カローラFXは、かつてトヨタ自動車が生産していたカローラ派生となる3ドア/5ドアのFFハッチバックです。スポーツグレードは名機4A-GEが搭載され、全日本ツーリングカー選手権でも、グループAカーとしてカローラレビン、スプリンタートレノといったマシンと共に参戦し、激闘を繰り広げました。そんなカローラFXを、詳しくご紹介します。
トランク部分を思い切りよく切り離した初代カローラFX(AE82)
カローラFXは、1983年5月に登場した5代目カローラをベースに、セダンのトランク部分をバッサリと無くした2ボックスの、FFホットハッチとして登場しました。
その中でも、最上級のスポーツグレードである1600GTと呼ばれるグレードには、1.6Lツインカム16バルブスポーツエンジンの、4A-GELU(Lは横置きエンジンの意味なので本体はAE86と同じ4A-GEUと同じもの)が搭載されています。
ボディは先ほど述べた通り、FFのカローラ(セダン)のものを流用されていますが、最新の4輪独立懸架を搭載し、さらに専用のセッティングを施されたカローラFXは、コーナリングが軽やかな、コーナリングマシンという異名を持っていました。
こうしてトヨタはこのカローラFXで、当時盛り上がっていたスポーツハッチバック業界に参戦することとなります。
ちなみにこれにより、当時のトヨタは4A-GE搭載車種として、FRのカローラレビン&スプリンタートレノ(AE86)、MRのMR2(AW11)、そしてFFのカローラFX(AE82)という3つの駆動方式を選ぶことができる体制となります。
登場後は全日本ツーリングカー選手権(JTC)のグループAカーとしても活躍し、様々なレースでライバルであるシビックや、レビントレノをも脅かす存在となりました。
1986年 #JTC
全日本ツーリングカー選手権#TOYOTA TEAM TOM'S
ミノルタα-7000 #トムス FX#関谷正徳 #鈴木利男雨中の激戦を制して総合優勝した
Hi-Land TOURING CAR 300km
が印象的でした#TomsRacing #カローラFX#車好きと繋がりたい pic.twitter.com/e18y8MsrAa— TOM'S Racing│Official (@tomsracing) August 31, 2019
上質さとスポーツを両立した2代目カローラFX(AE92)
1987年5月にカローラが6代目にモデルチェンジしたのを受けて、カローラFXも6代目をベースに、モデルチェンジしています。
この際に、カローラレビンがカローラFXと同じFFの駆動方式に変更となったため、全日本ツーリングカー選手権への参戦はレビンへ統一化され、選手権への参戦はなくなりました。
内装などの上質さをアピールしながら、それでも1600GTグレードには引き続きスポーツエンジンの4A-GEが搭載され、変わらずスポーツドライビングが楽しめる1台となっています。
3代目カローラFX(AE101)
1992年5月に7代目カローラをベースに、3代目カローラFXが誕生します。
3代目からは、1.6Lの4A-GEのみのグレード設定となりましたが、この時代になるとハッチバックの人気が低迷。
カローラ派生も多数となって、存在が薄くなっていきます。
そして1995年にカローラが110系にモデルチェンジした際に、ついにモデルとして消失。
その後しばらくハッチバックは設定されませんでしたが、2001年にカローラランクス(ZZE123)が登場しています。
主要スペック
カローラFX 1600・FX-GT (AE82型 1984年式)
全長×全幅×全高(mm):3970×1635×1385
ホイールベース(mm):2430
車両重量(kg):930
エンジン仕様・型式:4A-GELU型 水冷直列4気筒DOHC
総排気量(cc):1587cc
最高出力:130ps/6600rpm(ネット)
トランスミッション:5速MT/4速AT
駆動方式:FF
引用元:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60003729/index.html
まとめ
時代の流れに乗り、スポーツハッチバックとして登場したカローラFXは、軽量なコーナリングマシンとしてレースシーンでも大いに盛り上がりを見せました。
2代目以降、兄弟車の多さや時代の流れ故に影が薄くなっていった部分はありますが、スポーツハッチバックとしての楽しさは、最終の3代目まで変わらず持っていた車です。
現在ではカローラFXとしての名前は消えてしまいましたが、最新のカローラ後継の、カローラスポーツが今もスポーツハッチバックとして活躍しています。
「カローラ」の「スポーツ」に込められた想いには、このカローラFXの活躍もきっと含まれていることでしょう。
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