近年、日本でも注目され始めたオールシーズンの魅力は、何と言っても年に2回訪れるタイヤ交換の手間とタイヤを保管する煩わしさから解放してくれること。マイカーとしてハイエースに乗る筆者も、見た目以上に重いバンタイヤの交換に、毎回苦労していた一人です。そんな中、ネクセンタイヤより待望のバン用オールシーズンタイヤ「N blue 4Season Van(以下:Nブルー 4シーズン バン)」がリリースされたと聞き、高速道路から雪道まで、様々な環境下でテストしてみることにしました。

Photo:Kiyoshi WADA Text:Shingo MASUDA

 

目的を持って使われるハイエースだからこそオールシーズンタイヤが欲しい!

理由は後述するとして、ハイエースのような車こそ、オールシーズンタイヤの使用が理想と感じているオーナーも少なくないのではないでしょうか?

もう20年近くハイエースを乗り継いできた筆者もその一人で、バン用オールシーズンタイヤの登場は、うれしい限りです。

とは言え、まだまだ日本ではメジャーとは言い切れないネクセンタイヤ、名前だけのオールシーズンでは困ります。

なぜならハイエースは、理由と目的を持って使われる車だからです。

ちなみに今回N blue 4Season Vanを履くのは、平成18年1月登録、総走行距離21万km(撮影時)の200系1型ハイエース。

我ながら良く走ってきたと思いますが、ハイエースらしく、これからも末永く乗り続けるつもりです。(笑)

スタッドレスよりも夏タイヤの特性に近い印象

今回のテストでは、市街地から首都高を抜け、関越道を北上。雪深い、上信越方面へと向かいます。

まずは地元のタイヤショップで、バン用スタッドレスタイヤからNブルー 4シーズン バンに交換。

その第一印象は、「夏用タイヤに戻った」という感覚でした。

ハイエースオーナーなら分かると思いますが、背が高く車重の重いハイエースの場合、スタッドレスタイヤにすると、乗り心地が柔らかくなる反面、踏ん張り感がなくなり、不安定になりがちです。

いくらドライから雪道まで走れるオールシーズンとは言え、年に1度雪が積もるか積もらないか分からない首都圏のユーザーにとって、ドライでのグリップ力や安定性が低ければ困ります。

しかし、Nブルー 4シーズン バンには、その不安定な柔らかさを感じないばかりか、むしろ純正夏用タイヤより、腰のある剛性感が感じられました。

下支えしてくれている安心感

また、首都高のように連続したコーナーが続き、大きくロールする場面でも、腰砕けになることはありません。

関越道に入ってから100km/h付近でもフラフラせず、レーンチェンジの際もタイヤがしっかり下支えしてくれている、安心感がありました。

速度記号「N (140km/h)」に対応

Nブルー 4シーズン バンの大きな特徴の一つに、速度記号「N (140km/h)」の表示を実現していることが挙げられます。

「日本の高速道路は100km/hがほとんどで、限られた場所(新東名や東北道の一部)でも120km/hまでだから関係ないでしょ?」と思われるかもしれませんが、バンにとって速度記号は大切なポイント。

速度記号「L(120km/h)」のタイヤでも、制限速度120km/h区間を走ることはできますが、プラス20km/hの余裕がさらなる安心感い繋がります。

「N (140km/h)」の能力があるということは、タイヤの剛性が高いということを意味します。その結果、高速走行ではタイヤのしっかり感があり、レーンチェンジもフラフラすることがありません。

ノイズはスタッドレスタイヤよりも静か

そしてスタッドレスタイヤの場合は、どうしても「クオーン」というやや音域の高いパターンノイズが聞こえてくるものですが、Nブルー 4シーズン バンは「ゴー」というやや低い音。

荒れた路面ではロードノイズに隠れてしまうほどで、さらにオーディオをかけていれば、ほぼ気にならないレベルです。

そもそも筆者のハイエースはディーゼルエンジンなので、走行音を気にすること自体、ナンセンスかもしれません(笑)。

想像以上に雪道がイケる!

テスト当日は、幸か不幸か高速道路に冬タイヤ規制が出るような状況で、いくら浅雪路を走れるオールシーズンタイヤでも、2WDのハイエースで乗り込むには、少々勇気のいる状況です。

2WDのハイエースは、雪道がとにかく苦手。「万が一の時はよろしく!」と取材クルーに伝え、前日に降った雪が積もる山間部へと向かいます。

夏タイヤなら走れない状態でも走れる

積もっているとは言っても目測で大体数センチで、道には所々雪が残っている状態。

まさに“急な雪”を想定した、オールシーズンタイヤにバッチリな状況です。

雪道を走っているということを念頭に置き、緩やかにアクセルを踏み込むと、しっかりと雪を噛み込む感触とともに、難なく発進することができました。

Nブルー 4シーズン バンは、欧州で冬用タイヤであることが認められた3PMSF(スリーピーク・マウンテン・スノーフレーク)マークを取得。

圧雪されていた上に、やや上り勾配だったため、夏用タイヤなら、間違いなく滑ってしまう状況ですが、拍子抜けするほど普通に走れます。

ブレーキや横方向のグリップも問題なし

続いて公道ではない広い場所に移動し、急加速や3~40km/hからのフルブレーキング、急旋回を試すことに。

さすがにスタッドレスのようなグリップはありませんが、夏用タイヤよりもグリップレベルが高く、例え滑っても、車は前に進んでいきました。

また、急激なハンドル操作をしなければ、しっかりと舵が効き、ブレーキもキチンと減速Gを感じることができるレベル。

今回は検証のために、わざと意地悪な操作をしましたが、急の付く運転をしなければ、雪道も走れることが確認できました。

次に雪が解け、シャーベット状になった場面や、水が溜まったウエット路面をテスト。

排水性を考慮したというトレッドパターンのおかげで、ハイドロプレーニングを起こすようなこともなく、安心感のあるグリップ力を発揮します。

スタッドレスタイヤはウエットが苦手という印象がありますが、Nブルー 4シーズン バンのウエット性能は、夏用タイヤと遜色ない印象です。

結論:ハイエースユーザーなら「Nブルー 4シーズン バン」を検討すべし!

今回、ドライの市街地から高速道路、そして雪道(ウエット)と、普段使いで想定されるほぼすべてのシチュエーションを試すことができました。

結論を言えば、Nブルー 4シーズン バンは、積極的に選んで問題ないタイヤです。

筆者は千葉県在住ですが、これまで冬になればバン用のスタッドレスタイヤを使用してきました。

年に1回積もるかどうかか分からない地域でも、毎年必ずスタッドレスタイヤに交換しなければいけないのがハイエース。

なぜなら、ハイエースに乗っている多くの方が、ハイエースじゃなきゃダメな境遇にあるからです。

毎日の仕事ではないにしろ、筆者もハイエースじゃなきゃダメな境遇にある一人。

年間走行距離が5,000km以下であっても、健気(?)に年2回タイヤ交換を続けてきました。

しかし、ハイエースの純正サイズ「195/80R15 107/105」は見た目以上に重く大きいため、交換作業はもちろん、タイヤを保管するのも一苦労。

その苦労から解放されるだけでも、Nブルー 4シーズン バンに交換する価値は十分あると思います。

 

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