硬派なスポーツカーが少なく、どちらかというとエンタメ的な要素が強かった2019年の東京モーターショー。昔ながらのクルマ好きにとっては少々寂しい気もしますが、そんな中でも注目を集めていたのがプロトタイプとして発表された「WRX STI EJ20 ファイナルエディション」でしょう。これまでいくつかの限定車が販売される度に即完売してきたWRX STI。しかし今回の特別仕様車は堂々と「ファイナルエディション」と銘打っているだけあり、これまでの限定車とはひと味違うようです。
2019年度内に生産を終えるWRX STI
「WRX STI EJ20 Final Edition」、即ちWRX STIというクルマ自体が生産終了となる事を意味します。
EJ20とは、初代からインプレッサから現在のWRX STIまで搭載され続けてきたスバルが誇る名機であるエンジンの型式名を指します。
このエンジン自体が環境性能面での限界を迎え、2019年内で生産終了となることが決定、これに伴い、WRX STIも生産終了となるのです。
スバルを支えてきた名機・EJ20
EJ型エンジンが初めて搭載されたのは初代レガシィが発売された1989年の事でした。
220馬力という数字は、当時の2リッターエンジンとしては世界トップクラスのものでした。
社運をかけて取り組んだ有名な「10万キロ世界記録」ではその高い耐久性をアピールし、レガシィのヒットにも貢献しました。
1992年には240馬力へとパワーアップし、初代インプレッサWRXへ搭載されます。
その後もラリーシーンでの宿敵、ランサーエボリューションとの開発競争によってパワーアップを重ねていき、1996年の「STiバージョンIII」では当時の自主規制値である280馬力に到達します。
その後も改良を重ね続け、健在に至るまで約30年間もの間スバルのスポーツモデル用エンジンとして活躍し続けました。
ファイナルの名にふさわしい特別仕様
ベースとなる車両はWRX STI Type Sで、これに回転系パーツ重量交差や回転バランス交差を低減したバランスドエンジン、即ちEJ20型の最終仕様ともいえるエンジンを搭載しています。
エクステリアデザインでまず目に入ってくるのは、往年のWRCにおける活躍を彷彿とさせるブルーのボディカラーとゴールドカラーのホイール(BBS製の19インチ鍛造アルミホイール)とのコンビネーションカラーです。
フロントグリルやリアバンパーには差し色としてSTIのコーポレートカラーであるチェリーレッドがが採用されており、外観だけでファイナルエディションであると判断が可能です。
スバリスト乗涎の専用パーツの数々
今回の「ファイナルエディション」は、ノーマルと「フルパッケージ」の2種類からグレードをチョイスすることが可能です。
フルパッケージの特別装備としては、RECARO製のフロントシート(ウルトラスエード/本革、シルバーステッチ+シルバーアクセント+STIロゴ入り)(運転席8ウェイ&助手席8ウェイパワーシート付)&リヤシート(シルバーステッチ+シルバーアクセント)に加え、アドバンスドセイフティパッケージがセットされます。
アドバンスドセイフティパッケージの内容としては、「スバル リヤビークルディテクション」と呼ばれる後側方警戒支援システムやハイビームアシスト(自動防眩ルームミラー付)、フロント&サイドビューモニター等が挙げられ、安全装備の充実は近年のスバルならではといった所でしょう。
その他、ウルトラスエード巻ステアリングホイールや、STI製プッシュエンジンスイッチ、”EJ20 Final Edition”と刻印が施されたエンジンルーム内のオーナメント
既に予約殺到中の超人気モデルに
限定555台生産のファイナルエディションですが、既に予約受付は4800件を超えているとのことで、倍率は実に10倍近くなる程の人気ぶりです。
価格はノーマルが4,521,000円で、フルパッケージが4,851,000円となりますが、これまでの限定車同様、中古車市場での値上がりは確実と言えるでしょう。
まとめ
公式サイトでも明確に生産終了と表記していることもあり、一旦はその歴史に幕を降ろすことになるEJ20エンジンとWRX STI。
ライバルであるランサーエボリューションも生産終了から久しいですが、このままWRX STI自体がなくなってしまうというのもイメージしづらい所。
果たして次世代のWRX STIはどのような形になるのでしょうか?
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