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かつてバブル景気に湧く日本には、「デートカー」と呼ばれる車がありました。当時は女性をデートに誘う上で車は必須アイテムだったため、スタイリッシュなクーペタイプのボディに、高い運動性能を備え、いわゆる「カッコよさ」を存分に演出できる、スペシャルティと呼ばれた車が、若者から絶大な支持を集めていたのです。今回は、その中でも特に人気となった、デートカーの代名詞とも言われる3車種を紹介します。

出典:https://global.nissannews.com/ja-JP/heritage-models-j
日産 シルビア(5代目)

出典:https://global.nissannews.com/ja-JP/heritage-models-j
低いフォルムと高い運動性能で、デビューすると若者の支持を一気に集めたのが、日産 S13シルビアで、当時デートカーとして大ヒットを飛ばしていた、ホンダ プレリュードの牙城を崩しました。
S13シルビアが、他のデートカーに差をつけられた大きな要因は、運動性能の高さです。
直列4気筒ターボエンジン、CA18DETを搭載したことによる鋭い加速性能に加え、FRレイアウトの採用により、本格スポーツカー並の運動性能を発揮。
さらには、先進の装備も搭載されるなど、注目を集めました。

出典:https://global.nissannews.com/ja-JP/heritage-models-j
高速走行時に後輪が前輪と同じ方向を動き、高速安定性を高めるHICASIIと呼ばれるステアリングシステムに、前後左右の車の挙動を確実に路面に伝える新開発のマルチリンクサスペンション、そして、まるで欧州車のようなエレガントなデザインも相まって、若者の心に火をつけたのです。
日産 シルビア(5代目) 基本スペック
ボディタイプ クーペ ドア数 2ドア 乗員定員 4名 型式 E-KS13 全長×全幅×全高 4470×1690×1290mm
ホイールベース 2475mm トレッド前/後 1465/1460mm 室内長×室内幅×室内高 1650×1430×1065mm 車両重量 1160kg
エンジン型式 CA18DET 最高出力 175ps(129kW)/6400rpm 最大トルク 23.0kg・m(225.6N・m)/4000rpm 種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブICターボ 総排気量 1809cc 内径×行程 83.0mm×83.6mm 圧縮比 8.5 過給機 IC付きターボ 燃料供給装置 ニッサンEGI(ECCS)電子制御燃料噴射装置 燃料タンク容量 60リットル 使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
駆動方式 FR トランスミッション 4AT LSD 標準 出典:グーネット https://www.goo-net.com/catalog/NISSAN/SILVIA/1502081/
ホンダ プレリュード(3代目)

「デートカー」として人気をよんだホンダ・プレリュード / © Honda Motor Co., Ltd.
「デートカー」という呼び名のきっかけを作ったのが、ホンダ プレリュードです。
3代目プレリュードは、2代目のコンセプトをそのままに、量産車世界初となる4WSを搭載し、登場しました。
リトラクタブルライトが特徴的で、シャープな印象の外観と、洗練された内装は性別を問わず支持され大ヒット。
さらに、運転席側にも助手席のリクライニングレバーがあり、これぞまさにデートカーと呼ぶに相応しい車でした。

3代目ホンダ プレリュード / 出典:http://www.webcarstory.com/voiture.php?id=20556
デートカーとしてのナンパな一面を持つ一方で、量産車世界初となる4WSを装備。
足回りも前後ダブルウィッシュボーン化されるなど、車としての性能にもこだわりを持って開発されました。
特に、かなりの力技で実現した4WSには、技術のホンダのこだわりが垣間見えます。
4WSと言えば、現代では電気信号で後輪をコントロールする電子式が一般的ですが、プレリュードは、センターシャフトを介してフロントの操作を直接リアに伝えるという、かなり大掛かりな機械式を採用。
車両本体価格を抑えることに、成功しています。
ホンダ プレリュード(3代目) 基本スペック
ボディタイプ クーペ ドア数 2ドア 乗員定員 4名 型式 E-BA5 全長×全幅×全高 4460×1695×1295mm
ホイールベース 2565mm トレッド前/後 1480/1470mm 室内長×室内幅×室内高 1695×1420×1060mm 車両重量 1160kg
エンジン型式 B20A 最高出力 140ps(103kW)/6000rpm 最大トルク 18.0kg・m(176.5N・m)/4500rpm 種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブ 総排気量 1958cc 内径×行程 81.0mm×95.0mm 圧縮比 9.4 過給機 なし 燃料供給装置 電子燃料噴射式(ホンダPGM-FI) 燃料タンク容量 60リットル 使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
駆動方式 FF トランスミッション 4AT LSD —- 変速比 第1速 2.647 第2速 1.444 第3速 1.060 第4速 0.743 第5速 —- 後退 1.904 最終減速比 4.066 出典:グーネット https://www.goo-net.com/catalog/HONDA/PRELUDE/2002299/
トヨタ セリカ(4代目)

出典:https://www.favcars.com/
先のプレリュード、シルビアの後塵を拝する感はあるものの、4代目となるトヨタ ST160系セリカも、立派なデートカーです。
特に4WDが採用された最上位のGT-FOURは、バブル景気の象徴とも言える、いわゆるトレンディ映画「私をスキーに連れてって」の劇中車として登場。
若者のデートの定番である「スキー」と「かっこいい車」の組み合わせで、人気を博しました。
そんな先鋭的でスタイリッシュな外観デザインを、さらに魅力的に見せたのが、リトラクタブルライトです。
高嶺の花的存在のスーパーカーに多く採用されていたため、スポーティさの演出には欠かせない装備でした。

出典:https://www.favcars.com/
セリカが他の2車種と決定的に違うのが、ラリー世界選手権WRCに、トヨタ初となるフル参戦を果たすために開発されたモデルが存在することです。
フルタイム4WDを採用したST165セリカGT-FOURは、「スポーティ」ではなく、本格スポーツカーで、他の2車種と差別化を図りたい若者から、絶大な支持を集めました。
トヨタ セリカ GT-FOUR(4代目) 基本スペック
ボディタイプ クーペ ドア数 2ドア 乗員定員 4名 型式 E-ST165-BLMVZ 全長×全幅×全高 4365×1690×1295mm
ホイールベース 2525mm トレッド前/後 1465/1440mm 室内長×室内幅×室内高 1755×1415×1080mm 車両重量 1350kg
エンジン型式 3S-GTE 最高出力 185ps/6000rpm 最大トルク 24.5kg・m/4000rpm 種類 直列4気筒DOHC16バルブ ターボ 総排気量 1998cc 内径×行程 86.0mm×86.0mm 圧縮比 8.5 過給機 ターボ 燃料供給装置 電子制御式燃料噴射装置(EFI) 燃料タンク容量 60リットル 使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
駆動方式 FF トランスミッション 5MT LSD —- 変速比 第1速 3.583 第2速 2.045 第3速 1.333 第4速 0.972 第5速 0.820 後退 3.153 最終減速比 4.176 出典:トヨタ公式サイトhttps://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60010071/index.html
まとめ
今や車に求められるのは、優れた低燃費性能と安全性能。
もちろんこれらの性能は車にとって、そしてユーザーにとっても欠かすことのできない大切な性能です。
しかし車は、単なる目的地に向かうための移動手段ではなく、乗ることや存在自体にも価値があります。
今回ご紹介したような、いわゆるデートカーと呼べる車はすっかり少なくなってしましましたが、大切な人と出かけるドライブデートには、カッコいい車が欠かせないという考え方は、もう通用しないのでしょうか。