ノーマル状態でも、SUVらしい無骨さとレトロなデザインが人気のジープ ラングラー。昨今のアウトドアブームによって、街乗りメインで使用している人も多く見かけるようになりました。Motorzを運営するミドルフィールドの社長 中山も、これまで1度も悪路を走ったことが無いという街乗りユーザーの一人。今回は、そんなオフロード初心者のオーナーでも、初挑戦となるオフロードを走破できるのか!?実際に林道に出向き、クムホから今年リリースされた本格オフローダー向けタイヤ「ロードベンチャーMT71」の走破性能を試してみました

Photo:Kiyoshi WADA Text:Shingo MASUDA

タイヤとホイールを交換するだけで本気仕様に激変!?

 

左:ロードベンチャーMT71/右:純正H/Tタイヤ

まずはいつもお世話になっているシノハラタイヤで、純正H/T(ハイウェイテレーン)タイヤから、大きなブロックパターンがカッコいいM/T(マッドレテーン)タイヤ、クムホ の「ロードベンチャー MT71」、そしてホイールは「XTREME-JXJ06」に交換。これからホイールに組付けられるタイヤを見て、そのワイルドな見た目にオーナーのみならず取材クルーのテンションも上がります。

純正のタイヤとホイール

ロードベンチャー MT71とXTREME-JXJ06に交換した様子

サイズは純正の255/70R18から265/70R17で、幅広になる代わりにホイールサイズは1インチダウンとなりますが、外径サイズはほとんど同じです。

しかし、いざ交換を終えるとタイヤとホイールの存在感が想像以上にアップし、ほかにはどこもカスタムしていないにも関わらず、一気に小きれいなシティユース仕様から、多少の汚れも魅力となる本気仕様に見えるようになるから不思議!

ただタイヤとホイールを交換しただけなのにも関わらず、その変わりようにこれまでさまざまなカスタムカーを見てきた筆者も驚きました。また、愛車のカスタムは初めてだというオーナーの中山も、想像以上の迫力に思わず「カッコいい…。」と漏らします。

ホイールを小さくすることで力強い足元を演出

今回のカスタム最大のポイントは、ホイール径を18インチから17インチに落としたこと。

先述したように、タイヤ幅を広げたうえでインチダウンすることで、必然的にタイヤの厚み(ハイト)が増し、よりボリューミーな見た目に一変します。
加えてゴツゴツとしたブロックパターンと、力強いサイドウォールデザインを持つ ロードベンチャー MT71のおかげで、足回りのたくましさがアップし、オーナーの中山もその変わりように大満足の様子。

一緒に交換した背面タイヤは、“Jeep”のロゴが入ったタイヤカバーを撤去。あえてタイヤとホイールを見せることで、やや大人しい純正タイヤ+純正ホイールには出せないでワイルド感のある後ろ姿に激変しています。
タイヤとホイールを変えるだけで、ここまで“ヤッテル感”が出るのであれば、かなりコスパに優れたカスタムと言えるのではないでしょうか。

市街地と首都高を通りいざ初挑戦の林道へ

見た目の変化に満足したところで、オーナーと適宜ドライバーを交代しつつ、ロードベンチャー MT71の実力を試すために、関東某所にある林道へ向かいます。
見た目が良くなったとは言え、これだけゴツイタイヤを履くと心配になるのが走行音や乗り心地の悪化ではないでしょうか。

初年度登録から約5年経過しているとはいえ、純正H/Tタイヤの乗り心地が思いのほか良かったこともあり、オーナーの評価が気になるところです。

意外にも実用域では自然なフィーリングに

市街地では、特に走り出しでM/Tタイヤ特有の、ゴロゴロという感触がはっきりと伝わり、見た目だけじゃなく乗り味もワイルドに変化。この変化も本格的なM/Tタイヤに換えた醍醐味です。

ただ、30km/hを超えたところでゴロゴロ感は薄れ、あまり気にならないレベルに軽減。ハンドルが重くなるようなこともなく、ごく普通に走ることができました。

高速道路ではM/Tタイヤ特有の音と振動アリ

大きな変化を感じたのは、高速道路に入ってからで、やはり80km/hを超えたあたりから、M/Tタイヤ特有のパターンノイズが顔を出し、細かなバイブレーションがフロアへ伝わってきます。

本格的なM/Tタイヤであるロードベンチャー MT71は剛性確保のために、3プライ構造が採用されており、純正H/Tタイヤより重量が増加。

その結果、バネ下重量が増えることで、段差を越える際の揺れや振動は大きくなっています。

しかし、その乗り心地と引き換えに、路面のわだちやレーンチェンジでもふらつき感はほとんどありません。

まるでスポーツタイプのサスペンションに換えたかのような剛性感があり、タイヤにしっかりと支えられているという安心感を得ることができます。

燃費は想定外の結果に

ロードベンチャー MT71に履き替えて、高速道路を試乗する中山

ロードベンチャー MT71は、見紛うことなき本格的なオフロードタイヤ。オンロード性能を優先していないため、音や振動の増加は想定内ですが、気になるのはオーナーの評価です。
率直な感想を聞いたところ「確かに音と振動は純正タイヤより増えたけど、もともとそんなに乗り心地が良かったわけじゃないので(笑)」と、笑顔で答えてくれました。

事前に乗り心地が悪化すると言われて覚悟していたこともあり、オーナー的にはそれほどでもなかったということでしょう。

また、タイヤの幅が広くなり、重くなることで気になるのは燃費の低下。しかし、1日のロケで186km走行したあとの給油量は約23Lで、満タン法で計算すると約8.1km/Lと、思いのほか悪くはない結果でした。

いよいよ林道でロードベンチャー MT71の実力を確認

そして、いよいよオーナーの中山が初挑戦する林道に到着です。

舗装されていた道は徐々に荒れ始め、完全な未舗装路へと変化。大きくなっていく揺れと、“ズザザザッ”という走行音が否が応にも気分を盛り上げてくれます。

初心者でも比較的チャレンジしやすい場所と聞いていましたが、それなりにハード。

鋭利な岩が露出している箇所もあり、間違いなく普通のタイヤでは避けたいシチュエーションです。
そんなちょっと気を遣う路面でも、3プライ構造を採用し、本格的な剛性を確保したロードベンチャー MT71の安心感は抜群。ゴムの重厚具合を感じる乗り味は通常のタイヤでは、決して得ることができない感覚です。

さらに、砂や石が浮くスリッピーな状況でも、ブロックパターンがしっかりと路面を捉え、多少ラフなアクセルワークを行っても十分なトラクション性能を発揮してくれます。

もちろん無理な運転をすることは危険ですが、特別な技術はなくとも、これだけの剛性感とトラクション性能があれば、この程度の林道なら難なく走破できてしまいます。

車でなければこれなかった大自然を満喫

一通り林道での走行を終え、ちょっと遅めのランチを取ることに。

スタッフ全員で、カップラーメンをいただきました。(笑)
大自然の中で食べるカップラーメンは格別なおいしさで、自然と笑顔がこぼれます。

初心者向きとは言え、林道をここまで走破できた達成感も、カップラーメンの味をさらに美味しくしてくれたのかもしれません。
オーナーの中山は、「今回初めて愛車をカスタムして林道にチャレンジしましたが、このアドベンチャー感がたまらないですね!」と興奮気味。

さらに「タイヤとホイールを換えただけで、ここまでその気になるとは思いませんでした。愛車の新たな楽しみと可能性を感じることができました。」と、今回のチャレンジを心から楽しめたようです。

手始めにM/Tタイヤへの交換からチャレンジ

オフロード系のカスタムは、リフトアップやボディ加工を手始めに、こだわればこだわるほど、ある種の“沼”にはまってしまい、カスタム内容によっては普段使いを犠牲にしなければならないことも少なくありません。
そこで、大きめのブロックパターンと力強いデザインが魅力のロードベンチャー MT71に交換すれば、それほど大幅なカスタムをしなくても、本格的な走行性能と見た目を手に入れることができるのです。
前述したように、純正タイヤと比べれば走行音と乗り心地が若干悪化するのは間違いありません。

しかし、そんなネガティブ要素を払拭してしまうほど、力強い見た目と確かな悪路走破性は魅力的!ジープ ラングラーのようなSUVやクロカンモデルに乗っているなら、まずロードベンチャー MT71への交換から、カスタムにトライしてみてはいかがでしょうか。

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