昨今スマホライクなカーエレとして注目されているディスプレイオーディオ。モーターズでもこれまで何度となく取り上げてきたアルパイン フローティングビッグDA(以下ビッグDA)ですが、従来モデルの発売からわずか1年で新型が追加登場!

今回は年代とメーカーの違う3台のスマートフォンと共に、日本一長い道路トンネルである山手トンネルを走行。GPSと車速信号を新たに取り入れた新型ビッグDAは、スマホナビの弱点であるトンネルで、スマホ単体使用時と比べてどの程度力を発揮するのか?その実力を検証します。
Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA

GPSと車速信号が入力される!新型フローティング ビッグDAの実力とは

これまでモーターズでは、ジムニーやN-VAN、デリカなどを使い、アルパインのディスプレイオーディオ「フローティング ビッグDA」についてさまざまな視点でご紹介してきました。

わずか1年という短期間で追加発売された新型では、本体にGPSと車速信号を入力し、合わせて3Dジャイロを搭載することで高精度な自車位置が表示できるように改良されています。一般的なカーナビでは当たり前の、自車位置を特定するGPSと車速信号、そして3Dジャイロ。これらにより、スマートフォン単体の地図アプリと比べて精度が良くなっているのか?

それを実証するべく、今回は3台のスマートフォンを用意し、ビッグDAにつないだスマートフォンと、新旧のスマートフォンでどれほど差が出るのかを検証します。

日本一長い道路トンネルで実際の精度を比較

検証に使用するコースは、全長約18.2kmと日本一長い道路トンネルである東京・山手トンネル。スマートフォンの地図アプリだけじゃなく、一般的なカーナビでも自車位置がおかしくなるまさにカーナビ泣かせの難所です。

首都高速3号渋谷線から、ぐるぐるのループ構造で有名な大橋ジャンクションを通り、大宮方面へ向かいます。

往路ではAndroid単体の自車位置にズレが発生

自分が今どっちに向いているのか分からなくなる大橋ジャンクションのループでは、どの組み合わせもきちんと自車の向きを検知できていましたが、山手トンネル(中央環状線)に入ってしばらくすると、少しずつ差が生まれてきました。

もっともおかしな位置を示したのは、単体で使用していた筆者のAndroid端末(Galaxy Note10+)。同じく単体のiPhone7と、ビッグDAに接続したiPhone12に差はほとんどありません。

ただ、中野長者橋付近では3つともフリーズすることがありましたが、ビッグDAに接続したiPhone12の表示はいち早く正しい場所に戻ってきました。

復路で明らかな差が発生!GPSと車速信号、3Dジャイロの恩恵を実感

筆者所有のAndroid端末にいささかの不満を抱きつつ、復路ではフォーメーションを変更。AndroidをビッグDAに接続し、新旧のiPhoneは単体で使用します。

地上部分の高松ICからしばらくは、どの地図アプリもほとんど差はありませんでしたが、進むにつれ明らかな差が出始めます。

なんと、往路では散々だった筆者のAndroid端末が、ビッグDAに接続することで、実際の見た目とほとんどズレなくなったのです。一方、単体で使用していた新旧のiPhoneは、またもや中野長者橋手前で完全にフリーズ。結果的に大橋ジャンクションで再び地上に出るまで、Android+ビッグDAの組み合わせは、大きくズレてしまうこともありませんでした。(自身の持ち物なのでなんか嬉しい!)

スマホ地図アプリに依存するも大画面の価値は大アリ!

スマートフォンの地図アプリは、スマートフォン本体のGPSによって自車位置を検知しています。そのため、GPS信号が途切れる長く深いトンネルでは、まともに使用できないのが一般的です。

下りと上りという差はあるものの、ほぼ同じルートでAndroid端末の表示精度が向上したのは、GPSと車速信号、さらに3Dジャイロを搭載した新型ビッグDAのおかげであることは間違いありません。

ただし、iPhoneにしろAndroidにしろ、地図アプリは端末本体の性能や相性に大きく左右されます。ビッグDAのカーナビ機能はあくまでスマートフォンの地図アプリに依存するため、全ての方のスマートフォンが、今回と同じような結果になるとは限りません。
実際、iPhone12とビッグDAの組み合わせでは、単体使用のスマートフォンと比べ多少安定感が増した程度でした。

しかし、スマートフォン単体で地図アプリを使用するのに比べ、安定感が増すのはもちろん、大画面で広い範囲を見ることができるのは大きなメリット。しかも新型フローティング ビッグDAは高画質WXGA液晶で見やすさも格段にアップ。
昨今、地図アプリを凝視することによる前方不注意での事故が問題視されていることを考えれば、より安全なドライブのため、ビッグDAを導入することが大きな意味を持ちます。

高級感が増したデザインと使いやすくなったUI

ここからは、「音のアルパイン」の真骨頂、カーナビアプリ連携以外の進化ポイントについて見ていきましょう。

まず目に飛び込んでくるのは、グッと高級感の増したデザインです。「DAF9Z」の外観は、シルバーパーツを多用し、画面下のスイッチ類も鮮やかさが増すことで、より上質な見た目に進化。しかも、決して悪目立ちすることが無く、どちらかといえば武骨でアクティブなジムニーシエラの内装にも、違和感なく馴染んでいます。

そして、ホーム画面もリニューアル。よりリッチな表現がされ、直感的に操作しやすくなったメディア画面は、まるでアルパインからリリースされているカーナビ「ビッグX」の画面のようです。
そして、音を簡単に操ることができるサウンドホームは、音を見た目でも楽しめる工夫が盛り込まれています。圧縮音源を補正して音の広がりを創りだす「Media Xpander」や、低音域を5つのタイプで調整できる「bass engine SQ」を操作する青く光るボタン。さらに、サブウーファーのレベルをコントロールするフェーダーなど、WXGAの高精細な画面にも映え、ついつい弄りたくなってしまうようなエンターテイメント性に溢れたUIデザインが施されています。

ハイレゾ対応でよりリッチな音場再現

UIの見た目だけじゃなく、実際耳にする音も大幅に進化。従来のビッグDAには備わっていなかった「ハイレゾ」音源の再生が可能になっています。

ハイレゾとは、「96kHz/24bit」以上のデジタル信号を扱うことのできる高音質音源のこと。従来のデジタル音源を超える情報量を持つことで、レコーディング現場やライブ会場の空気感まで再現することが可能です。

テスト車両のジムニーシエラには、ツイーター付きの2WAYスピーカーとサブウーファーを搭載。加えてハイレゾ音源をコントロールするアルパイン独自の高音質設計により、解像感が高く広がりのある音が再現されています。

安全と楽しさの両方を向上させる機能性

そして、従来モデルでも好評だった音声による操作も可能。電話を掛ける・受けるのはもちろん、メッセージの読み上げに加え、返信も音声で行うことができます。(※音声による返信はお使いの機種やOSのバージョンに依存します。)

また、USBとHDMIを使い、スマートフォンを2台接続することが可能。後席モニター・リアビジョンと組み合わせることで、前後で違う画面を表示することもできてしまいます。フロントでは目的地までのナビ画面、リアではお子さんの好きな動画コンテンツを映し出すことができ、家族みんなが楽しめる車内空間を作り出すことが可能です。

最新の新型車に多く採用され始めたディスプレイオーディオを、最初から設定のない車種だけじゃなく、年式の古い車種にも取り入れられるのは嬉しいポイントです。

まとめ

HDMI端子を備え、スマートフォンの画面を表示することも可能

従来モデルのフローティングビッグ DA発売から、わずか1年あまりで追加発売された新型フローティングビッグ DAは、今回の検証で大幅な進化を実感する結果となりました。
従来のカーナビに比べ、あくまで簡易的なカーエレという印象があったディスプレイオーディオ。しかし、スマートフォンの地図アプリを補完するGPSや車速信号、さらに、高画質WXGA液晶の画面、リッチで使いやすいUIと高音質なハイレゾ音源の採用など、フラッグシップカーナビに勝るとも劣らないところまで進化しています。
スマートフォンの地図アプリで十分だけど、愛車をもっと安心・快適にアップデートしたいなら、アルパインのフローティングビッグ DAは、かなりおすすめできるディスプレイオーディオです。

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