1980年代から90年代にかけて、バブル景気と同時に日本でも高い人気を誇った「モータースポーツ」。その代表格が「F1(フォーミュラ1)」です。多くの日本国籍のレーシングドライバーが”F1レースでの優勝を目指して戦いましたが、いまだ達成されていません。しかし2021年、優勝に手が届きそうな日本の”新星”が誕生しました。その名は「角田裕毅」。史上最速と言われる角田選手は、いったいどのようにF1まで上り詰めたのでしょうか。
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7年ぶりの日本国籍F1ドライバー「角田裕毅」
角田裕毅選手は、2021年より「スク―デリア・アルファタウリ」チームに加入し、F1へ参戦するレーシングドライバーです。
日本国籍のレーシングドライバーでは、2014年の小林可夢偉選手(ザウバー→ケータハムF1)以来、7年ぶりのF1参戦ドライバーとなっています。
2008年のホンダF1第3期活動撤退にはじまり、2009年のトヨタF1撤退、2015年のホンダF1第4期活動開始など、近年、日本とF1との関係が大きく揺れ動きました。
そんな中、ファンが待ち望んだ日本国籍F1ドライバーとして、角田選手は世界の舞台へチャレンジするのです。
角田裕毅選手とは
角田裕毅選手は、どのような人物なのでしょうか。
キッズカートでモータースポーツの門を叩く
角田裕毅選手は2000年生まれ、「ミレニアム世代」のレーシングドライバーです。
神奈川県相模原市出身。
1992年から1997年までF1を戦った先輩ドライバー、片山右京氏と同じ出身地で、縁のあるドライバーです。
ジムカーナ競技に参戦していた父親の影響で、4歳の時に初めてキッズカートに挑戦します。
以降、父親からのサポートを受け、レーシングカートでのレースに挑戦し。
地方選手権チャンピオンや各クラスの日本一決定戦で優勝を飾るなど、活躍します。
そして2016年には、全日本選手権の上級クラスであるKFクラスでランキング4位に輝きました。
父親の背中を見てモータースポーツに興味が湧き、レーシングカートから世界へ向けて挑戦を始めたのです。
レッドブル育成ドライバーとなった角田裕毅
角田選手は、2016年より「鈴鹿サーキットレーシングスクール」に入校し、本格的に4輪フォーミュラカーへの挑戦を開始します。
そして2017年より、「FIA-F4ジャパンシリーズ選手権」へフル参戦。
2年連続で参戦し、1年目はシリーズ3位を獲得します。
2年目となる2018年には、ホンダの育成ドライバーに指名され、予選ポールポジション9回と優勝7回を記録。
ライバルたちとの競争を制し、FIA-F4ジャパンのシリーズチャンピオンを獲得したのです。
2019年は、F1などのモータースポーツで実績を挙げる飲料メーカー「レッドブル」が運営するドライバー育成プログラムに加入。
「レッドブル・ジュニア」の一員となり、海外へ渡航して、「FIA フォーミュラ3選手権」に参戦します。
その後、決して強豪とはいえないチームに在籍しつつも、3回の表彰台と優勝1回を獲得し、ランキングは9位。
この活躍が評価され、2020年は更に上のカテゴリーへ昇格を果たしました。
FIA-F2ではミハエル・シューマッハの息子と熱いバトルを繰り広げた
2020年に、「FIA フォーミュラ2選手権(FIA-F2)」に昇格した角田選手は、第2戦シュピールベルクGP 第2レースでポールポジションから2位表彰台を獲得するなど、序盤戦からFIA-F2ルーキーらしからぬ活躍を見せます。
そして第5戦シルバーストン 第2レースで、FIA-F2初優勝を遂げると、その後第7戦スパ 第1レース、最終戦サヒール 第1レースでも優勝。
ともに2021年よりF1に参戦するライバルたちと、切磋琢磨のバトルを展開し、ミハエル・シューマッハ氏の息子である、ミック・シューマッハ選手らとタイトル争いを繰り広げました。
そして、ポールポジション4回と優勝3回をマークして、シリーズ3位に輝き、最優秀新人賞も獲得するなど一躍注目を集めたのです。
アルファタウリに加入しF1ドライバーへ
2020年は、FIA-F2でシリーズ3位に輝き、F1参戦の条件である「スーパーライセンス」取得の基準を満たした角田選手。
同年11月に「スク―デリア・アルファタウリ」チームが用意したテストプログラムで合計300km以上を走破し、F1マシンの初体験を終えます。
その後、12月に行われた、若手ドライバー向けテストで走行。
まもなく、2021年よりアルファタウリチームへ加入が決定して、F1デビューを果たしました。
角田裕毅最大の特徴「クルマの限界を見抜いて強気なドライビング」
角田選手がF1まで駆け上がれた最大の要因は、クルマの限界を引き出せる能力の高さにありました。
レーシングチームのスタッフと積極的にコミュニケーションを取り、直ぐに馴染んでいける性格が功を奏し、海外渡航後も取り扱うレーシングカーの性能を限界まで引き出せる強さを発揮しています。
また、レース展開の組み立てがうまい点も特徴で、予選でグリッド後方からスタートしても、ブレーキングをより限界まで遅らせて、まったく性能差のないマシンを扱うワンメイクレースのFIA-F2で、他のドライバーを出し抜き、次々と追い抜いていく速さを持っているのです。
まとめ
7年ぶりとなる、日本国籍F1ドライバーとして、世界中から期待がかかる角田裕毅選手。
F1初陣である、2021年開幕戦バーレーンGPでは9位入賞をつかみ、初ポイントを獲得しています。
アルファタウリは、2020年にチーム優勝1回を達成している中堅であり、伸びしろに期待できるチーム!
角田選手のチームメイトであるピエール・ガスリー選手は、日本の「スーパーフォーミュラ」でも2017年ランキング2位を記録し、F1でも優勝記録を持つ新進気鋭のドライバーです。
ガスリー選手と切磋琢磨して、アルファタウリを上位に持っていけるかどうか。
角田選手がF1レースで表彰台の中央に立つ瞬間を、みんなで見守っていきましょう。