昭和から平成初期の教習車は、MTの4ドアセダンが主流で、採用車種は当時の中間層に人気だったクラウン(セダン)、マークII(セダン)、クレスタ、ローレルなどでした。また、当時は教習車に輸入車が導入され始めた頃で、筆者はメルセデス ベンツ CクラスでAT教習を受講。あれから約30年。令和の教習車事情は、どうなっているのでしょうか。

新型マツダ 教習車

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軽自動車は教習車になれない!

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普通免許の教習車は、どんな車種でも良いというわけではありません。

道路交通法施行規則第24条で、教習車の要件は次のように定められています。

乗車定員五人以上の専ら人を運搬する構造の普通自動車で長さが四・四〇メートル以上、幅が一・六九メートル以上、最遠軸距が二・五〇メートル以上及び輪距が一・三〇メートル以上のもの

教習車の規定は、定員が4名、全長3.4m、車幅1.48m以下に制限されているため、軽自動車を教習車にすることはできません。

(そもそも「軽自動車」は、「普通自動車」ではありません。)

教習車は8ナンバー車

クラウン パトカー

Photo by megawheel360

教習車は運転技術を指導する用途に使用する「特殊用途車」であり、パトカーと同様の8ナンバーが装着されます。

また、教習車として公認されるためには、助手席の補助ブレーキが必要で、補助ブレーキを追加するには改造申請と、特殊用途車に変更するための手続きが必須です。

例外としてメーカー製教習車は、元々8ナンバーで型式登録してあるため、改造申請は不要となります。

また、一般的な教習車には車両内外に多くのミラーが装備されていますが、これは運転者用と助手席の指導者用で、指導に必要な装備です。

教習車にセダンが多い理由

5代目トヨタ マークII

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教習車にセダンが多く採用されている理由は、自動車運転の基本技術を学びやすいこと、そして運転席からの視界が良好であることが挙げられます。

理由1:運転の基本技術の練習に最適

セダンは車両の大きさを感覚的に把握しやすく、S字走行、方向転換、後退、縦列駐車などの基本技術の練習に適しています。

これは、セダンの運転席が車両のほぼ中央に位置しているためです。

理由2:視界良好・死角少し

セダンは前方、後方、側方視界も良好です。

さらに車両のウエストライン(サイドウインドウまでの高さのこと)が低いので、死角も車両前後、フロントマスク正面とトランクリッドより下に限られます。

そのため、セダンは周囲の様子を把握しやすいボディタイプといえるのです。

令和の教習車事情

令和となった現代、市場で人気が高いのは、軽ハイトワゴンやSUV、ミニバンなどで、セダンの人気は低迷しています。

そんな情勢下では、教習車にどんなボディタイプの車が使用されているのでしょうか?

セダンの教習車人気は不変!

新型マツダ教習車

出典:http://thuonghieuvaphapluat.vn/mazda-ra-mat-xe-danh-rieng-cho-nguoi-moi-hoc-lai-d21767.html

2019年4月にマツダが、新型「教習車」を発表しました。

新型マツダ 教習車は、日本未導入のデミオセダンがベースのBセグメント車です。

しかし、かつてのマークIIより大型で、全幅は5ナンバー枠には収まりません。

マツダが教習専用車を販売しているのは、ドライバー候補者にマツダ車に馴染んでもらい、免許取得後にマツダ車の購入を促す狙いです。

輸入車の教習車は多様化!

自動車教習所の中には、輸入車を教習車として導入する学校もチラホラと存在しますが、ついにSUVのBMW X1を教習車に採用する自動車学校が出てきました。

とはいえ、ボディタイプの多様化は国産車の教習車も同じなのですが、セダンよりも見晴らしの良いSUVでの教習は、さぞ快適なことでしょう。

ただし、セダンよりも車両前後の死角が多くなることも忘れてはいけません。

教習車に痛車!?


痛車とは、ラッピングフィルムにキャラクターやアイドルを印刷して、ボディに貼り付けた車のことです。

ラッピングフィルムは、通常なら公共交通機関の車両に貼られ、広告などに使用されるのですが、佐賀県の大町自動車学校では、自校の宣伝と若者に自動車に関心を持ってもらおうと、若者の好きなアイドルやキャラクターを教習車にラッピングしているそうです。

ついにミニバンが教習車に!!

教習車といえばセダンが多く、最近では5ドアハッチバック車も登場しましたが、ミニバンを教習車に採用する教習所もあります。

沖縄の池ノ上自動車学校では、日産 NV200バネットをAT教習車として採用。

ミニバンとセダンでは運転席の位置が変わることから、運転感覚が多少異なります。

しかし、運転免許取得後もミニバンに乗る機会が多いなら、早めに慣れておくに越したことはありません。

モーター駆動の教習車も


現在の自動車業界は、100年に1度の大変革期を迎えています。

動力源がエンジンからモーターに切り替わろうとしているのです。
(ちなみに100年前は、馬からエンジンに代わりました。)

エンジンとモーターでは出力特性も異なるため、今後の運転生活を考えると早めにEVやFCVなどのモーター駆動車に慣れておきたいところ。

そこで岡山県の勝栄自動車学校では、日産 リーフを教習車に採用しています。

まとめ

自動車の運転は、安全が第一。

運転者がどんなタイプの自動車の運転に慣れているかは、大切なポイントです。

昔はセダン一辺倒だった教習車も、今では多種多様になりました。

運転免許取得後のカーライフを念頭に、教習車を選べると、安全運転につながるのではないでしょうか。

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