昨年、室谷義秀選手の優勝で大盛り上がりを見せたレッドブルエアレース!時速400km/hで空を舞うこのレースですが、実際その性能はどれだけスゴいのでしょうか?今回は、同じプロペラ機である第二次世界大戦中の戦闘機と比較します!
掲載日:2018/08/30
70年分のテクノロジーの差、どちらが優れているのでしょうか!?
CONTENTS
レッドブルエアレースとは
まず前提としてレッドブルエアレースについて、簡単にご紹介します。
エアレースは、会場となる広い空間に、巨大なパイロンを建ててコースを製作。
そのコースを、どれだけ早く飛び抜けるかを競います。
モータースポーツファンに馴染みのある言い方をすると「飛行機版ジムカーナ」です。
ただ速いだけでは勝利できず、パイロンを抜ける際や、旋回時の最大Gなどがレギュレーションで決められており、パイロットには高い操縦能力が必要とされるのも特徴。
詳細については、過去のMotorzでも特集しているので、気になった方は以下の記事を読んでみてください。
では、次の項目で出場マシンをご紹介します。
エアレースマシンのスペックについて
レギュレーションによって、全てのマシンに同じエンジンが搭載されていますが、全てご紹介します!
この微妙な性能差は、空力性能なのか?重量なのか?それとも、メカニックの腕なのか!?
Edge 540
エアレースの中でも、最もポピュラーなのがこの一台。エッジ540!
レースに参戦している14名中9人がこのマシンを使用しているほどで、2016年の日本大会で優勝した室谷選手もこのマシン。
各部のバージョンアップごとに”エッジ540 V2″ “エッジ540 V3” “エッジ540 V3.5″といった形で名前が変わり、今はV3が主流とのことです。
エッジ540のマシンスペック
エンジン形式:水平対向6気筒(空冷)
排気量:8,850cc
最大出力:340馬力
マシン重量:531kg
最高速:426km/h
MXS-R
翼端のデザインが特徴的なMXS-R!
エアレースの中では、少数派なこのマシンですが、そのデザインと2014年王者という実績。
そしてボディが宇宙用カーボンで組まれているなど、魅力が多く、熱狂的なファンも多い一機です!
MXS-Rのマシンスペック
エンジン形式:水平対向6気筒(空冷)
排気量:8,850cc
最大出力:250~380馬力
マシン重量:571kg
最高速:426km/h
CORVUS RACER 540
最高速はピカイチ!
レッドブルエアレースの”ゴッドファーザー”ピーター・ベゼネイ専用機として開発されたこのマシン。
流れるようなデザインが目を引く、エアレース名物な一台です!
CORVUS RACER 540のマシンスペック
エンジン形式:水平対向6気筒(空冷)
排気量:8,850cc
最大出力:325馬力
マシン重量:685kg※グロス値
最高速:444km/h
約70年前の戦闘機のスペックについて
第ニ次大戦中に使用された戦闘機の中から、エアレースと同じように3機選ばせていただきました。
今回比較するマシンはこちら。
日本代表!零式艦上戦闘機こと、零戦!(五二型)
日本人なら誰でも知ってる!ゼロ戦!
金星エンジンの五四型のスペックが非常に高いですが、今回は、よりポピュラーな五二型と比較させていただきます。
ゼロ戦のマシンスペック
エンジン形式:空冷複列星型14気筒(遠心式スーパーチャージャー付き)
排気量:27,860cc
最大出力:1,130馬力
マシン重量:1,856kg
最高速:565km/h
米国代表!P-51 ムスタング!
アメリカ空軍からは、ムスタング!
当時としては非常に洗練されたデザインで、何を語るにも「ムスタングと比べると~」と引き合いに出されるほどの人気機体です!
P-51 ムスタングのマシンスペック
エンジン形式:60度V型12気筒エンジン(スーパーチャージャー付き)
排気量:27,040cc
最大出力:1,490馬力
マシン重量:3,460kg
最高速:703km/h
英国代表!スーパーマリン スピットファイア!
イギリス空軍を代表する戦闘機スピットファイア。
特徴的なのは主翼で、楕円形をしていることと、非常に薄かったこと。
これは、空気抵抗の軽減を狙ったものですが、その中に機銃や弾薬、着陸用の脚を収納しなければならなかったため、かなりギリギリの設計がされていたとのことです。
スピットファイアのマシンスペック
エンジン形式:V型12気筒エンジン(過給機付き)
排気量:27,024cc
最大出力:1,470馬力
マシン重量:2,309kg
最高速:605km/h
スペック比較
それでは、各マシンのスペックを表に並べて見てみましょう。
ざっくりいえることは、大戦中の機体は排気量がおよそ3倍、重量は3倍以上と、比較が難しい・・・。
「せーの」で真っすぐ飛ぶ場合や、高高度で争うには、最高速や出力が大幅に違うので第二次大戦マシンのほうが早いと思われます。
しかし、重量が全く違うため、旋回性能や、低速、低空域の運動性能は、エアレースマシンが大きくリードするのではないでしょうか。
そういった観点で考えると、競技としてはエアレースマシンが圧倒的有利。単純な性能競争では戦闘機の勝利。という、なんともそのままな結論に至ってしまいますね…。
戦闘機のエアレースもある!これならエアレースマシンに負けない!
アメリカには「リノ・エアレース」という、第二次大戦中の戦闘機が活躍するエアレースが存在します。
このレースでは、改造無制限クラスがあり、P-51ムスタングや、F8Fベアキャットなどの戦闘機をチューニングして出場している猛者たちが多数。
エンジンパワーは4000馬力を超え、最高速は800km/hを突破するという、1940年代では考えられないほどの性能をたたき出しているそうです。
このマシンだったら、レッドブルエアレースのマシンたちも、太刀打ちできないかもしれません。
まとめ
スペックを出して考察してきましたが、自分の得意な分野で強いという、なんともそのままな結論が出てしまいました。
ですが、逆に言うと70年前に作成されたマシンでも戦えるかもしれないとわかっただけでも、大きな収穫かもしれません。
そして、リノ・エアレース。
長い時間を経て、人々を恐怖に追いやる戦闘機ではなく、興奮と喜びを与える航空機へと変化しているのは、ある意味平和の象徴なのかもしれませんね!
日本でも、そんなマシンのデモフライトが見れることを、期待してしまいます!
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