マフラーは排気音を抑え、エンジン出力を調節するための大切な保安部品です。そのため、どんなマフラーでも付いていれば車検に通るということではありません。破損等でやむを得ない場合や、吸気系チューニングでマフラーを交換したい場合、どのようなマフラーを選べば車検を通過できるのでしょうか。

こだわりの詰まったR34用マフラー / ©Motorz

マフラーとは?

©️ROSSO MODELLO

マフラーとは、排気口直前の大きな部品のことで、形状は箱型、太鼓型、筒型と様々です。

車検では「消音器(サイレンサー)」と呼ばれ、排気音の低減やエンジン出力の調節という役割を果たしています。

マフラーが排気音を小さくする仕組みは、マフラー内部に設置された吸音材と仕切板にあり、仕切り板には排気ガスの抜け道があって、そこを通る度に排気音は小さくなっていくのです。

それはまるで、部屋の外がうるさいからと「窓を閉める」(=外と部屋の間に仕切りを作る)ようなもので、この仕切板は保安基準により、マフラー本体に溶接などで直接取付けられており、外すことはできません。

さらに保安基準では、マフラー本体を容易に開閉できない仕組みとなっています。

そのため、マフラー本体が痛んでも修理は効かず、本体ごとの交換となります。

またマフラーの取付け方にも保安基準は及んでおり、素人がDIYで交換出来るものではありません。

マフラー交換は、車検指定工場で自動車整備士に行ってもらうのが確実です。

マフラーを交換してパワーアップ?

2020年型日産 GT-R NISMO マフラー

2020年型日産 GT-R NISMO/©︎日産自動車株式会社

マフラーは消音のために内部に仕切り板を設置していますが、仕切り板のないマフラーと比較すれば、仕切り板はスムーズな排気の妨げになっています。

排気ガスがスムーズに排出できなければ、エンジンは高回転まで回らず、高出力も発生できません。

言い換えれば、マフラー内の仕切り板を多くすれば、高回転まで回さずとも扱いやすいエンジン特性に調整出来るということです。

そのため一般的な量産車は、マフラー内の仕切り板を多めに設置して消音性を高め、エンジン出力を抑えています。

一方で、レーシングカーのマフラーは仕切り板を少なくし、排気ガスのスムーズな排出を実現。

エンジンの高出力化の一助になっていますが、排気音が大きくなっています。

このことから、エンジンのパワーアップを目的にマフラーを交換するなら、仕切り板の少ないタイプを選ぶべきです。

しかし排気音との兼ね合いがあるため、公道を走るなら、車検適合品の中からスポーツタイプを選ぶことになります。

車検対応マフラーの選び方

交換マフラー 長尺基準 JASMA

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車検対応マフラーの基準は、近接排気音と自動排気騒音(加速時の排気音)、マフラーの構造、マフラーの取付け方法、マフラーの車体への取付け範囲をクリアしなければなりません。

さらに2010年4月1日にマフラーの保安基準が改正され、2010年4月1日以降の生産車とそれ以前では、選択すべき交換用マフラーも異なります。

2010年3月31日までの生産車の場合

量販店やチューニングショップでは様々な交換用マフラーが展示されており、どれを選べば良いのかわからないことも。

そんなときは、「保安適合品」と表示してあるマフラーを選び、正しく装着すれば車検問題はまずありません。

公道を走行するなら、「競技用」と表示された交換マフラーを選択してはいけません。

マフラーに限らず「競技用」と表示のされた自動車交換パーツは、文字通り競技(=レース)用なので、公道走行を前提には設計されておらず、車検を受けることすらできないので、要注意です。

2010年4月1日以降の生産車の場合

2010年4月1日以降の生産車に交換用マフラーを装着し、車検に合格するには「保安基準適合品」かつ、「交換用マフラーの事前承認制度」に合格した「性能等確認済み表示」と表示されている交換用マフラーを選択しなければなりません。

そもそも2010年4月1日以降の生産車に、「性能等確認済み表示」と記された交換用マフラーを装着しないと、車検を受けることすらできないので、注意が必要です。

交換用マフラーの事前承認制度を行える国土交通省登録機関は、日本自動車スポーツマフラー協会(JASMA)、株式会社JQR、財団法人日本自動車研究所、一般社団法人JMCAなどがあります。

これらの機関で「性能等確認済み表示」を受けた交換用マフラーを正しく装着すれば、車検は問題ありません。

まとめ

マフラー交換の目的には修理やドライバビリティの向上、エンジンのパワーアップなどがあります。

いずれの目的にせよクルマを公道で運転するのであれば、車検に合格する交換用マフラーを選び、正しく安全に運転する事が大切です。

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