現在、比較的に新しいGTカテゴリー『GT4』の人気が高まっています。GT3は世界最高峰のGTカーレースになりつつあり、ワークスと強豪プライべーターがひしめくカテゴリーになりました。一方、GT4はジェントルマンレーサーや若手アマチュアドライバーが主体となって争われているレースであり、車両価格もGT3より比較的安価!そんなGT4カテゴリーとマシンについてご紹介します。

SIN R1 GT4 / 出典:http://motorsport.sincars.co.uk/2018-racing-season-gets-underway-racers-edge-motorsports/
GT3に続くFIA基準のレーシング車両『GT4マシン』とは?

出典:https://www.press.bmwgroup.com/japan/photo/search/M4+GT4/
GT4マシンは、日本での知名度はまだまだ低いかもしれませんが、これからGT3と同等に盛り上がることが期待されるレース車両です。
ドイツ高級自動車メーカーのメルセデスベンツ、BMW、アウディはすでに自社製のGT4マシンを販売しており、マクラーレン、ポルシェ、アストンマーチンといったスポーツカーメーカーも続々とGT4マシンを製造・販売に参入しています。
そして、大きく分けて自動車メーカーやメーカー直系のチューニングメーカーが製作し販売するものと、チューニングメーカーやプライベートチームが自ら製作するものが存在し、製作された車両はFIAがテストして公認を受けたもののみがGT4マシンとして認められる事に!
また、GT4マシンはGT3マシンのような大幅な改造がなされておらず、シルエットは市販車にかなり近い事も特徴です。
例えばアウディスポーツから発売された『R8 LMS GT4』は、ベースとなるR8との共通パーツが60%以上とされており、生産工場もR8と同様。
R8からの変更部分やチューニング内容などは明らかにされていませんが、おそらくはサーキット走行をするための装備品や補強、足回り、FIA-GT4カテゴリーに乗っ取ったエンジン出力への調整程度と考えられます。
GT4レース出場選手はジェントルマンドライバーや若手アマチュアドライバー
Новейший Nissan 370Z GT4 для Чемпионов Nissan GT Academy 2012 Вольфганга Рейпа и Марка Шульжицкого pic.twitter.com/uXx16crm
— Nismo GT Academy (@GTAcademy_Rus) 2012年11月6日
GT4レースはジェントルマンレーサーと若手のアマチュアレーサーを対象としており、ワークス専属プロドライバーが参戦するGT3レーサーより下位のカテゴリーとされています。
ちなみに自動車ゲーム『グランツーリスモ』と日産がタッグを組み実施されたレーシングアカデミー『GTアカデミー』でも、GT4マシンが使われていて、トレーニングを受けたGTアカデミーの生徒たちは、最初にイギリス自動車レース『BRITISH GT CHAMPIONSHIP』に日産370Z GT4のマシンで出場していました。
#MotivationMonday 🙌🏻🏆🍾 pic.twitter.com/4HTkOBKfaJ
— Jamie Chadwick (@JamieChadwick55) 2018年1月22日
また、英国GT選手権GT4クラスでは、ジェイミー・チャドウィックという17歳の女性レーサーがアストンマーチンのGT4マシンで参戦し、2015年シリーズチャンピオンを獲得したことで話題となりました。
そしてジェイミー・チャドウィック選手は現在19歳となり、英国F3選手権に出場しています。
GT3よりも安い!?GT4マシンのメリットとは

2018 Pirelli World Challenge Championships / 出典:http://motorsport.sincars.co.uk/racers-edge-motorsport-virginia-international/
GT4マシンは、GT3マシンと同様にお金を出せば誰でも購入できるレース車両であり、GT3マシンよりも安価な設定となっています。
昨年発売されたメルセデスベンツ最新GT4マシン『メルセデスAMG GT4』の新車価格は約2,600万円であり、同じ車両をベースに作られてGT3マシン『メルセデスAMG GT3』が約4,500万円であったため、かなりのお買い得感!!
また、市販されているということは、GT4マシンの中古車も販売されており、年式落ちの安価な中古車を購入してGT4カテゴリーのレースに出場することも可能。
市販されるGT4マシンの最高出力や車重にばらつきはありますが、GT4レースではBoP(バランス オブ パフォーマンス)を図るために性能調整テストをしてからサーキットタイムを揃えるるなどドライバーの腕で勝負できるところも嬉しいところ。
ジェントルマンドライバーや若手アマチュアドライバーが対等に勝負できるレースカテゴリーともいえるのです。
GT3同様そのうちワークス参入が危惧されるGT4クラス

出典:https://media.audiusa.com/en-us/releases/230#gallery
かつてGT3カテゴリーのレースも、GT4と同じくジェントルマンレーサーや若手ドライバーでも活躍できることを目的に開催されていました。
しかし、改造範囲の広いGT1やGT2は非常にコストがかかるため、いつしか多くの強豪チームがGT3へ移行していき、いつの間にかGT1・GT2カテゴリーは衰退していくことに。
そして、GT3カテゴリーが徐々にツーリングカーレースの最高峰となっていき、メーカー直系のワークスチームが参戦するようになっていき、ワークス専属のプロドライバーが多くドライブするようになったためレースが一気に高速化。
GT3マシンが市販化されているとしても、ワークスチームは最新技術を盛り込んだ発売直後のマシンを持ち込み、一部では最新マシンをプライべーターへ販売しないメーカーもあったという声も!
そうして、マシン性能とドライバー技量もプライベーターを圧倒するようになっていきます。
これは、今後GT4カテゴリーにも同じことが起こるのではないかと懸念する声も聞かれており、実際に自動車メーカーがGT4マシンを売り込んできていることから、いずれは大規模なGT4レースにワークス参戦を計画しているかもしれません。
既にアウディはデイトナ24時間やPWC(ピレリ ワールド チャレンジ チャンピオンシップ)に参戦して、GT4クラスで優勝しています。
このように比較的安価にレース参戦ができるとしても、ジェントルマンレーサーや若手アマチュアレーサーがワークスと同じ土俵で競うと、結果は当然ワークスへ軍配があがるでしょう。
そうなれば、プライベーターが活躍できるレースでなくなってしまうという可能性も心配されています。
世界各大陸で大規模なレースが開催!日本ではスーパー耐久で参戦可能に

GT4ヨーロピアンシリーズ 2018 /出典:https://www.ginetta.com/news/middleton-and-tregurtha-take-victory-on-gt4-european-series-debut
日本では馴染みのなかったGT4カテゴリーでしたが、2017年シーズンからスーパー耐久レースでもGT4車両を対象とした『ST-Zクラス』が新設されました。
これにより、GT4マシンの人気が日本でも高まると期待されていましたが、2017年のエントリーはゼロで、2018年は1台のみ。
スーパー耐久以外でもGT4車両で争われるレースが増えなければ、GT4車両を購入する方は現れないかもしれません。
一方、海外では多くのGT4カテゴリーレースが行われており、特に欧州では高い人気を誇っています。
GT4マシンが参戦できる主なレース

出典:https://www.ginetta.com/news/middleton-and-tregurtha-take-victory-on-gt4-european-series-debut
レース | 開催国 | 公式SNS |
---|---|---|
ニュルブルクリンク24時間 | ドイツ | HP |
ピレリ ワールド チャレンジ チャンピオンシップ | アメリカ カナダ |
HP |
オーストラリア GT チャンピオンシップ | オーストラリア | HP |
ブリティッシュ GT チャンピオンシップ | 英国 ベルギー |
HP |
24H SERIES | 世界各国 | HP |
GT4 ベルギーシリーズ | ベルギー ドイツ オランダ |
HP |
GT4 ヨーロピアンシリーズ | 欧州各国 | HP |
FFSA GT-GT4 | フランス スペイン |
HP |
GT4 セントラルヨーロピアンカップ | 欧州各国 | HP |
ブランパンGTシリーズ・アジア | マレーシア タイ 日本 中国 |
HP |
ブランパンGTシリーズ・アジア GT4クラスに日本人ドライバー
アジア諸国で行われている『ブランパンGTシリーズ・アジア』には日本人ドライバーも数名参戦しています。
井田雅彦選手は『タイワン・トップスピード・レーシング』から#17 ポルシェ・ケイマンGT4で参戦し、木下隆之選手と砂子塾長(砂子智彦選手)は、『BMWチーム・スタディ』から#81 BMW M4 GT4、浦田健選手は#82 BMW M4 GT4で参戦。
ブランパンGTシリーズ・アジアのFacebookページからレースの様子をライブ中継で観戦することも可能なため、日本人ドライバーの活躍を是非チェックしてみてくださいね。
メーカーマシンからショップ製作マシンまでGT4マシンを紹介
メルセデス-AMG GT4

出典:https://www.mercedes-amg.com/en/press-information/mercedes-amg-gt4-a-new-class-of-performance.html
KTM X-BOW GT4

出典:https://www.ktm.com/x-bow/
ロータス エヴォーラGT4

出典:http://www.lotuscarsmanila.com/evora-gt4/
アストンマーチン V8 ヴァンテージ GT4

出典:http://www.astonmartin.com/en/racing/race-cars/vantage-gt4
ジネッタ G55 GT4

出典:https://www.ginetta.com/g55
フォード マスタング GT4

© 2017 The Ford Motor Company
SIN R1 GT4

出典:http://motorsport.sincars.co.uk/season-2018-gt4-european-series-near/
マセラティ グランツーリズモ MC GT4

出典:https://www.maserati.com/maserati/jp/ja/brand/GT4-championship
シボレーカマロGT4.R

出典:http://www.chevrolet.com/motorsports
アストンマーチン ヴァンテージ N24 GT4

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Aston_Martin_Vantage_N24
BMW Z4 GT4
Gelekt: de BMW Z4 GT4 komt naar Geneve! #heuswaar pic.twitter.com/IIwEPzB9OX
— Herman Feitsma (@Herman_AB) 2015年3月2日
アウディTT GT4
Audi TT GT4… pic.twitter.com/ctyEQqneqF
— layec (@LayecChristophe) 2015年11月4日
ポルシェ997 GT4
Porsche 997 CUP / 997 GT4 Northampton, United Kingdom £50,000 2007 997 911 Cup Car 3.6 Litre. Also supplied with Full GT4 kit (rear wing, GT4 ECU, Fully Adjustable GT4 spec Coilovers, GT4 Exhaust etc) Ready to race in Worldwide GT4 series… – https://t.co/P2o1T4EDDw pic.twitter.com/UaIzwOMhLg
— RaceCarsDirect.Com (@RaceCarsDirect) 2018年2月13日
ポルシェケイマンPRO4 GT4【Equipe Verschuur製】

出典:https://european.gt4series.com/porsche-cayman-pro-4
ジネッタ G50 GT4

出典:https://www.ginetta.com/news/niall-murray-returns-to-ginetta-family-for-24-hour-endurance-debut
ポルシェケイマンGT4クラブスポーツ【Prosport Performance製】

出典:
https://www.porsche.com/japan/jp/motorsportandevents/motorsport/customerracing/racingcars/cayman-gt4-clubsport/
まとめ

出典:https://www.press.bmwgroup.com/japan/photo/search/M4+GT4/
GT4カテゴリーのレースは世界各大陸で大きなレースが開催され、自動車メーカーはGT3に続きGT4の車両開発に力を入れています。
そして、スーパー耐久だけでなく日本でもGT4レースをどんどん開催してほしいところ。
ブランパンGTシリーズ・アジアは2018年6月30日-7月1日に鈴鹿サーキット、7月21-22日に富士スピードウェイでレースを開催するので、こちらを観戦しGT4カテゴリーの楽しさを味わってみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい
[amazonjs asin=”B00008RJZY” locale=”JP” title=”グランツーリスモ4″]
Motorzではメールマガジンを始めました!
編集部の裏話が聞けたり、月に一度は抽選でプレゼントがもらえるかも!?
気になった方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みいただくか、以下のフォームからご登録をお願いします!