近頃、各メーカーやディーラーは「残価設定ローン」というローン方式を採用しています。残価設定ローンは「通常のローンよりも月々の支払いが少ない」と言われていますが、本当なのでしょうか。実はこの残価設定ローン、おすすめできる人もいれば、そうでないひとも居るのです。
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残価設定ローンとはなにか
「残価設定ローン」とは、「乗っている車を数年後に下取りに出した場合の価格」を残価として、据え置くローンのことです。
「下取りに出した場合の価格」とは、つまりディーラーの「下取り価格」のことを指すわけですが、これを「残価」として据え置き、残りの金額を月々のローンとして返済する仕組みとなっています。
ただし、この「残価」を返済する必要がないというわけではなく、あくまで「ローン返済の最終回」へ支払いを後回しにしているだけ。
つまりは「残価を除いた金額は先払いだけど、残価は最後に必ず支払ってね」というわけです。
たとえば200万円の車を買うのに、36回の残価設定ローンを利用したとします。
残価は、ディーラー下取り価格の50万円だったとしましょう。
この場合だと全36回の支払いのうち、35回目までは先述の50万を除いた150万円を月ごとに分割して支払います。
そしてローン返済の、最後の回に残価の50万円を返す必要があり、当然この金額には金利が掛かってくるのです。
簡単に言うと、通常のローンでは上述の場合だと、200万円を36回分均等に分けて支払うのに対し、残価設定ローンだと「月々の返済額」を少なくすることが可能。
ところが「ローン返済のために支払う金額そのもの」が減るわけではなく、あくまで「残価として設定」した金額を「後回し」にしているだけなので、言ってみればその場凌ぎ。
つまり「月々に支払う金額だけ」は少なくなるのですが、全体の返済額は変わらないどころか、金利が追加で掛かってくるのです。
頭金を入れても残価は減らない仕組みになっている
さらにこの残価設定ローンは、頭金を入れても残価は一切減りません。
上述の200万円の車を買った例だと、頭金50万円を入れた場合は月々の返済額が100万円になります。
一見すると良さそうですが、元利均等返済なので、月々の返済額が下がると金利が上がるのですが、残価の50万円は一切減らずに金利が増える。
これも残価設定ローンの仕組みです。
最終回の支払い方法が選択できる
残価設定ローンは、最終回に残価を支払う必要があるのですが、その支払い方法を選択することができます。
それは各社で共通の事項であり、選択肢は以下の3つです。
- 下取りに出す(新しい車に乗り換える)
- 車を返す
- 車を買い取って乗り続ける(残価を一括で支払う)
下取り価格が保証されている
残価設定ローンの下取り価格(残価)は、「ディーラーの規定をオーバーしていなければ」保証されています。
これが残価設定ローンの強みのひとつです。
ディーラーの下取り価格というものは、販売店共通の「イエローブック」というJAAI(日本中古自動車査定協会)が販売している本の基準値に沿って設定されています。
そのため、下取り価格が保証されているのですが、問題はここから。
ディーラーもイエローブックの査定基準から、「走行距離」や「傷やへこみ、故障」などを減点して査定価格を決めています。
この減点された分は、返済しなくて良いのかというと、そうではありません。
事故や走行距離超過などで減点された分は、やはり支払う必要があるのです。
しかし事故の場合だと、車両保険の金額で解決できるので、残価設定ローンを使うときも保険には入っておきましょう。
残価設定ローンのメリットとデメリット
今まで見てきた点を踏まえたうえで、残価設定ローンのメリットとデメリットについて述べていきます。
残価設定ローンのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 月々の支払いを少なくできる
- 下取り額が保証されている
- 3~5年ごとに新車へ乗り換えることが可能
- 自動車ローンより金利が低いことも
- 車検費用が掛からないことがある
残価設定ローンでは残価返済時に車を返却したり、下取りに出したりできるので、早いペースで車を乗り換えることも可能です。
また3年で車を乗り換えるのであれば、車検が不要であり、メンテナンスパックに入っていた場合は先に費用を支払っているので、車検のタイミングでお金が掛かりません。
デメリット
- 走行距離や事故などで下取りの査定額が下がる
- カスタマイズ不可能
- 車の所有者はディーラー
残価設定ローンで車を入手した場合、あくまで車の所有者はディーラーです。
そのためカスタムは不可であり、事故や走行距離超過の場合は、下取り価格が下がることもあります。
結局、どちらが良いのか
残価設定ローンは、販売会社の「顧客に自社の車に次々と乗ってもらいたい」という思惑のもと、設定されたものだと言えます。
カスタム不可能で金利もつきますが、「車を早めに乗り換えたい」という人や「月々の支払いを安く済ませたい」という人には、おすすめできるローンです。
しかし先述ね通り、残価は支払いの最終回に据え置くことになるので、残債処理ができないと、最悪の場合は自己破産することもあり得ます。
通常のローンでは残価設定と比べ、金利が5%超えもざらにあるという高めの設定になっているので、こちらもあまりメリットがありません。
メリットばかりが強調されがちな残価設定ローンですが、使い方を誤ると危険なので、利用時は注意が必要です。
まとめ
残価設定ローンは、ほかとは全く異なる特徴を持ったローンです。
しかし、通常の自動車ローンと比べて優れているというわけではなく、利用者によってはデメリットの面が大きいこともあります。
通常の自動車ローンと残価設定ローン、どちらが自分にとってメリットのあるものなのか、よく考えてから選ぶようにしましょう。
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