2017年に登場したアイスガード6(iG60)は、ヨコハマタイヤ自身が“最高傑作”と謳うとおり、業界内でもかなり評価の高いスタッドレスタイヤです。あれから4年、これ以上の進化は無いのでは!?とも言われる中、2021年、ヨコハマタイヤは新作となるアイスガード7(iG70)を発表。
果たして本当に進化しているのか、もし本当に進化しているとしたら体感できる違いなのか?今回は極寒の地北海道で、従来モデルとなるアイスガード6との違い、そしてアイスガード7の実力を試します。

氷だけじゃなく雪にも効く安心感

我々が訪れたのは、北海道旭川市にあるヨコハマタイヤの「北海道タイヤテストセンター」。ここでは電子制御をすべてOFFにしてスラーロームを行い、雪上での旋回性能をチェックします。取材当日は雪が降り続き、路面はフカフカという、本来スタッドレスタイヤにとっては不利な条件です。

まずは、アイスガード6から試しますが、従来モデルとは言え必要にして十分なグリップ力を発揮。摩擦係数の低い雪道であっても無難に発進でき、無理に飛ばさずきちんと減速して荷重を前輪に乗せればしっかりと舵も効きます。

走り出しから明らかな進化を実感

続いて試すのは、もちろん新製品のアイスガード7。使用車両は同じくトヨタ ヤリスです。

メーカーの発表によると、雪上発進性能は3%向上とのことですが、明らかに走り出しのホイールスピンが減っています。

また、雪上旋回性能は従来モデルのアイスガード6と同等以上というなんとも控え目な表現をされていますが、舵角が減り、よりクイックにフロントの向きが変わります。もちろん、多少の滑りは感じるものの、ハンドルを切っている方向で新たなグリップを見つけてくれるような感覚があり、安心感が増しています。

車種を問わない確かな雪上性能

アイスガード7のサイズ展開は、約90種類(2021年10月時点)豊富です。今回は重量級のトヨタ アルファード(4WD)や、ハイパワーFRのトヨタ スープラでも試しましたが、安心感はそのまま。

当然FRのスープラの場合、ラフにアクセルを踏み込むとオーバーステアになりますが、フロントがしっかりとグリップしてくれているため、ステアリングで車をコントロールすることができます。車種を問わず、懐の深い安心感は流石です。

また、スバル レヴォーグ(4WD)プジョー508(FF)、(シトロエン C3(FF)など、さまざまな車種やサイズも体験。駆動方式や車種が違っても、タイヤ自身が新たなグリップを探しに行くような安心感は変わりません。

着実に進化している氷上性能

氷が滑る原因とされる路面上の水を吸収することで、路面との密着度を上げる「吸水ゴム」で有名なヨコハマタイヤ。アイスガード7では、さらに進化したウルトラ吸水ゴムを採用し、氷上の発進性能は15%、制動性能は14%向上しています。

まるでスケートリンクのような屋内氷盤試験場では、トヨタ プリウスを使い、アイスガード6とアイスガード7の比較を行いました。

時速30kmで進入し、規定ポイントでフルブレーキング。アイスガード6が約18mだったのに対し、アイスガード7は約13mと、メーカー発表通りの結果です。5mと言えば、一般的な乗用車約1台分短く止まることができることになり、これは大きな安心感につながります。

氷上でのグリップ力を実現しているのが、新採用の「ホワイトポリマーII」。コンパウンドの柔らかさを保つシリカの分布を均一にすることで、路面温度の低下によるコンパウンド硬化を防ぎ、路面への密着効果を高めています。
また、これまでもヨコハマゴムのスタッドレスタイヤには、経年劣化によるゴムの硬化を防ぐ「オレンジオイルS」を使用してきました。もちろんアイスガード7にも配合されており、長期間ゴムの柔らかさを維持してくれます。

さまざまな車種に乗りアイスガード7の実力を公道で実感

インプレッションの最後は、クローズドコースではなく、実際の公道で行います。使用するのは、トヨタ カローラスポーツ。

また、テストコースと違い、公道は刻々と路面状況が変化するため、これまで体験してきた雪上や氷上での性能だけじゃなく、ウエット、ドライの性能もチェックします。

雪上や氷上において、スタッドレスタイヤの安心感は欠かせませんが、あえて注意点を上げるとしたらウエットやドライ。スタッドレスタイヤは路面温度の低い状況でもグリップ力を保つため、コンパウンドは柔らかく作られています。その結果、タイヤの剛性感を得ることが難しく、夏タイヤに比べやや不安定さが顔を出すものです。

しかし、アイスガード7には、サイプの倒れ込みを抑制する「クワトロピラミッド グロウン ディンプルサイプ」を採用し剛性感を維持。さらに、この「クワトロピラミッド グロウン ディンプルサイプ」は、50%摩耗時にサイプが太くなるため、溝が減ってもエッジ効果をキープし氷上性能の維持にも貢献しています。

その進化に驚かされる今季おすすめのスタッドレス

従来モデルであるアイスガード6は、かなり評判の良いスタッドレスタイヤです。そのため、新モデルのアイスガード7がどれほど進化しているのか、試してみるまで期待と不安の入り混じった心境でした。

ところが、結果を言えば「まだまだ進化できるポイントがあったのか!」と驚くほど、アイスガード7の進化をハッキリと実感。今季新たにスタッドレスタイヤの交換を考えているなら、間違いなくおすすめしたいスタッドレスタイヤです。

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