スポーツ中継でもはや欠かすことの出来ない実況は、その状況を伝えるだけでなく展開を盛り上げるなど多くの役割を担っています。特にモータースポーツの場合では一挙に多くの選手がコース上で争う事、そしてかなり専門用語が多いことなどから、より実況の大変さが想像できます。その中にはアナウンサー泣かせな覚えにくいものや、言いにくい言葉も存在します。そこで今回はモータースポーツに登場する、アナウンサー泣かせな言葉たちをご紹介したいと思います。
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レース実況はかなり難しい!?
レース中継を見ていると聞こえてくる実況は、その場の状況を盛り上げるだけでなく、解説者から視聴者の疑問の答えを引き出すなど、中継において多くの役割を担う存在です。
映像に映る機会はほとんどありませんが、レースが行われている間は口を休ませることもせずに話し続け、耳でファンを楽しませ、レースをより盛り上げています。
実況を行うアナウンサーの方たちはたくさんの経験を積んできたプロなのですが、モータースポーツの実況は他のスポーツに比べて専門用語が多く、日本では、あまり使うことの無い単語もたくさん出てくるのです。
そのため、覚えにくい言葉や噛みやすい言葉などを刻一刻と進む状況のなかで、確実に視聴者に伝わるように話す技術が必要とされます。
その中でも、モータースポーツにはアナウンサー泣かせの言葉が多く存在するのです。
2009年からF1で戦ったスペイン人ドライバー
まず、最初にご紹介するのは非常に名前が言いづらいF1ドライバー。
その名はハイメ・アルグエルスアリ、2009年から2011年までトロロッソに所属し、わずか19歳125日という若さで当時の史上最年少でF1デビューを果たしたことでも知られています。
彼にとって最後のシーズンとなった2011年には7度の入賞を果たすも、シーズン末には21歳という若さでシートを失い、2014年からはフォーミュラEに転向。
しかし、第9戦モスクワのレース後に脱水症状と疲労によって失神したため、病院にて精密検査を受けその結果が明らかになるまではFIA(国際自動車連盟)からライセンスを停止されることになりました。
検査の結果は異常なしというものだったのですが、自身の情熱を失ったと語ったアルグエルスアリは25歳にしてレースから引退してしまいます。
そして、音楽活動にも強い関心を持っていることでも知られており、F1引退直後にはレコード会社と契約しDJ・スクワイアという覚えやすい名前でファーストアルバムを発売。
すると、発売日の5日後にはスペイン国内のiTuneチャート1位を獲得するなど、レース以外でも豊かな才能を持っていることを証明しました。
ちなみに、このアルグエルスアリという名字はスペインでも非常に珍しいようで、数えることが出来る程の世帯数しかいないと言われています。
来季F1デビューを飾るルーキーは名前の50%が”ル”で構成される
続いて、来季ザウバー・アルファロメオからF1デビューを果たす彼は来季以降、実況アナウンサーを苦しめる存在となりそうです。
2017年F2王者に輝き、名門フェラーリのドライバー育成プログラムに所属する彼の名はシャルル・ルクレール。
カタカナで表記すると8文字中、実に半分となる4文字が”ル”で構成され、発音する際には舌を上手く巻いて話せるかがポイントとなります。
そんなルクレールは1994年に参戦したオリビエ・ベレッタ以来となるモナコ国籍のドライバーで、すでに将来のフェラーリドライバーとして大きな期待が寄せられているルーキー!
その速さはすでに折り紙付きで、昨年参戦したF2では現在ルノーに所属するニコ・ヒュルケンベルグ以来となるデビューシーズンでチャンピオンに輝き、自身の持つ速さを披露しました。
そしてすでにF1マシンでの走行は経験しており2016年にはハース、2017年はザウバーから計8戦、フリー走行でドライビングしています。
ちなみにルクレールを英語読みする場合はレクラークとなり、こちらの方が日本人にとって言いやすいかもしれません。
しかし、まだF1デビュー前ながらもこれまでの活躍から知名度は高まっており、日本語での呼び方もルクレールで浸透しています。
そのため、フルネームで呼ぶ場合においては、レースアナウンサーを苦しめる場合もあるかもしれませんね。
雨天のレースでお馴染みのインターミディエイトタイヤ
雨天のレースでは頻繁に登場する単語であるインターミディエイトタイヤ。
F1中継をご覧になられる方にはすでに馴染みのある言葉だと思いますが、そうでない方にはあまり聞きなれない言葉かもしれません。
インターミディエイトとは日本語で”中間の”という意味に当たり、これはドライタイヤとウェットタイヤの中間のタイヤである事を意味します。
現在F1タイヤの供給を行うピレリは、サイドウォールのロゴを様々なカラーで塗分けてタイヤが識別できる工夫をしており、このインターミディエイトタイヤは緑色でロゴが描かれています。
また、このタイヤは別名スタンダードウェットと呼ばれたり、省略してインターと呼ばれることも。
しかし、このインターミディエイトタイヤが言いづらいのは登場する状況が慌ただしい場面が多いという点が挙げられます。
急に天候が変わった場面で登場することが多く、短時間にこの言葉を連発するシーンもあるので、状況を伝えるべく一刻を争う場合ではアナウンサー泣かせの名称と言えるでしょう。
世界一名前が長いコーナー!?セナプロの接触でも知られる”シケイン”の正式名称とは?
最後にご紹介するのは、鈴鹿サーキットの最終セクターに設置されているシケイン、”日立オートモティブシステムズシケイン”です。
活字にしても一度見ただけでは覚えづらいという方も多いとかもしれませんが、それは無理もないでしょう。
たった1つのコーナーの名前が、なんと18文字にも及ぶのです。
超高速コーナーである130Rとホームストレートを繋ぐこの日立オートモティブシステムズシケインは、抜きにくいと言われる鈴鹿サーキットの中でも数少ない追い抜きのポイントであり、ブレーキングでの攻防が頻繁に見られる場所でもあります。
かつてこのシケインはカシオトライアングルという名で親しまれていましたが、2011年頃にカシオが広告を撤退したことでこの名も消滅。
それ以降はシンプルにシケインと呼ばれていたのですが、2014年より日立オートモティブシステムズが命名権を取得し、新たな正式名称が誕生するに至りました。
この日立オートモティブシステムズという会社は日立製作所の子会社であり、主に自動車部品の開発を行っています。
それはホンダといわゆる業種被りとなり、ライバルのホームサーキットに広告を出すことに少し違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、このような関係性がまた違った分野でメリットを生み出す可能性も充分に考えられるのです。
2017年7月にはホンダと日立オートモティブシステムズは、2017年7月に日立オートモティブ電動機システムズという合弁会社を設立し、電気自動車におけるモーターの開発で業務提携を行うことが発表されました。
2019年には日本国内で、その翌年には中国とアメリカでモーターの生産が始まると見られており、今後ここで生産された電気自動車を街中で頻繁に目にするようになるのも、そう遠くない未来かもしれません。
そういった意味でもこのシケインに付けられた長い名前はアナウンサー泣かせなのは確かですが、これからは両社による業務提携のシンボルとなり得るかもしれません。
まとめ
専門用語が多く外国語であるモータースポーツでは、日本人にとって覚えにくい言葉もたくさんあります。
その中でも一挙に多くのドライバーの戦いを伝えなければならないアナウンサーにとって、長い単語や発音しにくい言葉も頻繁に登場するのがレースです。
ちなみに極端ではありますが、今回ご紹介した言葉で例文を作ると「日立オートモティブシステムズシケインで雨が落ちてきた!シャルル・ルクレールとハイメ・アルグエルスアリが接触!両者そのままピットへ向かいインターミディエイトタイヤにスイッチ!」とまるで呪文のような文章を作ることもできてしまいます。
しかし、実際にこうした慌ただしい状況は起こりえることで、一刻を争う展開でもレースアナウンサーは、長丁場のレースで常に明確に状況を伝える必要があるのです。
こうした状況に対応するべくレースアナウンサーは、中継では見えないところでこれらの言葉やその意味などの理解を深めており、ドライバーたちにも匹敵する情熱を持ってレースに臨んでいると言えるでしょう。
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