2023年4月、福島県にある曙ブレーキ工業のテストコースへMotorz編集部が初潜入!!曙ブレーキのブレーキパーツは純正部品として採用されていることが多く、実は愛車のブレーキが曙ブレーキ製なんてことも。そんな曙ブレーキは社外アフターパーツとして新構造ブレーキキャリパー「AWP」をリリース。他のキャリパーと何が違うのか?何がスゴいのか?徹底解説していきます!
TEXT:Shindo Tsukazawa
CONTENTS
曙ブレーキ工業って?
2023年には創業94年を迎え、日本を代表するブレーキ部品製造メーカーの老舗、曙ブレーキ工業。
市販自動車向けのブレーキパーツはもちろんのこと、WEC(世界耐久選手権)やニュルブルクリンク24時間耐久レースといったモータースポーツへの部品供給や、新幹線や産業機械用のブレーキに至るまで、幅広い産業で曙ブレーキ工業の製品が活躍しています。
そんな伝統と信頼のある曙ブレーキ工業から、社外アフターパーツとして新構造のブレーキキャリパーを開発し、2022年5月にリリースされました。
「AWP Brake Caliper(Akebono W Piston Brake Caliper)」(以下、AWP)は一体どんな製品で他とは何が違うのか?
Motorz森がテストコース(Ai-RIng)にお邪魔して実際に体験してきました!
テスト車両は30系アルファード(後期型)
今回の取材にあたり用意されたのが30系アルファード後期型(18インチホイール装着車)で、街中でも見かける機会が多いグレードの1つ。
純正状態のブレーキでも車を「安全に止める」という点においては十分な性能がありますが、曙ブレーキではアルファードやヴェルファイアオーナーへ向けて、「快適で上質な走り、カスタムする楽しみ」を提供すべくブレーキに着目。
曙ブレーキ独自の新構造ブレーキキャリパーを用いることで、見た目にも拘れる便利なカスタムパーツに仕上がった、と曙ブレーキ工業の福岡さんは語ります。
AWP Brake Caliperとは?
画像を見ただけではよくある社外のブレーキキャリパーに「akebono」のロゴが入っただけ、という印象を受けますが、「新構造」の言葉にある通り中身の構造が既存のブレーキキャリパーと異なります。
構造的な違い
純正でも採用されているフローティングタイプディスクブレーキのブレーキキャリパーでは、1つのピストンに油圧を掛けて内側のブレーキパッドを押し、その反力でキャリパーボディごと外側のパッドを引きつけて、ブレーキディスクに対して両側から制動をかける、という構造。
また社外の高性能キャリパーにある「対向ピストンキャリパー」は、内側にも外側にも複数のピストンが備えられ、油圧をかけることで同時に両側から制動をかける構造になっています。
AWPが上記2つと異なるのは、内側の1つのシリンダー内に2つのピストンが備えられ、油圧をかけることでピストンが同時に押されることで、両側から制動をかける、という構造です。
形状的な優位性
前述の構造的な違いによりもたらされる恩恵として、キャリパー形状にも影響を与えます。
例えば対向ピストンキャリパーの場合、ブレーキの外側に対してもピストンを配置する関係上、キャリパーそのものが外側にも突出することで、純正ホイールをそのまま装着することが不可能になります。
AWPの場合、外側にピストンを配置しないことから、純正キャリパーと同等の突出量となることで、社外キャリパーに交換したにも関わらず、純正ホイールをそのまま装着することを可能にしているのです。
これによりスタッドレスタイヤに履き替える際にブレーキキャリパーに干渉しない、といった使い勝手の良さも確保しています。
装着のしやすさ
社外ブレーキキャリパーに交換する場合、キャリパー以外にもディスクローターやブレーキホースの交換、専用ブラケット装着、ダストカバーの加工または撤去、と言った様々なパーツ一式を交換するケースが発生します。
もちろん全てを交換することで純正から比べたらより制動力が高くなりますが、その分コストが嵩みます。
AWPでは純正のディスクローターを使用し、ナックル側のブラケットも純正状態のままボルト2本で装着、ブレーキホースも純正ままで、ダストカバー(バックプレート)の加工もせず、ポン付けで装着が可能。
純正ブレーキキャリパーをそのまま置き換えるだけで装着することができるのです。
乗り心地の改善
AWPに交換することで得られるのは見た目だけではなく、性能面においても純正ブレーキ以上の恩恵を受けることができます。
重量では純正比で20%軽量化され、曙ブレーキ工業の特許「アンカービーム構造」により制動時のキャリパーの変形を抑制、低ダストブレーキパッドを装着しても純正同等のブレーキ性能を確保しています。
これらによりバネ下重量低減による運動性能向上、操作性の高いブレーキコントロールを可能にし、制動が滑らかになることで所謂カックンブレーキが減り、ドライバーはもちろんのことパッセンジャーにとっても乗り心地が良くなるのです。
純正ホイール、社外ホイール問わず装着可能
AWPは車種専用設計とされていることで、適合が取れている20系/30系のアルファード・ヴェルファイアの純正16インチにも装着が可能。
また対向ピストンキャリパーの場合、「ビッグキャリパー対応」ホイールでないと装着できませんでしたが、AWPはその問題点も解消。
深リムや非ビッグキャリパー対応ホイールでも装着することができ、より好みに合った社外ホイールを選ぶことができます。
気になるお値段
AWP Brake Caliper
フロントセット:30万円(税別、工賃別)
カラー:ブルー、レッド、ホワイト、シルバー、オレンジ
仕様
販売名: AWP Brake Caliper
製品寸法: 幅307×高さ123×奥行168(mm)
製品重量: 5.7kg
内容品: フロントキャリパー左右、保証書、保安基準適合書、取り扱い説明書
材質: アルミ合金
保証期間: 購入日より3年または走行距離6万km
発売日: 2022年5月20日
型番: AWPK-1101
取扱店舗
GR Garage、ALPINE STYLEの全国40店舗にて取り扱い(※2023年4月現在)
適合車種
20系アルファード/ヴェルファイア
ATH20W / ANH20W / ANH25W / GGH20W / GGH25Wの全年式
30系アルファード/ヴェルファイア
AGH30W / AGH35W / AYH30Wの全年式
GGH30W / GGH35Wの2015年1月〜2018年1月モデル(前期型)※後期型は装着不可
曙ブレーキ工業詳細
曙ブレーキ工業株式会社 補修品事業部門
〒348-8508 埼玉県羽生市東5-4-71
TEL:048-560-1514
FAX:048-560-2896
URL:https://www.akebono-brake.com/product_technology/aftermarket/awp.html
まとめ
いかがでしたか?
今回は曙ブレーキ工業の特許技術を用いた新構造ブレーキキャリパー「AWP Brake Caliper」をご紹介しました。
歴史と信頼を持ち合わせる老舗国内ブレーキメーカーから社外アフターパーツがリリースされた、ということもあり注目を集めているAWP。
いつものドライブをより上質にしつつ、愛車のカスタムも楽しみたい、そんなユーザーにピッタリなカスタムパーツではないでしょうか?