皆さんが普段何気なく目にしているタイヤは、大きくラジアルとバイアスの2種類に分けられます。ラジアルタイヤはよく聞きますが、バイアスタイヤはいかがでしょうか?ラジアルとバイアスには、構造的にどのような違いがあるのか、また特徴や用途などの違いなどをご紹介していきます!
ラジアルとバイアスの違いはカーカスにあり!
ラジアルタイヤとバイアスタイヤの違いを知るうえで、どうしても必要な知識がタイヤの構造です。
タイヤを走行方向で断面的に見ると、内側からインナーライナーと呼ばれるゴム層があり、チューブの役割を持ちます。
インナーライナーの上にはカーカス(カーカスコード)があり、タイヤの骨格となりタイヤの形状を形成します。
カーカスはベルトによって締め付けられ、タイヤにかかる荷重や衝撃を緩和します。
さらに、ゴム層とカーカスの剥離も防ぎます。
カーカスやベルトの上に、トレッド面やサイドウォールを形成するゴム層があります。
タイヤのリムと設置するビード部にはさらに補強がなされています。
ここまでは、ラジアルタイヤもバイアスタイヤも同じ作りになっています。
ではラジアルとバイアスの違いはどこにあるかというと、カーカスにあるのです!
ラジアルタイヤとバイアスタイヤの特徴
英語で「ラジアル(radial)」とは「放射状に」、「バイアス(bias)」は「斜め」を意味します。
この名前の通り、ラジアルタイヤとバイアスタイヤの違いはカーカスの張り方にあります。
ラジアルタイヤでは、カーカスは進行方向に対して水平(タイヤ横方向から見ると放射状)に、バイアスタイヤでは進行方向に対し斜めに張られます。
ラジアルタイヤではカーカスは1枚で済みますが、バイアスタイヤでは2枚必要とします。
カーカスの張り方の違いは、ラジアルタイヤとバイアスタイヤに、どのような違いを生み出すのでしょうか。
用途の違い
ラジアルタイヤは乗用車やトラック、大型バイクにも使用されます。
対するバイアスタイヤは、バイクやレーシングカート、産業用車両や農業用車両などに用いられます。
このような用途の違いは、カーカスの原料に由来します。
カーカスの原料
乗用車用ラジアルタイヤのカーカスはポリエステル、大型トラックやバスではスチール、小型トラックではポリエステルとスチールが原材料となります。
カーカスを締め付けるベルトは主にスチールやアラミドが原材料で、かなりの重量に耐えられそうなイメージがあります。
対するバイアスタイヤのカーカスとラジアルのベルトに相当するブレーカーの原材料は、ナイロンです。
ラジアルの素材と比較すると、幾分頼りない感じがしますが、この原材料の違いが双方のメリットに直結します。
それぞれのメリット
ラジアルタイヤのメリットは、操縦性・安定性・耐摩耗性に優れ、転がり抵抗が少ないため燃費性能も良好であることです。
走行時のタイヤからの発熱が少なく、高速での乗り心地も快適で、さらにグリップ力が高いのでスリップが少なく、大きなけん引力が確保できます。
一方のバイアスタイヤですが、生産方法が簡単で低コストで生産できることや、低速時・悪路走行での乗り心地の良さがメリットとして挙げられます。
ラジアルタイヤのメリットに対しバイアスタイヤのそれが極端に少ない理由は、空気入りタイヤが発明された当時のタイヤがバイアスタイヤで、ラジアルタイヤはバイアスタイヤの改良型として、バイアスタイヤ誕生後50年を経てから開発されたためです。
50年間の技術発達の差が、メリットの数に関係しているのです。
まとめ
ラジアルタイヤとバイアスタイヤの違いは、カーカスの貼り方にありました。
ラジアルタイヤは頑丈な上、進行方向のグリップ力や横方向の荷重にも強く、高速走行が可能な乗用車で用いられます。
一方バイアスタイヤは横方向への荷重に対しては弱いものの、低速や悪路での乗り心地が良く、原付バイクや産業用車両や農業用車両などで使用されます。
用途に適したタイヤを選んでみてください。
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