運動性能が良くなるというわけではなく、大切なのは「バランス」です。
車のサスペンションは、ある程度の荷重を想定して設計されているので、それを下回る重量の足まわりにしてしまうと、かえって性能が低下することも。
また、そのサスペンション自体も強度が必要な部品なので、軽めにすれば良いというわけではなく、交換時は全体のバランスを考えて行う必要があるのです。
また、カーボンセラミック製のブレーキローターは非常に高価な上に、低温状態ではブレーキの効きも悪いため、車の用途などをよく検討し、導入すべきでしょう。
バネ下軽量化のメリットとデメリット
では、ここまでを踏まえて、バネ下を軽量化するメリットとデメリットを見ていきましょう。
バネ下を軽量化するメリット
バネ下を軽量化するメリットは以下の通りです。
- 加速が良くなる
- 乗り心地が良くなる
- ブレーキが効きやすくなる
- サスペンション伸縮の収まりが良くなる
バネ下が軽くなると、サスペンションの伸縮の収まりが良くなり、乗り心地やコーナリング性能が向上します。
また、足まわりが軽いと加減速に必要なエネルギーが少なくて済むので、加速力やブレーキの効きも向上する事が期待できるのです。
バネ下を軽量化するデメリット
バネ下を軽量化するデメリットは以下の通りです。
- サスペンションが動きやすくなって、乗り心地が悪化する
- サスペンションのバネ下荷重を下回る重量だと、ハンドリングが悪化する
- ロードノイズが悪化する
軽量ホイールに交換すると、サスペンションが路面の凹凸に反応して敏感に動くようになり、かえって乗り心地が悪くなることがあります。
また、サスペンションは元々ある程度の荷重を想定した上で設計されており、それを下回る軽量化を図った場合はハンドリングが悪化する可能性も!!
そして軽量ホイールでは重いホイールよりも、路面からの衝撃や振動を吸収する力が弱く、路面の凹凸がタイヤへダイレクトに伝わるようになり、ロードノイズが増大。乗り心地の悪化にも繋がります。
まとめ
バネ下の軽量化はやれば良いというものではなく、バネ上の重量や全体的なバランスを考えたうえで行う必要があります。
しかしホイールやタイヤを慎重に選んで、上手に軽量化を果たせれば、乗り心地や運動性能の向上など、多くのメリットを引き出すことが可能です。
そのためバネ下軽量化をする時は、メリットを引き出せるよう、ホイールやタイヤ、サスペンションをよく選んでから交換するようにしてくださいね。
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