タイヤとホイールを交換して「ツライチ」にしたいのに、少しだけフェンダーから出ていないとき、微調整パーツとして使われるのが「ホイールスペーサー」です。ハブとホイールの間に挟み込むだけでよいという手軽さが人気で、厚さ5mmが売れ筋!なぜ5mmが、定番となっているのでしょうか。

いくつかの機構を組み合わせて自作した油圧式のハブボルトの圧入装置。 /©︎Motorz

そもそもホイールスペーサーとは?

出典:http://abeshokai.jp/wheel_tire/tpi/

「ホイールスペーサー」は、タイヤとハブの間に挟み込むことで、タイヤをフェンダーの外側に突き出す事ができるパーツのこと。

タイヤを張り出す人気のドレスアップ、「ツライチ」にしたい場合は、フェンダーからタイヤをはみ出す必要があり、そのために分厚いタイヤやホイールを装着します。

しかし厚めのタイヤやホイールをつけてもフェンダーからはみ出さず、あと数mmでツライチになるといった場合は、微調整が必要です。

そんなとき、タイヤの張り出し具合の微調整に使用されるものが、『ホイールスペーサー』です。

ホイールスペーサーには純正ハブボルトを使用する薄手のものと、ボルト付きの厚手のものとがあり、後者はワイドトレッドスペーサーと呼ばれています。

ワイドトレッドスペーサーを使えば、よりタイヤをフェンダーの外へはみ出すことができますが、本来ハブに掛かる力がスペーサーに集中することになるので、金属疲労を起こしやすくなることも。

対して、薄手のスペーサーは固定用のボルトの長さが短くなるので、固定強度が低くなる傾向にあり、安全性に不安が残ります。

というように、どちらも一長一短であり、どちらかが優れているというわけではありません。

そんなホイールスペーサーの市販品を探してみると、なぜか厚さ5mmのものばかりが売られています。

これは、どうしてなのでしょうか。

厚さ5mmが定番の理由

出典:http://redline-crafts.com/direct/products/detail.php?product_id=136

ホイールスペーサーには、だいたい厚さ1mm〜10mmまでのバリエーションがあります。

その中でも特に多いのが、厚さ5mmの商品。

なぜこの厚さのホイールスペーサーが多く使用されているのかというと、一番の理由は「付ける前と付けた後で見た目に変化があり、ハブボルト交換が必要ないから」だと思われます。

8mm〜10mmの厚手のものは、ワイドトレッドスペーサーと同様、ホイールを固定するためにはもともとのハブボルトだけでは長さが足りず、ホイールをつけたときにボルトが突出しません。

また、ワイドトレッドスペーサーは本来、ハブに掛かるべき負荷がスペーサーに掛かるので金属疲労を起こしやすく、寸法精度や取り付け方にはホイールスペーサーよりも注意が必要です。

そこで、わざわざボルトを交換したり、スペーサー自体に負荷を掛けたくないという思いからか、見た目の変化が実感できる厚さ5mmのホイールスペーサーを採用するケースが増えたと考えられるのです。

ホイールスペーサーを取り付ける際の注意点

出典: https://www.rsrs.jp/zc32s/suspension/widetreadspacer.html

前述したように、一般的には厚さ5mmまでであれば、純正のハブボルトでホイールスペーサーを装着することができます。

しかし、見た目が良くなり、ツライチにすることでコーナリング性能が向上するとは言っても、ボルトにナットが噛む面積が減れば、強度は落ちてしまうことに。

これを解決するには、厚さ5mmのホイールスペーサーを装着する場合でも、長めのハブボルトを使うといった方法があります。

また走行中にスペーサーが割れてしまうこともあり、そうなった場合はタイヤが外れてしまうので非常に危険です。

そして先に述べたようにワイドトレッドスペーサーを使用した場合は、ハブではなくスペーサー自体に負荷が掛かるので、走行中に破損してしまうと事故につながるおそれが。

また汎用品のスペーサーを使うと非常に危険であり、特に長穴加工がされているものは走行時だけでなく、取り付けた際にもズレてしまうという本当の問題児。

外見だけを整えた粗悪品も流通しているので、ホイールスペーサーを使用するのであれば、そういったものを掴まないよう慎重に選んでください。

ホイールスペーサーを付けて車検に通るの?

出典:写真AC

結論から言うと、車検に通る場合もあれば通らない場合もあります。

タイヤがフェンダーから過度に突出していた場合は、もちろん通りませんが、それ以外にもディーラーや民間工場など、「持ち込んだ場所」によって車検を断られるケースも。

また市販品の中には、モータースポーツの世界でも使われているような、強度証明書付きのかなり頑丈な商品もあります。

車検に通る通らないにかかわらず、きちんと強度を確保する事が大切です。

まとめ

同社の看板製品「ワイドトレッドスペーサー」 /©︎Motorz

ホイールスペーサーは、安価かつ手軽に愛車をツライチにできるパーツです。

しかしこれまで見てきたように、強度や安全性には不安が残る面があり、最初から「適切なインセットのホイールを購入する」ほうが、安全面では最善だと言えるでしょう。

ホイールスペーサーを装着するのであれば、専門業者に相談しながら行うのがオススメです。

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