専用に作られたクルマやバイクを使い、一騎当千のバトルを展開するモータースポーツ。サーキットレースやラリー、ダートトライアル、ジムカーナなど、バリエーションも豊富です。観る、参加する、どちらの立場でも楽しめる、これらの競技は、日本では1990年代まで、クルマ好きの若者から人気を集めていましたが、ここ20年ほどは、参加者やイベントの観客が減少しています。なぜ、モータースポーツは、盛り上がらないのでしょうか。

©長谷川 優人

”歴史的快挙”が続いているのにモータースポーツは人気低迷?

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近年、日本のモータースポーツでは、”歴史的快挙”が続いています。

2021年シーズンは、角田 裕毅(つのだ ゆうき)選手がスク―デリア・アルファタウリチームより、レギュラー参戦する「F1(フォーミュラ1)」。

トヨタ自動車は「ル・マン24時間耐久レース」で、2018年から2020年までの3年連続総合優勝を成し遂げています。

アメリカで大人気の「インディカーレース」でも、100年以上の歴史を誇る”伝説の1戦”「インディ500」レースで、佐藤 琢磨(さとう たくま)選手により通算2度の優勝が達成されました。

ヨーロッパ、アメリカに引けをとらない自動車生産技術を持つ日本。

日本国籍のレーシングドライバーたちの成長もあり、優勝者に名を連ねる機会も多くなっています。

しかし、モータースポーツの人気は低迷の一途。

歴史的快挙が続いているにもかかわらず、なぜ人気が低迷しているのでしょうか。

モータースポーツ人気低迷の要因は”若者の多趣味化”にあり?

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モータースポーツ人気低迷の大きな要因は、”若者の多趣味化”はないでしょうか。

日本だけでなくマレーシアやタイでのレース開催もある人気のモータースポーツカテゴリー「SUPER GT」では、来場者アンケートの回答でもっとも多かった観客年齢層は”40代”。

バブル経済突入前のスポーツカーブームが生じた時代に生まれ、格好いいクルマたちが街なかにあふれていた中で育った人たちです。

F1では地上波テレビ局によるレース中継がスタートし「セナプロ対決」とも呼ばれたアイルトン・セナ氏とアラン・プロスト氏による激しいチャンピオン争いを展開。

中嶋悟氏・鈴木亜久里氏・片山右京氏など、F1で日本人ドライバーが活躍を見せていた背景などもあり、モータースポーツに馴染みがありました。

しかし、今の若者たちは、インターネットの発達などにより、趣味が世の中にあふれている時代。

自動車運転免許の保有率が伸び悩み、1990年代のバブル景気とは異なって、「クルマの所有がステータス」ではなくなりつつあります。

同様に、F1ではアイルトン・セナ氏が事故死し、バブル景気崩壊の影響もあって、自動車メーカーが続々とワークス参戦を取り止め、スポンサー企業の撤退が相次いでいます。

モータースポーツを盛り上げるには”インターネット配信”が重要?

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モータースポーツを再度盛り上げていくには、どのような方法があるでしょうか。

大きな役割を担うのは、”インターネット配信”です。

昨今のコロナ禍により、現地観戦が難しくなる中で、自宅観戦向けのリモート動画配信サービスが増えつつあります。

モータースポーツも例外ではなく、F1やル・マン24時間耐久レース、スーパーGTなどのレース中継が、大手動画配信サービスで視聴可能となっています。

クルマを持っていないなど、交通手段も確保しにくく、サーキットまで足を運べないと言う方も、月々の定額料金を支払えば、楽しくモータースポーツを自宅で楽しめる時代になっているのです。

まとめ

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自動車メーカーの、モータースポーツ撤退と景気の後退。若者の趣味多様化によって、人気低迷が続くモータースポーツ。

コロナ禍にも負けずに盛り上げていくためには、インターネット配信など、自宅から手軽にレース観戦ができるサービスに目を向けてもらう必要があるでしょう。

世間では、「おひとりさまでのキャンプ」が流行するなど、どこかにきっかけは転がっているはずです。

日本代表が活躍する今こそ、モータースポーツに再び目を向けてみると、面白い発見があるかもしれません。