成功より失敗に学ぶ事が多いのは、人間の常。取り返しのつかない失敗でもなければ次への教訓になり、失敗したその場でも「取り返しがつかなくなる前に」必死になってやった事は自分の糧になります。もちろん自分だけではなく、他人の経験談も何かと役に立つものです。そこで、今回はそんな「車の失敗談」をご紹介します!

迷える子羊よ、失敗談を参考にしたまえ… / Photo by Ian Burt

1.借りた車で激走、オーナーの目の前で大転倒!

自分の車でも悲しいのに、他人の車で転がったら悲しいどこじゃ済みません / Photo by nerissa’s ring

友人がちょっと気になる車で乗り付けたら、「運転してみたいな」と思うのはクルマ好きの性だと思います。しかし、オーナーとしても相手のドライビングテクニックや経験、あるいは加入している保険の関係で、「運転させたくないな」と思うのもまた人情です。

では、声をかけてきた相手をある程度信用していて、他人が運転しても大丈夫な保険に入っている、あるいはハナから保険適用外のサーキットや競技用コースならどうでしょう?

とある競技会で友人の車を借りたドライバーがまさにそのパターンで、1台ずつ走ったタイムで順位を決めるジムカーナ競技へ、1台の車で2人が交互にアタックできるダブルエントリー形式で参戦しました。

無難に走りきった友人の後でステアリングを握ったそのドライバー氏は、1回目の走行で少々体制を崩すもカウンターステアを決め、結果的には見事にFF車でのドリフト「Fドリ」をキメてギャラリーから歓声を浴びるも、それで調子にのったのが運の尽き。

2回目の走行ではちょうどオーナーが見ている眼の前でコース脇の溝にハマり、ギャラリーの「あ~」という悲鳴やため息とともにゴロン、ズシンと横転3/4回転をして、助手席側を上に止まった瞬間、割れたドアガラスがザーっと降り注ぎました。

もっとも、当のドライバー氏としては目の前の地面が斜めになったな~と思った瞬間逆さまになり、天井が凹んでフロントガラスにヒビが入るのと同時に、札束が飛んでいくのが見えたそう。

ドライバー氏か愛車か、あるいは両方を心配して駆けつけた友人から何かを言われる前に、「ゴメン!絶対直すから!」と、必死に抱きついたそうです。

2.コンビニで買い物したら愛車がない!盗まれた?いえいえ…ゴキゲンを損ねたようです

ガードレールがなければ、こんな感じでどこまで転がったやら? / Photo by Henri Bergius

ちょっとばかり古い車へ乗っているドライバー氏は、愛車のサイドブレーキが最近ゆるいような気がしていたものの、その日はちょっと気になる女子とのデートで浮かれ、愛車への気遣いが不足していたようです。

ちょっとコンビニで買い物をして、女子と仲良く外に出たら駐車場にあるはずの愛車がありません。

ちょっとした旧車とはいえプレミアがつくほどではなく、盗むにしても、もうちょっとマシな車を選ぶだろうとタカをくくって辺りを見回すと、駐車場の端のガードレールへバックで刺さっている愛車を発見。

そのコンビニの駐車場は少しきつめの坂になっていて、サイドブレーキの緩んだ愛車はドアを閉めた衝撃か何かで動き出し、そのままスルスルと進みだしてしまったようです。

幸い、人や他の車への接触もなく、一応サイドブレーキも完全に外れていなかったので、ガードレールへ刺さったとはいえ「コツン」程度で目立った損傷もありません。

大事に至らず「デートに使った愛車がちょっとスネた」程度だったようですが、そんな愛車の気持ちも知らず、ドライバー氏はデート相手の女子へ「面白い事もあるもんだ!」と笑っていたそうです。

3.歩いていたら無人の車に追い越された!アレ?俺の車?!

危うくこうなるところでした… / Photo by Txemari

前項で紹介した、何かと女絡みでスネやすい愛車を持つドライバー氏、今度は彼女の家に迎えに行こうと愛車を走らせる途中、でジュースを買おうと目についた自販機の近くで車を止めました。

そのまま自販機へ歩いていくと、脇をスルスルと追い越していく車があり、おいおい危ないなと思っていると、運転席に誰も乗っていません。

それも、さっき降りた自分の愛車じゃありませんか!

「ウッソー?ホントー?ヤッダー?!(死語)」などと驚いているヒマはありません。

なぜかわからないけど、とにかく愛車が勝手に走っており、しかもわずかですが加速しているような気もします。

このままでは、行く末は電柱か車かあるいはと、とにかくほっておいたら事故は確実!

慌てたドライバー氏は誰も乗っていない車へダッシュで追いつくと、運転席のドアを開けて飛び乗りブレーキ!事なきをえました。

原因は今回もゆるんでいたサイドブレーキだけではなく、なんと降りる時にMTをローギアに入れっぱなしだったのです。

車を止めてサッサと降りたはいいものの、サイドブレーキもギアもロクに確認せず、MTなのにエンストしなかったという事は、降りる時点でわずかに車が動いていたはずですが、今から迎えにいく女子の事で頭がいっぱいだったそう。

ヤキモチ焼きの愛車もですが、ドライバー氏のドジっぷりも相当なもので、ある意味人車一体?

それから15年以上たった今でも、ドライバー氏とちょっと古い愛車との付き合いは続いているようです(なお、その彼女にフラれて以降が、彼女いない歴の始まりだとか)。

4.スポーツ走行中、「あれ、ステアリングゆるいんだけど!」

走行中にステアリングユルユルというのも、なんともいえない切羽詰まった気分に Photo by Adrian Smalley

今はエアバッグやスイッチ類がたらとついており、気合いを入れたスポーツ走行やドレスアップでもしなければ、まず交換しないステアリング(ハンドル)。

エアバッグも何もない、モモやナルディなどの社外品ステアリングへ交換する時は、「ステアリングボス)と呼ばれるアダプターを介して取り付けますが、スタリングボスとステアリングシャフト(ハンドルの軸)を接続する時に、ナットをキチンと接続しないとどうなるか…。

とあるジムカーナの練習会へ参加したドライバー氏へ襲いかかったのは、そんなトラブルで、あるコーナーを回ろうとした時に、スカッ!ステアリングの感触がありません。

気づけばステアリング(正確にはステアリングボス)のナットが固定されておらず、ガタガタですが、ともかく迫るコーナーを何とかしないといけないので、思いっきりステアリングを握っておしつけ「うりゃー!」。

悪戦苦闘の末にゴールへたどりつき、「誰だよこのステアリングつけたの~!」と怒ったところで、「何言ってんだ、自分でつけたんじゃねーか!」と総ツッコミされるオチがつきました。

原因は、ステアリングボスを取り付ける際の、ナットの増し締め忘れだったようです。

調子に乗っていると、車には何が起きるかわからない?

レースじゃなくとも、不注意でタイヤが外れる事だってあります / Photo by Ben Sutherland

最後の「ナット増し締め忘れ」は、他にも「ショックアブソーバーの取り付けナットの増し締めを忘れて、サスペンションが脱落しかけた」、「ホイールナットの増し締めを忘れて、走行中にタイヤが脱落仕掛けた」という例が多く、特に夏/冬タイヤの履き替えを毎年行う地域だと、実際にタイヤが脱落しているケースを時々見かけます。

他にもサイドブレーキワイヤーが緩んでいたのを放置していて…というケースは、電気式パーキングブレーキの車が増えてきた最近では起きにくくなったものの、古い車なら誰にでも起こり得ます。他人の慣れない車に乗っての事故も同様。

いずれも共通しているのは、「何か調子に乗っていたり、他に気がかりな事があって、点検やメンテナンスをサボっていた」という事で、特に日常的な不具合に気づいていても、イイ事続きで浮かれていると、「まあ後でいいや」などと言っているうちに、トラブルの発生へとつながります。

幸い、どのケースでも致命的なトラブルにはなりませんでしたが、皆さんも今回の失敗談を参考に、「好事魔多し!」と思って、人生イイ事が続いている時こそ、車のトラブルには注意しましょう!